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第86話 一学期終業式

第86話 一学期終業式


蒼魔視点

学校の講堂としても使用されている音楽ホールで開かれた終業式で、暇で眠くなりそうな校長先生の話を乗り越えて教室に戻ってきた。

クラスは特進だけどやっぱり学生ということもあり夏休みに何をするかで盛り上がってくる。

「蒼魔、今回もトップ?」

香織が2位の記述がある通知表を見せてきた。

もちろん書かれている評価はオール5。

香織も優秀だからな。

たかし?

あいつはブービーになることが多いね。

だけど今見てみたけどいつもの燃え尽き感はない。

「たかし、今回下から5番目なんだって」

「へえ、たかしにしては快挙じゃん」

「なんか中間試験の後、一念発起したみたいで予備校にも行き始めたようね」

「香織と同じ予備校に?」

「うち?うちは海外で頑張ろうという考えの娘が多いから違うわね。私、オックスフォード狙っているし」

そう言えばそうだった。

香織の親が外交官で自分もなりたいって言っていたからな。

本人は世界各国の美味しいものを食べたいだけなんだろうけど、香織本人が優秀なだけに実現しそうなんだよね。

「たかしの家って医者一家だよね?」

「そうね。確かうちの学校の系列の病院の外科部長だったはず」

「親御さんに発破かけられたのかな?」

「かも?なんか顔つき変わっていたし」

たしかに最近授業をしっかり聞いているんだよね。

「で、蒼魔はいつも通り?」

俺も通知表を見せる。

「ほい」

「案の定、ね。」

「ただ、大学に行こうと思わないんだよねぇ。」

「そうなの?蒼魔ならどこでも行けるんじゃない」

「興味がわかないというか、恋人たちの手伝いのほうが楽しいんだよね」

「…うちのトップが主夫とかどうなの?」

香織が笑う。

「えー、蒼魔っち進学しないの?」

クラスメイトの坂口ひよりが声をかけてくる。

ひよりはうちのクラスの3位に君臨するハイスペックギャルなんだよね。

「なんかさ、恋人を助けているときが一番充実しているんだよね」

「あー、校門でパニックの原因になったあの時の4人?」

「そうそう。自慢の恋人たちだよ」

「よく喧嘩しないね。なんか秘訣あるの?」

「皆自分から告白してきたからなぁ。もともとはルナ1人だったんだけどね」

「うそ!?そうなの?」

「うん。ルナが最初に告白してきて、次にエルシア、サン、レアと告白してきてさ。まあ、レアはエルシアと親友だったみたいで、エルシアがレアをそそのかしたみたいだけど」

「蒼魔っち、名前で言われてもわかんないから特徴キボン」

「あ、ごめん」

俺はスマホで撮影した皆の写真を見せる。

それを見た方はひよりが一言呟いた。

「…蒼魔っち、みんなレベル高くね?」

「おう、自慢の恋人たちだ」

「いや、のろけんなし、と言いたいけど、これは蒼魔っちがのろけたくなるのは分かるわ」

香織も覗き込んできた。

「あー、これは…、蒼魔が自慢するのもわかるわ。」

「だよね。あたしも自信ある方だけど、このなかに混ざれる自信ないわ」

なになに、とほかのクラスメイトも寄ってくるが、

「ほーら、そろそろ散会しろよ。夏休み前の終礼するからよ。」

担任のこの一声でみんな自分の席に戻っていく。

その後は淡々と連絡事項を伝え、担任はさっさと出ていった。

あっさりしてるんだよねぇ、うちの担任って。

終礼するが終わると一人、二人と教室を出ていく。

夏休みを早く楽しみたいんだろう。

さっき野次馬のごとく寄ってきた人も早く帰りたいようで教室を出ていった。

「蒼魔っち」

ひよりが戻ってきた。

「ひより?まだなんかあった?」

「あのさ、このエルシアって人、化粧がかなりうまいんだけど、教えてもらえたりできるかな?」

まあひよりはギャルだからメイク技術を上達させたいんだろうな。

「聞いてみるけど、エルシアは今後忙しくなるよ?」

「そうなん?」

「うん。モデル事務所に所属したからね。だから撮影とかいろいろ予定があってさ」

「モデル!?現役なの!?」

「歌舞伎町でスカウトされたんよ」

「うわー、まじか」

ひよりはドン引きのような驚き方をしている。

「すでに明日から初仕事で撮影とインタビューがあるんよ」

「じゃあ時間がある時にお願いしたいかな」

「わかった。エルシアに聞いてみるよ」

「おー、さんきゅ。日取りが決まったら教えてねー」

ひよりは満面の笑顔で軽く手を振りながら教室から出ていった。

「ひよりらしいけど、騒がしいわね」

「だな。さ、俺も帰るかな」

「たかしー、帰るわよ」

「お、おう」

俺はいつもの三人で帰宅の途についた。

さて、予定はびっしりだ。

タスク管理してこなしていかなきゃね。

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