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爆炎のサガ  作者: 大和奏時
爆炎のスーパーヒーロー

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28/79

白馬通りの人形

DYNAMITE SAGA by Souji Yamato

 西暦《せいれき》2200年《ねん》、ファンタジア世界《せかい》、要塞《ようさい》都市《とし》ベルファストの白馬《はくば》通《どお》り――



 サガが、通《とお》りの西端《さいたん》に、到着《とうちゃく》すると‥‥偶然《ぐうぜん》、居《い》合《あ》わせた『聖《せい》騎士《きし》アリス』が、30余《よ》匹《ひき》もの影魔《シャドウ》どもと戦《たたか》っていました。しかも、遠方《えんぽう》には、こちらに向《む》かう、騎士団(だん)の姿《すがた》も見《み》えています。

 それなので、サガは、微《かす》かに安堵《あんど》しながら呟《つぶや》きます。


「今回《こんかい》は、少《すこ》しだけ、安心《あんしん》みたいね。けど‥‥変身《へんしん》!」


『爆炎のサガ(ダイナマイト・サガ)、Enter(エンター)!』


 サガによる『変身』キーワードで、システム音声《おんせい》が轟《とどろ》きました。

 同時《どうじ》に、サガの姿が、ほとんど全裸《ぜんら》となり、四肢《しし》も金属《きんぞく》製《せい》の機械《きかい》義肢《ぎし》に変《か》わります。しかも、下腹《かふく》部《ぶ》には、処女《しょじょ》の証《あかし》『純潔《じゅんけつ》紋《もん》』がありました。


 しかしながら、爆炎《ばくえん》のサガの全体像《シルエット》は、スーパーヒーローにも見えます。

 ところが、サガが、一歩《いっぽ》を踏《ふ》み出《だ》すと、いきなり、転移罠《テレポーター》がありました。


「なっ?」


 サガの足元《あしもと》で、魔法《まほう》円《えん》が出現《しゅつげん》して、彼女《かのじょ》の姿が消《き》え去《さ》ります。

 どうやら、影魔《えいま》どもと、親玉《おやだま》の『魔人《フィーンド》』とは‥‥聖騎士アリスと騎士団だけで、戦わなければなりません。



 次《つぎ》の瞬間《しゅんかん》‥‥爆炎のサガは、虚《きょ》空間《くうかん》に居《い》ました。

 ここは、赤《あか》い月《つき》と黒《くろ》い砂漠《さばく》の世界です。


 やがて、空間が歪《ゆが》み‥‥サガの前《まえ》に、全高《ぜんこう》30メートルの機械巨人(きょじん)が出現します。しかも、機械巨人の外見《がいけん》は、烏賊《いか》のような頭部《とうぶ》の醜《みにく》い人《ひと》型《がた》です。

 サガは、ひとり呟きます。


「嫌《いや》な予感《よかん》がする。こいつを、急《いそ》いで撃破《げきは》しないと‥‥」


 そこで、サガは、補助収納《スロット》を操作《そうさ》して、四肢を換装《かんそう》しました。いまや、彼女は、義腕《ぎわん》が機関《きかん》砲《ほう》で、両脚《りょうあし》には、反動《はんどう》を緩和《かんわ》する仕掛《ギミック》があります。

 すぐさま、サガは、左右《さゆう》の機関砲で、機械巨人に、とにかく速射《そくしゃ》し続《つづ》けます。


「撃《う》って、撃って、撃ちまくる。何《なに》が何《なん》でも、とっとと、さっさと撃破する!」


 彼女は、必死《ひっし》で、射撃《しゃげき》を続けています。

 何故《なぜ》なら、現実《げんじつ》空間『白馬通り』のことが、心配《しんぱい》だからです。



 十《じゅう》数《すう》分《ふん》後《ご》、現実空間では‥‥聖騎士アリスが、妖《あや》しい触手《しょくしゅ》で、捕《とら》らわれの身《み》となっていました。しかも、相手《あいて》は、頭部が蛸《たこ》のような醜い魔人《まじん》です。


