902話 大陸解放後の運営の場合
「白銀さんが西の町の生産職用裏ルートを見つけたか」
「これは予測通りっす。生産職からの好感度バカ高で、雑貨屋にも普通に入れますし」
「まあな。解読スキル育ててたし、そりゃこうなるさって感じだ」
「っす」
「解読スキルは想定よりも広まってないからなぁ。ここで育てるプレイヤーが増えたらいいんだが」
「1パーティに1人は育てる流れにはなるんじゃないっすかね?」
「まあ、砂漠のルートはいいんだよ。覚悟してたから備えも万端だ」
「東の裏ルートは大丈夫っすかねぇ?」
「……大丈夫だろ?」
「本当に?」
「そもそもあっちは生産職用のルートがメインで、戦闘ごり押しルートが裏扱いだぞ? 白銀さんが見つけるとしたらメインルート! つまり裏ルートが白銀さんに発見される可能性はほぼない!」
「……メインがあっさり見つかる方がヤバいっす!」
「そーなんだよなぁ! 戦闘職NPCからの好感度も高いから、町でヒント貰える可能性高いんだよぉ!」
「白銀さんの場合、どの種別のNPCからも好感度高いっすけどね」
「そもそも、白銀さんが炎海の町の雑貨屋に入れちまうとは思わなかった」
「あそこの雑貨屋は砂の町と逆で、戦闘系NPCの好感度必要なハズだったんっすけど……。白銀さん、普通に発見しましたもんね」
「ポーションとか薬草の納品に加え、サラマンダーが武器の納品をやってるのが地味にデカいんだよな」
「あー、武具納品は戦闘職からの評価上がるっすわー」
「フィールド解放ボーナスも付いてるし!」
「それもあったっす!」
「社長がさぁ……」
「はい?」
「四大陸解放記念イベをやろうって言い始めててさぁ」
「うぇぇ? 無理っすよ! 今から準備なんてできるわけないっす!」
「デカいイベントじゃなくて、バザーとかフリマみたいなことがしたいらしい」
「あー、まぁ。それくらいなら?」
「残りの東の大陸が即解放とかにならなければなんとかなるだろ」
「それ、フラグっす! 室長がまたフラグ立てたっす! 戦犯すよ!」
「いやいや、平気だって! 白銀さんは東にはほとんど来てないし、今は船と浮遊大陸、沈没大陸で手いっぱいだ! 攻略に来てる奴らも戦闘職ばかりで、ごり押しルートはしばらく解放されんだろう! ほら! 大丈夫!」
「そりゃあ、ゴリ押しルートは平気でしょうけど、白銀さんは分からないじゃないっすか! 三大陸解放したし、残り一つも解放しとこうって思うかもしれないっす!」
「……あり得ると思うか?」
「思うっす」
「だよなぁ! やべーよなぁ!」
「分かってるんじゃないっすか!」
「認めたくなかったんだよ!」
「でも、イベントの準備する余裕なんかゼロっす! マジで!」
「なんとか社長を説得するしかねぇ」
「頑張ってください!」
「お前もなんか考えるんだよ!」
「えー?」
「何か、社長を思いとどまらせる方法はないか?」
「あの人の性格じゃ、やめろって言ったら逆に意固地になりそうなんすけど」
「確かになぁ。逆張り好きというか、天邪鬼というか……。普通の性格してねーもんなぁ」
「……じゃあ、中止じゃなくて、延期に持っていくしかないんじゃ?」
「ほう?」
「延期した方が楽しそうって思わせるんすよ」
「なるほどな。少し時間をかけて盛り上げる方がいいですよーって伝えれば……」
「そうっす! 四大陸解放者数をカウントして、一定数に達したらイベントとか? 広場にカウント計設置するくらいなら大した手間かからないっす」
「おー! お前にしては、いい案なんじゃないか?」
「お前にしてはっていうのが余計っす! 俺はいつもいい案しか出さないっす!」
「はいはい。だが、謎のカウント計で期待も煽れるし、ゲームだって盛り上がる! そっち方面から社長を説得できるかもしれん。カウントを100人とかにしておけば相当時間も稼げるだろ! これでプログラマーたちに殺されずに済むぞ!」
「あー、プログラマーさんたち死屍累々ですもんねぇ。仮眠部屋からウーウーアーアーっていうゾンビみたいな呻き声がずっと聞こえて、超怖いっす!」
「やつらに今度は緊急イベント追加してくれなんて頼んだ日には……」
「殴られる程度じゃすまないっす!」
「雑貨屋用の依頼を緊急追加するって告げた時のやつらの顔……。絶望ってタイトル付けて飾っておけそうなレベルだったぞ」
「でも、雑貨屋に入れないっていうクレームが凄まじかったっすから……」
「プレイヤーたちも、NPCの好感度上げなきゃいけないところまでは辿りついてるんだがな」
「特定の種別のNPCからの好感度が必要ってところはまだ気づいてないっすね」
「参考にしてる白銀さんが、あらゆるNPCから人気過ぎて実は参考にならんからな」
「超有能プログラマーさんたちのおかげで、そこも大分緩めになったはずっす」
「おう。これで雑貨屋に入れるプレイヤーも増える、だ、ろ……? あれ? 雑貨屋に入れるプレイヤーが増えたら……」
「ああ! 四大陸解放者が大量発生するかもしれないっす!」
「解放者100人程度じゃ一瞬で埋まっちまうかもしれん」
「じゃあ、1000人とかにしておきます?」
「うーむ。そうだなぁ。東の大陸の解放時期次第じゃないか?」
「どうせ白銀さんが解放するっす」
「まだ確定してるわけじゃないから! さすがの白銀さんだって、しばらく時間がかかるはずだ!」
「白銀さん以外が解放しちゃったらどうするんすか?」
「はっはっは! それはあり得ん!」
「そうっすよねぇ! あり得ないっすよね!」
「はっはっは!」
「っすっす!」




