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第99話 ルナ、義母の前で料理の腕を見せる

第99話 ルナ、義母の前で料理の腕を見せる


氷美香視点

うーん。

やっぱり自宅は落ち着くわねぇ。

家の中の匂いは蒼魔ちゃんたちのものに変わっているけど雰囲気は変わらない。

このソファに腰を沈めると帰ってきた感が強くなるのよね。

「お義母様、今日は長旅でお疲れでしょうから、夕食はわたくしにお任せくださいませ」

あら。

今日の夕食はルナちゃんが作ってくれるの?

「お義母様に教えていただきました和食をわたくしなりに咀嚼し、昇華してみました。お義母様とお義父様のお口に合えばよろしいのですが」

「この前に教えたときにあなたの腕を見ていたけど慣れた手つきだったから心配してないわ」

これは楽しみね。

ルナちゃんの料理の腕がいいのはあの時見ていてわかった。

あとは私が教えた和食がどうなったか、気になるわね。

「ねえ、ルナちゃん。料理をする所を見ていても問題ないかしら?」

「ええ。わたくしの所作で変な所があったら教えてくださいませ」

ほんと、できた子よね。

蒼魔ちゃんの話だと、ルナちゃんはエルフの王国の第1王女だとか。

蒼魔ちゃんと一緒に旅をして、ルナちゃんが絆されて結ばれたと聞いたときは思わず私は関西のおばちゃん化しちゃったわ。

リアルで「んまー!んまー!」しか言えなくなるとは思わなかったけど。

とりあえず、ルナちゃんの腕を見せてもらいましょうかね。

ふむ。

基本に沿って昆布から取るのね。

うんうん。

お鍋の水の温度を真剣に見ているようね。

作業は問題ないくらい丁寧ね。

本枯れ節を入れるタイミングもバッチリね。

おお…。

優しい香りが立ち上がって私は思わず声が漏れたわ。

これよ、これなのよ。

この優しい香りが日本料理の根幹なのよね。

ルナちゃんが完璧と思えるタイミングで布を使ってお出汁を越していく。

琥珀色に澄んだお出汁の味見をするルナちゃん。

少し物足りなかったのか、別のお鍋にお水を入れて干し椎茸を入れて出しを取り始める。

ブツブツとルナちゃんが呟いているわね。

時空とかクロノスとか言っているけど何をしているのかしら?

でも、椎茸から出汁を取るにしても半日はかかるわよ?

私の疑問に気づいたのか、ルナちゃんは、

「時空魔法でズルをさせてもらいますね」

とか言うんだもの。

魔法なんて言われても、見た目じゃわからないのよ?

でも何かが違うのがわかるわ。

5分くらい経ったかしら。

ルナちゃんはしいたけを鍋から取り出して味見をして満面の笑み。

…魔法ってすごいわね。

椎茸で取ったお出汁を昆布と鰹節から取ったお出汁に少しずつ混ぜて調味料を入れて味を整える手順も完璧。

これはかなり期待できるわね。


ルナ視点

お義母様の目はありますが、わたくしはいつも通りに美味しい料理を作るだけです。

わかめご飯、銀鱈の西京焼き、ほうれん草の白和え、だし巻き卵、納豆餃子でいきますわ。

手順も慣れたもので、私の魔眼には完璧な量の旨味が見えています。

このお出汁を使ったおうどんも美味しいとは思いますが、今日はスタンダードにいきましょう。

お義母様も感心していただけるくらいにはわたくしの腕も良いようです。

たまにサンがつまみ食いをしたいのかこちらをチラチラ見てきますが、今日はお義母様がいらっしゃいますからね。

したくてもできませんよ?

少し味見。

うん。

完璧です。

魔眼で見ても全てのおかずに旨味がたっぷり。

さて、どのような反応をいただけるか、今から楽しみですわ。


氷美香視点

うん。

わかっていたけどかなり上達しているわね。

もう香りからして料亭のそれよ?

これ、食べたら私の舌はルナちゃんの味に固定されるんじゃないかしら。

そうなるとヤバいわね。

向こうで仕事ができなくなるかも…。

これはちょっと覚悟をしといたほうがいいかも。

一応日本のお店で材料は買えるけど、同じ味にできなかったから冗談抜きでヤバくなるわね。

旦那にもひとことかけておくほうが無難かもしれないわね。


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