 おまけに、騎士団は、全員《ぜんいん》が、魔人の魔法で、身体《からだ》が殆《ほとん》ど麻痺《まひ》していて、戦う力《ちから》が残《のこ》っていません。

 タコ魔人が、騎士たちに告《つ》げます。


「お前《まえ》たちは、これから起《お》こることの観客《かんきゃく》として、生《い》かしておいてやる」


 そう告げると、魔人は、複数《ふくすう》の触手で、アリスの身ぐるみを剥《は》いで行《ゆ》きます。

 辺《あた》りには、アリスの悔《くや》しそうな絶叫《ぜっきょう》と、騎士たちの涙《なみだ》ながらの怒声《どせい》が、虚《むな》しく響《ひび》き続けました。



 斯《か》くして、悪夢《あくむ》にも等《ひと》しい、救《すく》いのない現実では‥‥


 見世《みせ》物《もの》として、聖騎士アリスの裸体《らたい》は、両《りょう》手《て》足(あし)に巻《ま》き付《つ》いた第《だい》1~4本《ほん》目《め》の触手で、2メートルほど持《も》ち上《あ》げられて、大《だい》の字《じ》に磔《はりつけ》られていました。


 しかも、彼女の生肌《なまはだ》は、嫌悪《けんお》と恐怖《きょうふ》からの汗《あせ》と貧血《ひんけつ》で、テカテカと、白蝋《はくろう》のように光沢《こうたく》しています。

 そのため、彼女の美《うつく》しいはずの肉体《にくたい》は、まるで、安《やす》っぽいポルノ用品《ようひん》『ビニール製《せい》の空気《くうき》で膨《ふく》らませた人形《にんぎょう》』にも見えます。


 タコ魔人は、長《なが》きに渡《わた》り、悲劇《ひげき》の『ビニール人形』を、第5~7本目の触手で、ぬるぬるネバネバと、玩具《おもちゃ》にしまくります。まさに、その情景《じょうけい》は、現実でありながら、魔人の醜悪《しゅうあく》さと、行為《こうい》の淫猥《いんわい》さとで、悪夢のように想《おも》えました。

 長らくして、魔人は、タコの粘液《ねんえき》で汚《よご》れ粘《ねば》る『ビニール人形』に告げます。


「じきに、神《かみ》による『純潔の加護《かご》』を、解除できるだろう。

 さすれば、第8本目の触手『生殖《せいしょく》腕《わん》』で、処女を堪能《たんのう》して孕《はら》ませてやる」


<バリィーッン!>


 その時《とき》、天空《てんくう》方向《ほうこう》の空間が、ガラスのように砕《くだ》けました。

 突如《とつじょ》として、艶《あで》やかなる人影《シルエット》『爆炎のサガ』が、天空より降臨《こうりん》します。


『ダイナマイト・インパクトォーッ!』


 次には、大《だい》音量《おんりょう》のシステム音声と共《とも》に、サガの飛《とび》蹴《げ》りが、タコ魔人の頭部に、めり込《こ》みます。ちなみに、サガの四肢は、機関砲タイプではなく、格闘《かくとう》用《よう》の通常《つうじょう》義肢に、降臨前までには戻《もど》っていました。


「爆滅《ばくめつ》!」


 サガの雄《お》叫《たけ》びで発動《はつどう》した爆炎『メギドフレア』で、魔人の肉体が破裂《はれつ》します。

 尚《なお》、メギドフレアは、効果《こうか》対象《たいしょう》を限定《げんてい》できます。


『コンプリート!』


 再《ふたた》びのシステム音声の後《あと》で、魔人の破片《はへん》は、灰《はい》になりながら消滅《しょうめつ》しました。

 これは、サガによる、突然《とつぜん》の勝利《しょうり》です。



 その後《ご》、すぐに、爆炎のサガは、聖騎士アリスに駆《か》け寄《よ》ります。

 すると、アリスは、たとえ汚れた全裸のままでも、たとえ酷《ひど》く衰弱《すいじゃく》していても、懸命《かんめい》に、サガに、思《おも》いを告げます。


「純潔《バージン》を、貴女《あなた》に守《まも》られた‥‥だから、貴女は、私《わたし》の『お姉《ねえ》さま』だ‥‥」

「えっ!」


 驚《おどろ》くサガを残して、アリスは、眠《ねむ》るように気《き》を失いました。

 一方で、サガは、あまりの告白《こくはく》に、麻痺《フリーズ》しています。


 余談《よだん》ですが、アリスは、武神《ぶしん》フローラに、純潔の誓《ちか》いを立《た》てた聖騎士です。彼女にとって、自分《じぶん》自身《じしん》が処女《しょじょ》であることは、死活《しかつ》問題《もんだい》なのです。

 おまけに、聖騎士アリスの性癖《せいへき》は、女尊《じょそん》男卑《だんひ》(男《おとこ》勝《まさ》り)の百合《レズビアン》です。



 こうして、お人《ひと》好《よ》しのサガは、百合《ゆり》の『お姉さま』にされてしまいました。

DYNAMITE SAGA by Souji Yamato

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