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その蝶の視線の先には、一本の朽ち木があった。
木漏れ日を浴びて、まっすぐ太陽に向かって力強く伸びる、細い枝。
蝶はその枝に向かって、ただひたすらに、気が遠くなるほどの時間をかけて突き進む。
痛々しかった。
目を背けたくなるほどに、無様でもがいていた。
けれど、その絶望の底でなお生きようと抗う姿は、見つめているうちに、なぜだか胸が締め付けられるほどに、狂おしく、愛おしく思えてくるのだ。
やがて、蝶はすべての力を振り絞り、枝の頂点へとたどり着いた。
――世界を見下ろすその場所で、蝶はもう一度、ゆっくりと、残された青紫の羽を広げた。――
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