第1章:第2節:伝達者の告白と古き書
伝達者の事を伝えそびれていたキーニャ。
シルはある手がかりを得る為に村に向かう。
第2節:伝達者の告白と古き書
彼女は封印を施すとキーニャに視線を向けた。
「伝達者ね……どうして教えてくれなかったの? というより、私たちの部族には他にも色んな能力者がいるのかしら」
キーニャは地面に座り込んだまま、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「信じてもらえるか分からなかったし、隠すつもりもなかった。けれど、いつかは言わなきゃいけないと思ってたわ。私の部族のこと、能力のこと……。自分が伝達者だと知ったのは最近なの。私たちの部族だけで執り行われる『成人の儀』があるのよ」
「成人の儀? 聞いたこともないわ。そんな儀式があるなら、他の人も知っているはずでしょう?」
キーニャは静かに首を横に振った。
「知らなくて当然よ。儀式に要する時間はわずか数分。けれど、当人にしてみれば数時間にも感じられるものだから」
封印された泉を見つめ、キーニャは続ける。
「彼女が言っていたでしょう? 古書の基となる魔石碑……その場所へ行き、契約するの。伝達者としての契約を。そうすれば、魔石碑にこれまでの記憶がすべて刻まれていく。すべてが刻まれた後、管理人の手によって伝達者の刻印が身体に刻まれるわ」
キーニャは左腕を突き出し、巻かれた包帯を解いた。
「それは……『刻の印』なの?」
「シルは本当に物知りね。そう、刻の印。私が体験したすべてが魔石碑に刻まれていく証。今、こうして話していることもすべてね」
「“すべて”ね。だけど、私が考えていることまでは無理でしょう?」
シルは不敵な笑みを浮かべて問う。
「そうね、さすがにそれは無理だわ。思考を読み取る力を持った伝達者がいれば別でしょうけれど、聞いたことはないわね」
キーニャは笑顔で応じて立ち上がると、泉の封印を見やった。
「どうするの、シル。このまま封印だけで終わらせるつもり?」
「まさか! あの化け物――ご先祖様の魔力を吸うような輩が、私の拘束重鎖とこの封印を解くのにそう時間はかからないはずよ。だから、まずはご先祖様が体内に封じたものが何なのかを知る必要があるわ。私が知っているのは、何かを『内に封じた』ということだけ。“何を”までは知らないのよ」
シルも立ち上がると軽く背伸びをし、キーニャの肩を叩いて村への帰路についた。
シルは、二人がのけ者として扱われていた背景に、ある種の意図があったことを察していた。二人は自分たちが暮らす「離れの村」ではなく「本村」へと向かい、村長と対峙する。
二人は先祖のことや伝達者の件は伏せ、泉で起きた異変――泉の底に石碑があったこと、そして未知の存在と遭遇したことだけを伝えた。
村長は驚きを隠せない様子で、二人をあえてのけ者にした経緯を語り始めた。これからもその扱いは変えないという。監視者としての役割、そして本村が介入することで余計な事案が発生するのを防ぐという名目だった。
そして村長は、古書よりもさらに古びた一冊の本を差し出した。それは村ができる以前、かつて住人がいたとされる神聖な山で見つかったものだという。全体の解読は済んでいないと言い添え、彼は本を二人に託した。
二人は自分たちの住む「離れの村」に戻り、その本の解読に取り掛かることにした。
本村の村長から渡された古書…まだ未解読との事だが、手に入れたシル達は離れの村に戻るが、シルは何かを解読するすべを知っているような雰囲気を漂わせている。




