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12.ロロは敵か? 味方か?

「青い星の奴と話しているのか?」


 ララは背中越しに、ロロの責めるような声を聞いた。

 勿論、『青い星の伝説』の守護神であるワタシは、ララの見方だ。

 しかし、伝説の反対派に対抗することは、物理的にできない。

 つまり、ララは絶体絶命のピンチを迎えたことになる。

 ときとして、極限状態に(おちい)った人は、思いもしない経験をすることがあるらしい。

 ララもそうだったのだろう。

 生まれてから今までの『青い星の伝説』に関する記憶を、全て思い出したのだ。

 しかも、一瞬の内に。


 ララが生まれたときには既に、『青い星の伝説』の記録は完璧に処分されていた。

 しかも、伝えることも、禁止項目になっている。

 ただ、『青い星の伝説』ができた大昔は、取り調べるにも人手や予算が足りず、案外(ゆる)いものだった。

 その頃に、『青い星の伝説』はかなり広まったらしいが、今では反対派の方が多いくらいだろう。

 それでも、ララはめげなかった。

 多くの老人に聞き、ひとりで資料を作ったのだ。


 いよいよ、ララは決心した。

 相手が幼馴染みのロロでは、嘘をついても通用しない、と。

 ララは振り向きざまに言った。 


「そうよ。青い星のソラ君と話していたのよ。悪い?」

「だからなぁ……」


 ロロが勢いよく話しだした途端、


『これは長くなりそうね』


 と思ったララは、大きなため息をついた。


「な、なんだよ……?」


 出鼻をくじかれたロロは不服そうだ。

 一方、ララはロロに、


「ちょっと待ってて」


 と言い、目を閉じ、意識を集中した。

 パッと目を開いたララは、今度はソラに話しかける。


「悪いけど、用事ができたから、また連絡してもいい?」

「わかった。今日は余りに突然すぎて頭がパンパンだから、オレも考えてみるよ」


 とソラの返信。


「ライトサンをよろしくね」


 とソラに頼んだララは、魔法のテレパシーを切った。

 そして、再びロロに視線を向けた。

 ロロは呆れたというより、怒っている感じだ。


「話していた相手は誰なんだよ?」

「ロロには関係ないでしょ」

「関係ないわけないだろう。ララが青い星に行くことは、俺たち全員の責任になるんだぞ。わかっているのか?」

「そんなことにはならないわよ。知らなかったことにすればいいだけでしょ」

「ララらしくないぞ。法律で禁止されているんだから、いい加減諦めろよ。ララが青い星に行ったら、おじさんとおばさんも罪人になるんだぞ」

「大丈夫。両親には内緒でいくから。知らなかったなら、ひどくは怒られないでしょ」

「心配で倒れるかもしれないだろう」

「わかっているわ。それでも行きたいのよ。そして、青い星の人々と会いたいのよ。そのどこがいけないの? 第一 、ご先祖様達がどんな悪いことをしたっていうのよ。そのお陰で、わたしたちがいるんでしょ。青い星の人たちのことも、遮断するどころか感謝すべきよ。もし、法律で禁止されていなかったら、ロロ、あなただって青い星に行ってみたいと思うでしょ」

「それは……」


 ロロが初めて言いよどんだ。


「わたしたちの親戚に会いたいと思わないの?」

「会っても、どうしていいかわからないよ」

「会わなくてわからないのと、会ってからわからないじゃ、意味が違うと思うのよ」

「ララが言いたいことはわかってるよ。でも、現実問題両親が罰を受けることを、ララが平気だっていうのは信じられないな」

「まさか、わたしがなにも考えてないと思っているんじゃないでしょうね。法律はあくまでも法律よ。抜け道があるものよ」

「どういうことだよ……?」

「この星の法律では、正式になんて書いてある?」

何人(なにびと)も青い星に行ってはいけない」

「そうでしょ。青い星(・・・)に行ってはいけないと書いてあるでしょ」


 と、ララは『青い星』にアクセントをつけて発音した。


「その星の名前は地球(・・)っていうんだって。でもね、地球から戻ってきたご先祖様は、どんなに訊かれても、その名前は明かさなかったの。どうしてだと思う?」

「そんなこと、わかるわけないだろ」

「きっと、わざと秘密にしたかったのよ。それは何故か?」

「何故なんだよ? 焦らさずに早く言えよ」

「地球といったら、ズバリその星になるけど、青い星なら、他にもあるかもしれないでしょ」

「なかったらどうするんだよ?」

「ご先祖様のいう青い星は、常に青く見えるわけではないんだって。白い時もあるらしいの。わかるでしょ!?」

「わからないよ。だから、なんなんだよ」

「だから、地球に行ってはいけないって書いてあればダメだけど、白い星のときに行けば、法律には触れないでしょ」

「でもさ、ご先祖様はその地球に長くいられなかったんだろ。危険だよ」

「あら、忘れたの? わたしたちはご先祖様と違って、その地球人の血を引いているのよ。大丈夫に決まっているでしょ」

「わかった。ララがそこまで言うなら、俺も行くよ」


 え? と、思ってもいない展開に、ララの呼吸が止まった。


「どうしたんだよ?」


 ロロの問いかけに、ララはやっと我を取り戻した。


「だって、ロロは反対派でしょ?」

「それは青い星の伝説が違法で、間違っていると親から言われ続けてきたからそう思っていただけだよ。でも、今ララから言われて、本当に悪いのかなぁと疑問に思ったんだ。少数派だから悪いんだったら、それはおかしいし、根本的に、どこがどう悪いのか、はっきりさせるべきだと思う」

「でも、ロロの場合は親のこともあるから、今回はわたし一人で行くわ。次回は一緒に行きましょ」

「わかった。じゃ、今回はララのサポートに回るよ。必要なことがあったら言ってほしい」

「ありがとう。ロロが手伝ってくれたら鬼に金棒だわ」

「こっちから出発する時は俺が協力するとして、あっちの方は大丈夫なのか? かなりのパワーが必要だろ。青い星の人間にそんなパワーがあるのか?」

「そこが問題なのよね。でも、信じるしかないわ」




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