第71話 エルシア、モデル事務所へ
第71話 エルシア、モデル事務所へ
山村翔子視点
あのあと会社では大揉めに揉めた。
見つけたレッドダイヤの原石がとんでもない爆弾事案だったからだ。
彼氏持ち&ハーレム構成員なのだ。
間違いなくマスコミが騒ぐし、ファンが発狂する。
だが、このデメリットを差し引いても余りあるプロポーションと美貌。
だから重役会議は賛成派、反対派で揉めに揉めまくった。
反対派の急先鋒は常務。
頭の古臭い昭和ジジイでモデルを会社の商品だと言って憚らない。
ただ、そんなジジイでもエルシアさんを逃す損失の大きさを理解しているので、蒼魔さんとさっさと別れされろとがなり散らしている。
彼氏さんを札束で殴ればなんとでもなると思っているんだろうけど、間違いなく返り討ちにされる。
だから私は極真空手の黒帯保有者として常務の意見を真っ向から否定する。
全国大会経験者の私でも勝てないと。
こうなると常務は別れさせ屋を使えとまで言い出したが、さすがに社長が止めた。
バレた場合のリスクがでかすぎるからだ。
反対派はなおも食い下がるが、最後は社長が事務所から独立してでもエルシアを取るとまで宣言したことでゲームセット。
反対派は自らの保身、今の給与を天秤にかけて常務を見捨てた。
見捨てられた常務は哀れだったわね。
まあそのくらいエルシアさんは逃がすべきではない原石ということよ。
身長185センチと高く、股下105センチで足もスラッとしていてこれぞ脚線美の教科書と言わしめるレベル。
エルシアさんに少し脚を見せてもらったけど、私はあれほどの美脚を見たことがない。
この業界に長くいる私でもあと一人見かけるか?と考えるレベルの代物だ。
それに彼女のプロポーションは日本人と一線を画していた。
バスト 113 センチのKカップ。
女の私が見ても羨ましくなる谷間とサイズだった。
一昔前の某水着アイドルでさえ消し飛ばすほどのインパクト。
それなのにウェスト65センチというみごとなくびれ。
惜しげもなくへそ出しだったし、ペイントタトゥーも見事だった。
いやらしく見えそうなデザインだったが、ファッションの一部と見紛うレベルの完成度。
下手したら若者のファッションのトレンドにもなりそうよ。
…PTAがうるさそうだけど。
最後のヒップ100センチ。
もうね。
あのムッチリ感、触れる蒼魔くんが羨ましくなるレベルね。
あとは、水着や下着のモデルはいいけど、男性モデルとのツーショットやイチャコラは完全NGを出されたのよね。
彼氏に操を立てるためというのもいじらしい。
バラエティーとかで大勢でおしゃべりとかなら問題ないらしいんだけど、ね。
扱いにくいとは思う。
事務所の意向に沿わないのだから。
もしかしたら今在籍しているモデルたちが不満を漏らすかもしれない。
そう考えながら私は無意識に机の引き出しに入れている胃薬に手を伸ばすのだった。
エルシア視点
先日歌舞伎町で会った山村さんから正式に採用の連絡と事務所に来てほしいと連絡があった。
あーしとしてはモデルには興味はあるも、無理してまでなる気はなかったんだよね。
だけど、山村さんと会社の社長さんがあーしが所属できるようにするために社内の規約まで変えてくれたと聞かされたときは本当に驚いたわ。
ここまでされたのに断るのはあーしの美学に反する。
だからダーリンに話を通して、当初からの約束である男性モデルとの恋人風撮影のNG、キスシーンのNGなんかが問題ないかを確認してくれた。
たぶんダーリンのヤキモチが発動しただけなんだけど。
ということで、今日はダーリンとルナママと3人で山村さんの事務所に来ているのよ。
ママも心配してくれたみたい。
受付の人に案内されて会議室に通されたんだけど、なんかてっぺんハゲのおデブさんがふんぞり返って座っていた。
このハゲ、誰?
そう考えていると、そのハゲが契約書を渡してくれたんだけど内容を見て愕然。
山村さんから聞いていた内容が何一つ反映されていない。
やれ、ダーリンとの縁を切れとか、事務所の意向は絶対で従わなければ解雇だとか、場合によってはヌードもあるとか、読めば読むほどあーしらを馬鹿にしたような内容だった。
しかもさっさとサインしろとハゲが迫ってくる。
呆れたわ。
ダーリンもそう思ってくれたみたい。
ハゲの目の前でその契約書をビリビリに破いてくれたわ。
その時のハゲの顔は笑えたわね。
は!?みたいな反応だったし。
その後は顔を真っ赤にしてお前なんかいつでも潰せるんだ!とか女は男に黙って従えばいいとか時代錯誤なことを叫んでいたからダーリンが顔面パンチでハゲを黙らせてくれたわ。
はあ、時間の無駄だったわね。
あーしたちがビクンビクンしているハゲを放置して会議室を出ようとしたら血相を変えた山村さんと一人の男性が駆け込んできた。
ルナ視点
舐めていますわね。
私たちを舐め腐っていますわね。
いいですわ。
受けて立ちましょう。
この豚さん、明日の朝日を拝めればいいですね。
ふふふふふ…。
あら?
誰か来ましたわ。
ああ、この血相を変えて駆け込んできた人が山村様ですか。
え?
この豚さん、常務さんですの?
ほあー。
いまだにそんな時代錯誤なことを言う方がいるのですか。
価値観は人それぞれですのでそこは理解しますが、権力でそれを押し付けるのは違いますわね。
うちの国にもいましたわねぇ。
やたら声はでかいくせに不利になると簡単に裏切る痴れ者が。
今思い出してもクソ宰相をボコボコのボコにしてやりたくなりますわ。
アイツのせいでわたくしの故郷が滅びかけましたし。
色目ばかり使ってくる狒々ジジイでしたしね。
まあ、最期は飢えたゴブリンの群れのなかに生きたまま投げ入れられたとか。
結末は、お察しのとおりです。
痴れ者にはお似合いの末路ですわ。
っと、思考がそれてしまいましたわ。
山村様の話ではこの豚さんは、エルシアさんを所属させる上で事務所の規約を押し付けようとしたみたいです。
ですが、その規約は目の前にいる山村様と社長様が改訂してくれていました。
それがこの豚さんは気に入らなかったのか、あのようなふざけた内容の契約書を作ってエルシアさんを縛ってしまおうとしたみたいです。
どこにでも痴れ者はいるものですね。
社長さんの話では今日付けで懲戒解雇にするそうで、交友のある会社にも連絡してくれるそうです。
この豚さんは死にはしなさそうですが、社会からは抹殺されそうですわね。
でしたらわたくしが手を下すまでもありません。
グチッターでこの動画を拡散して差し上げますわ。
ご自分の振る舞いのせいなのですからせいぜい地獄を味わうのがよろしいかと。
地蟲のように泥をすする生活をお楽しみくださいませ、愚かな豚さん♪




