ワンダふる
DYNAMITE SAGA by Souji Yamato
サガたちの冒険者パーティーは、地下10階『決戦の間』の一件以来、しばらく、拠点『ロマーヌの館』で、のんびりと過ごすつもりです。
ですが、本日も、元気に、騒ぎが起こっています。
聖騎士アリスが、怒鳴ります。
「ワンダは、私の戦友だ!」
「ちがう、わたしの相棒だからね!」
剣舞士サガ(ハイエルフ)も、負けずに、怒鳴り返しています。まったく、どちらも、純潔乙女だと言うのに、はしたない事です。
一方で、野戦士ルイは、澄まし顔で言います。
「まったく、ワンダは、僕の友達なのに‥‥」
「まっ、女どもにとっては、最高のアダルト玩具だからな!」
戦士カルロが、ぶっきら棒に、そう断言しました。
他方では、魔道士ハインツが、女性たちに呆れながらも、疑問を語ります。
「しかし、アンドロイド犬というものは、どうにも高性能すぎます」
「そうですね、実のところ、何処で造られたのやら‥‥」
執事エドウィン(聖霊)も、その疑問に賛同しました。
けど、当のワンダ(ハスキー雄犬型)は、AI仕様通りに御機嫌な様子です。
ところで、現在、西暦2200年世界‥‥
研究室では、江戸前彩香博士が、上機嫌を顕わにしています。
「夢によれば、優香が、ワンダを手に入れたみたい!」
「ワンダって‥‥100年も前に、博士が造った『悪趣味ロボ』ですよね!」
研究員の逢坂窓子が、そう断言しました。
しかし、彩香博士は、気にも留めません。
「それにしても、ワンダとの初めて‥‥恥じらう優香が、可愛かった♡」
「泣いてたでしょ?」
「わかるの?」
「わかります。おそらく、優香ちゃんは、健常者です」
「失礼ね!」
「失礼ですか?」
彩香博士は、怒りながらもチャーミングです。
一方の窓子は、平常心で、珈琲を二人分、煎れ始めました。それで次には、彩香博士が、気を取り直します。
「けど、すぐに、優香は、愛犬ワンダと、仲良くなってた♪」
「変態ですね」
「なによ!」
「あくまで、個人の感想です♪」
なんとも、研究室の二人は、愉しそうです。
また、二人の雰囲気からして、西暦2200年の東京は、平和みたいです。
それは、ともかく、話戻って『ロマーヌの館』では――
飽きれる事に、3時間も、サガとアリスが、愛犬ワンダを取り合っています。
「なんで、百合のアリスに、雄が必要なわけ?」
「必要なのは、オス型端子であって、断じて雄ではない!」
ルイとエドウィンが、あきれながら話します。
「3時間も取り合う前に、1時間ごとに『代わり番こ』すれば良いのに‥‥」
「ルイさま、左様で御座います!」
仕舞には、ハインツとカルロが、怒鳴ります。
「サガ、アリス、いい加減にしてください!」
「ハインツの言う通りだろ、いい加減にしろ!」
けれども、サガとアリスは、姦しい取り合いを続けています。
しかしながら、見るからに、楽しい人たちです。
こうして、喜怒哀楽しながら、ありふれた幸せは、続くものです。
DYNAMITE SAGA by Souji Yamato




