博士の夢
DYNAMITE SAGA by Souji Yamato
遡ること、100年前‥‥西暦2100年、東京‥‥
研究室では、一体のアンドロイドが、完成しようとしていました。
そこで、野暮ったい女性研究員『窓子』が言います。
「ついに、完成ですか、悪趣味‥‥そのものの犬が?」
「失礼ね。人との繋がりI/Fを、汎用対応させてるだけじゃない!」
妖艶な女博士『彩香』(130才、見た目17才)が、そう反論しました。
さらに、窓子が言います。
「しかも、交接仕様だ、疑似精液だ、犬と同等の体温変化だの‥‥」
「女性向けで、セラピー用の雄犬だから、本格志向は、当然でしょ?」
「それと、戦闘サポートまで‥‥」
「単なる犯罪抑止力でしょ!」
「本格志向の方向性に、一部誤りがあります」
「誤りを、可能性と見るのが、科学なのよ!」
彩香博士の言動には、一部誤りがあります。
無論、窓子は、平常心で、呆れ果てています。
不意に、彩香博士が、1枚の写真に目を移します。
それを、窓子は、見逃しません。
「それ、娘さんの写真ですよね?」
「そう、明日が誕生日の‥‥80年前のパンデミックで、病死したけどね」
「明日が、誕生日ですか?」
「だから、あのアンドロイドは、墓前にお供えするの、プレゼントとして!」
「娘さん、怒りますよ?」
「優香は、怒らないわよ。エルフだし‥‥」
「エルフ?」
「夢に見るの‥‥今では、サガって名前で、元気な80才なの!」
「博士は、電気羊を夢見るSF派では?」
「ん、そうだけど」
余談ですが、あのアンドロイド犬は、決して人格に目覚めない最新型AIが搭載されています。そのため、常に正しい判断が出来ます。
しかも、やること為すこと、本物にしか見えない逸品です。
尚、この時代では、違法にも人格を持つAIや、合法でも疑似人格を持つAIは、かなりの旧式なのです。
つまり、あのアンドロイド犬は、純粋なるオブジェクトです。
時は、現在に戻り‥‥所は、異世界‥‥
機械巨人に勝利した『精霊サガ』は、その報酬らしき宝箱の前にいます。
「SFの雰囲気なのに、報酬が、ファンタジーな宝箱って‥‥」
そんな風に、サガが、ぼやいています。
ちなみに、宝箱の中身は、犬の『シベリアンハスキー』です。
数分後、精霊サガは、犬を連れて、現実空間『決戦の間』に戻りました。
そこでは、男たち、戦士カルロ、野戦士ルイ、魔道士ハインツが、心配しながら待っていましたが、サガの精霊姿(裸足全裸)を見て、驚いています。
それでも、しばらくすると、彼らは、純粋に、サガの帰還を喜びます。
ですが、やがて、ルイの関心は、犬に移ります。
「可愛い大型犬だね‥‥名前は?」
『我は、アンドロイド犬のワンダ。今後とも、よろしく!』
「へえ、喋るワンちゃんなんだ♪」
『特技は、我がアイテムであること。我は、心を持たないオブジェクトだ!』
犬のワンダが喋っても、ルイは、平常心です。
けれども、精霊サガを含めて、他の者たちは、驚愕しています。
やがて、皆、落ち着きましたが、サガの姿は、精霊のままです。
そこで、ワンダが提案します。
『分析の結果‥‥原因は、生存本能の弱体化のようだ。
‥‥だから、本能を刺激して、回復させれば良い!
我には、それが出来るが‥‥絶大な問題もある。
なにが何でも、接続治療を邪魔しなければ、本能を活性化させるが?』
「じゃあ、おねがいするね!」
『それでは、四つ這いになってくれ!』
サガは、了承して、床に手を着きました。
すぐさま、ワンダは、サガの背中に乗り、接続治療が開始されました。
「わぎゃあ!」
『治療には、20~40分ほど掛かる』
それでも、精霊サガは、長時間の治療に身を任せました。一方、男たちは、接続方法の奇想天外さに、最初は、唖然としますが、必死に見守っています。
サガは、健気にも、飲泣呑声しながら、汗だくで震え耐えていました。
やがて、約30分の治療後、しばらくして、サガは、ハイエルフの肉体に戻れましたが、ぐったりと這いつくばり、気力も体力も、使い果たした様子です。
でも、彼女は、生裸ながらも、仲間たちを気づかい、穏やかに微笑みます。
頼もしくも、アンドロイド犬のワンダが、新たなる仲間となりました。
DYNAMITE SAGA by Souji Yamato




