第4章:神話の書き換えと起源の双樹 / 第2節:終焉を超えて芽吹く双樹
一瞬で終わった戦いだったが、まだ終わっていないのがあったそれは『卵』その卵をシルはどうするのか!?
第2節:終焉を超えて芽吹く双樹
狼狽するキーニャの肩に手を置き、シルはその瞳を射抜く。
「自分を信じて、始まりの源流に身を任せるのよ」
扉に激しい衝撃音が響き、石が砕け散る。その瞬間、キーニャの体内から溢れ出した光が空間を飲み込んだ。シルは満足げに微笑むと、力尽きようとするキーニャを支え、岩場に横たえた。
「さて、ご先祖様。逃げ隠れは無しよ。あなたの神話語と私の神話語で、語り合おうじゃない!」
シルは再生を始めた扉へと駆け出す。姿を現した異形は、獣であり龍であり悪魔でもあるが、煙のように実体がない。それでいて、神々しい光を放っていた。
その者は動かずとも、言葉を発するたびに的確な攻撃を繰り出す。シルはそれを辛うじて回避し続けるしかなかった。
「さすがは神といったところかしら。余裕たっぷりね。……でも、これが楽しいのよ」
シルは低く呟きながら肉薄するが、直後、強烈な光の刃が鼻先をかすめる。
動じることなく神なる者を見据えるシルの背後から、神話語が響き渡った。
「シルちゃん! 今よ!」
キーニャの放った言葉が神の動きを刹那に止め、シルはその懐へと飛び込む。
「――――――――――――――――――!!!」
シルの神話語が響き、神なる者の姿が霧散していく。周囲が闇に包まれ、キーニャが駆け寄ってきた。
「シルちゃん、大丈夫!?」
「ええ。でも、ここからが本番よ。聖魔獣は消えて古獣になる。次がどうなるか、覚えているでしょう?」
キーニャの顔が強張る。シルは苦痛に顔を歪めながらも、勝利の笑みを浮かべていた。
「そう、私に来るの。今の私は神なる者と同等なのだから……フフ」
二人の詠唱が同期し、巨大な立体魔法陣が周囲に展開される。
「――――――――――――――――――!!!」
「――――――――――――――――――!!!」
魔法陣から放たれた眩い光が収束すると、そこには急速に成長する二つの芽があった。天を突く双樹へと育ったその先には、意志を持つ「目」が刻まれた一つの光る石が、静かに浮遊していた。
シルとキーニャは卵を無くすと共に『新しい』時代を創生した。
2人は起源の双樹となり、世界を見守る??




