第21話 戻ってきた日常と聞こえてくるサンのこと
第21話 戻ってきた日常と聞こえてくるサンのこと
蒼魔視点
俺的には7年ぶりのクラス。
懐かしく感じる顔、背景でしかない顔、見たくもなかった顔、色々だな。
無意識に入り口で深呼吸してしまった。
そうだ。
こんな匂いだったっけ。
7年ぶりともなると色々と感慨深くもなるね。
俺の席は校外が見える窓側だから、そこから見える風景が懐かしく、より感慨深くなる。
そうそう。
机にこんな傷あったな。
当時の俺、なんでこんな傷つけたんだっけか?
よく覚えてないな。
「よーっす」
こいつは確か島村たかしだったな。
何気で腐れ縁のままここまでずっと一緒なんだよな。
「おう、たかし。連休は何していた?うちは親が帰ってきていたからその相手していた」
俺も軽く返す。
「お前んちの両親、どっちもアメリカじゃなかったっけ?すげえよなぁ。」
そうだった。
こいつの席、俺の前だったな。
「すごいのか、俺には良くわからんよ。無口な親父と少し頭のネジが外れたお袋だし」
「…頭のネジが少し外れていて国際弁護士できるのがすげぇんだよ」
「そうなんかなぁ。」
なつかしいな。
たかしとはこんなやり取り、よくやっていたっけ。
「おー、蒼魔とたかし、元気―?」
俺の真横の席に座っていた杉村香織が声をかけてくる。
「相変わらず元気だなぁ」
香織の元気さに呆れる俺。
てか、サンとは違うベクトルで元気なんだよな。
この子。
特進科なのに陸上部で頑張っている変わり種。
勉強と部活の両立、すごいと思う。
「そうそう。蒼魔、たかし聞いた?なんか、今日スポーツ科で編入試験があるって話」
「俺は聞いてないな。蒼魔は?」
サンのことだな。
はぐらかすか?
うーん。
変に誤魔化さず、正直に話すか。
「知っているも何も編入試験を受けるの、俺の知り合いだぞ。」
うん。
間違ったことは言ってない。
「え?蒼魔の知り合いなの?」
「ああ。」
「男なのか!?女なのか!?女だったら可愛い子か!?彼氏はいるのか!?」
「ちょっとたかし!?がっつきすぎよ!!」
たかしはこれまで彼女できたことないからなぁ。
香織はいつもたかしのブレーキ役で、恋愛対象でもないんだろう。
うん、たかし。
がんばれ。
「答えを俺が言ってもつまらないだろ?たかしが自分で調べろよ」
そう言って俺ははぐらかした。
サン視点
うー。
学科試験で頭が熱いよぉ。
とりあえず待っているように言われたから待っているんだけど、ボクもう疲れたよ。
なんで頭使うと走ったり飛んだりするより疲れるんだろう。
はあ。
ボクは今、机に突っ伏して時間をつぶしている。
早く来ないかなぁ。
あ、さっき色々ボクに聞いてきたオスのヒューマンが入ってきた。
え?
合格?
…合格!?
ボク、学科殆どできなかったよ!?
へえ。
実技と面接が良くて学科の点数をカバーできたんだ。
ってことは、実技を全力でやってよかったってことだね。
ん?
実技試験の記録、もらえるの?
やったー!!
お兄ちゃん達に見せてあげよっと。
ボクは質問してきたオスのヒューマンに案内されるかたちで一つの部屋に通された。
で、ボクの名前を大きな白い板?に書いてボクのことを紹介してくれた。
ほわいとぼーどっていうんだっけ?
なんか聞いた気がするけど忘れちゃった。
それにしても、ここにいるヒューマン、みんなパワーが漲っているなぁ。
マナとは違うけど、微弱な心体強化を使っているみたいに感じるよ。
え?
ボクからも自己紹介するの?
じゃあ…
「はじめまして!ボクは九重 燦。お兄ちゃんについていきたくてここに来ました。よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる。
これはお兄ちゃんから教わったこと。
この国の人は礼を尽くせば礼を返してくれるって聞いていたけど、どうかな?
「ボクっ娘!?可愛すぎない!?」
「よろしくーー!」
「きゃー、かわいいーー」
「お兄ちゃんを追いかけてとか尊すぎ」
甲高いメスの声と
「やべえ、守りてえ」
「笑顔可愛すぎだろ!」
「俺、彼氏に立候補!!」
野太いオスの声。
これは歓迎されたのかな?
ん?
ヒューマンじゃなくて同じクラスの仲間?
ああ、そういうことか。
ボクの仲間ってことだね。
じゃあヒューマンで一括りにするのは悪いよね。
友達たくさん作ってお兄ちゃんに喜んでもらおう。
あ、彼氏立候補は不要です!
だってボクには身も心も捧げた彼氏がいるからね。
このことは黙っておくように言われたから黙っとこう。
エルシアお姉ちゃんの話では軋轢?を生むって言ってから。
でも軋轢って何?




