LOVE.8 ドクトル・織田
未来。10年前。
「僕は、ファンダムが好きなんだ」
黒髪のミディアムヘアの少年が、二人のアンドロイドに、一枚のボロボロになったポスターを見せた。
劇場版ファンダム。
二足歩行型の巨大ロボットの絵。
しかし、ところどころ穴が空いている。
著作権。
その制度を理解したコンピューターが、過去のデータの復元を拒否するのである。
昔の“人間”に、呪われる。
核ミサイルという兵器で攻撃されると言う。
コンピューターは、過去の人間を恐れていた。
そのため、著作権で怒らせることを恐れていた。
「フランソワ、スペイシー。キミたちは、この巨大ロボットを好きになるんだよ」
「はい…。カッコいい」
「ええ…。カッコいい」
「僕は、このロボットをこの未来に復元するからね」
LOVE.8 ドクトル・織田
安室美絵博士。
科学組織アルテマ所属。
趣味知識型アンドロイド。ヲタクシリーズを作成している女性科学者。
配偶者は、織田雄太。
「アイン博士ですね。では、単刀直入に言います。ファンダムを具現化するのは、止めてください」
安室博士が、止めに入る。
「な、何でだよ。あ、お前。うちの愛娘二人のご主人様だから、ヤキモチか」
「何を言っているかわかりません」
「だ、だから…」
「ファンダムは、兵器です」
安室博士は、説明した。
ファンダムは、戦闘用兵器。
家庭用や、業務用では無く、戦闘用ロボット兵器。
過去のアニメでは、戦闘シーンが多く動いていた。
「戦闘なんて見て、何が楽しいんだよ」
「過去の人間は、戦闘・戦争をテレビジョンで見ていたのです」
「何で、テレビジョンで、戦いなんて見るんだ。お笑いや、クイズショウを観ればいいじゃないか」
「娯楽が、狂っていたのです」
戦闘。殴る、蹴る。
斬る、撃つ。
それが、テレビジョンで展開していた。
娯楽だった。
「危険思想も、無慈悲な表現も、許された時代が過去にあったのです」
「何だ、それ」
アインには、理解できない。
でも、否定ばかりは、止めよう。話が進まない。
「つまり、戦闘を楽しむアニメを、子供と大人が見ていたんだな」
「そうです」
「ファンダムは、戦闘用ロボットだと言うんだな」
「その通りです」
「ああ、わかった。わかった」
「そのファンダム好きの注文は、10年前から、はじまったドクトル・織田の“実物ファンダム戦争”の悪だくみのためのものなのです」
実物ファンダム戦争。
未来技術で“戦闘用兵器”を作り、戦争を起こす企み。
平和に慣れた人間を、無双する企み。
「実物ファンダム戦争だって?この未来で、そんな危険思想を持てるワケないだろう。警察に捕まるぞ」
未来。
コンピューターセキュリティが、危険思想の人間を見つけると、事前に捕まえる。
「はい。もちろん、警察に捕まっています」
10年前。危険思想を持ち始めた時、織田雄太は、警察に捕まった。
「織田雄太は、すでに警察に捕まっていた人物だったのか」
アインは、頭をかかえた。
愛娘のご主人様は、犯罪者。
危険思想に巻き込まれていたのだ。可哀想に。
「うう…」
力が抜ける。
ファンダムと会わせるという約束を守れなくなった。




