第76話 (閑話9)天照、いちごパンツを盗られる
第76話 (閑話9)天照、いちごパンツを盗られる
天照視点
「おお、良き天気じゃな」
ゼウスのアホのトラブルが一段落して妾の日常が戻ってきておった。
妾の心は今日の天気のように澄んで青々としておる。
心労がないだけでも気軽になれるというもの。
妾は洗濯籠を持ってバルコニーに向かい、洗濯物を手際よく干していく。
下着は隠して干す必要はない。
なにせ、妾の部屋は地上20階じゃからな。
こんなところまで忍び込むような痴れ者はおるまいて。
そう思っていた時代が、妾にもありました。
翌朝、洗濯物を取り込んでいて気づいてしもうた。
お気に入りのいちごパンツがないことに。
最初は妾も理解できんかった。
ここ、20階じゃぞ?
登ってこれるような場所じゃないぞ?
人も神も予想外のことが起きれば思考が止まるものよ。
しかし困った。
あのパンツは妾のお気に入り。
しかも妹の月読尊がふざけながらもくれた贈り物じゃ。
そんな物を盗られたとなれば犯人の末路を予測するのは容易じゃ。
まず間違いなく月読尊にボッコボコのボコにされてしまう。
妾も下着泥をかばうわけではないが、迎える非情な末路に手を合わさねばおられぬ。
というか、最高神のパンツを盗むどアホはどこのどいつじゃ?
こんなところまで来れる奴は限られておる…。
…。
犯人の神は思うた以上にアホだったようじゃ。
こんな特徴的な足跡を残せば犯人は自分と言っているようなもんじゃ。
のう?
貧乏神よ。
妾のパンツを盗んで何をやらかす気じゃ?
貧乏神視点
やった!
やったぞ!
高天原団地のアイドルである天照様のいちごパンツを手に入れたぞ!!
端から見ればどんな気狂いかと思われよう。
しかし、生活に困窮したわしには関係ない話じゃ。
先立つものがなければ、神といえど生活はできぬ。
我もこれまでいろいろ努力はしてきたが、権能のせいでわしまで貧しい生活を送る羽目になっておる。
ならば、一攫千金を狙って危ない橋を渡らざるを得ないことも理解せよ、と言いたい。
それで、我は思ったのじゃ。
希少価値が高い物を手に入れて、それを売ればいいということを。
地上におる人間には興味もないが転売ヤーなる者には感謝じゃな。
手に入れて売るだけで稼げる。
こんなボロい商売はないわ。
しかし今回我が手に入れたのは特級神物である天照様のいちごパンツ。
出すところに出せば熱狂的なファンが値段を叩き上げてくれるであろう。
天照様には悪いが我の生活費の足しにさせてもらうぞ!!
さて、高天原アンダーグラウンドの、闇オークションに登録するかの。
おっと、大切に扱って厳重に保管せねば。
パンツをラップで包んで桐箱に入れて保管しておけば問題あるまい。
あとは金庫に入れておけば安心じゃわい。
さて、いくらで売れるかのう。
写真もあるし、使用済みと分かる跡もある。
これだけのえびでんすがあれば間違いなく高額になるであろう。
…えびでんすの使い方、これで合っとるかの?
我はこの時点で輝ける豪奢な未来を夢想しておった。
あんなことになるとは知らずにの。




