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第15話 空港へ行こう

蒼魔視点

今日は5月5日。

ゴールデンウィーク最終日でオヤジたちがアメリカに戻る日だ。

既にオヤジの愛車、アルファードのバッテリー対策も済ませたし、親父たちの出発の準備もバッチリだ。

ただバッテリーの作業をしている時にレアがいきなりバッテリー機に興味を持って軍事転用しようとか言い出すとは思わなかったが。

なんでも軍事に転用するから異世界は争いが収まらんのだけどね。

王国も魔国も当たり前のように兵器開発第一主義なんだもんなぁ。

まあ、もう俺の知ったことではないが。

とりあえず、親父たちの出国は羽田空港からなので、都営浅草線の押上駅まで行かなきゃな。

「よし、母さん、準備できたか?」

「ええ、バッチリ。」

二人とも準備できたみたいだな。

恋人たちはこれからどこに行くのか?とワクワクしているようだ。

レアでさえ好奇心を抑えられてないようだしな。

まぁ異世界と建物の雰囲気も異なるから観るもの全てが新しいってところかな。

駅が近づくにつれて見えてくるスカイツリー。

サン、直接登っちゃだめだからね?

また今度みんなで来ような?

階段を降りて羽田空港行きのホームに向かう。

ホームに着くとちょうどエアポート快特が到着したタイミングだったようで、乗客が続々と降りてきていた。

「わはー、ヒューマンばっかりだね!」

「サン、前にも言ったがこの世界にはヒューマンしかいないぞ?」

「そうなの?ボクやルナお姉ちゃん、エルシアお姉ちゃんやレアお姉ちゃんの同族はいないってこと?」

「そうだぞ。だからルナに認識誤認魔法をかけてもらってサンたちが目立たないようにしてもらったんだぞ。」

「そうだったんだー。」

サンの頭を撫でながら地球の事情を教えてあげる。

「つまり我やエルシアのような魔族は地球にいないと?」

「いるのかも知れないし、いないかもしれない。ただ、事実として『地球に魔族、獣人、エルフがいる』という証明が誰もできないんだよ。」

「えー、あーしらがいるじゃない」

「エルシアたちは地球生まれじゃないだろ?」

「まあ、確かにあーしらはそうね。」

「探知魔法とか使えば見つかるかもだが、事実としては存在しない、が答えなんだよ」

うん。レアたちも納得はしてくれたようだな。

扉が閉まる。

いや、レア?

閉まる音に反応するな。

サン、扉の隙間に指を挟もうとするなよ?

エルシアさん?

なんで俺のお尻撫でてニコニコしているんですか?

俺もエルシアにやり返したいけど下手すると痴漢に間違えられて詰むんだよなぁ。

てか親父たちもニマニマしないで助けろや!

帰ったら覚えとけよ?エルシア。

電車はどんどん速度を上げて目的地へと向かっていく。

周りから見たら賑やかな奴らくらいに見られていればいいな。

そうあってほしい。


レア視点

今、我らは主殿たちと共に父上殿を送るため、空港というところに向かっているのだが、この電車というものはすごいな。

音は静かではないため隠密性はないが、人員の輸送とか兵站の輸送を担わせることができそうな代物だ。

悔やむらくは、電車はレールという決まった道の上しか走ることができないということか。

大量に運べるかわりに破壊されれば一気に詰む。

…何事も良いことばかりではない、ということか。

難しいものだ。

まあ、あの魔王や凡庸で欲望まみれの人間の王どもがこのような方法を思いつくことはないだろうな。

少なくともこの電車を知ってしまった我は無為に長く、進む速度も遅い馬車に戻ろうとは思わんな。

地球の技術には本当に驚かされる。

科学といったか。

向こうの世界ではなかった学問だ。

この差は魔法という使い勝手のいい物に依存しすぎた我々への報いなのかもな。


サン視点

お兄ちゃんに手を繋いでもらって空港ってところに来たんだけど何この広さ!!

ルナお姉ちゃんがいたお城より広いんだけど!?

というか綺麗すぎない?

不思議に思っていると掃除道具を持った人やゴーレムみたいなものが綺麗にしてくれているってお兄ちゃんが教えてくれた。

お兄ちゃん物知りだなぁ。

よく見てみるとお兄ちゃんみたいな人以外にもルナお姉ちゃんみたいな金色の髪の人やダークエルフみたいな肌の色の人、エルシアお姉ちゃんほどじゃないけど綺麗な人もいるんだね。

へ〜。

もしかしたらヒューマンの中で種族が分かれているのかな?

さっき金色の髪をした男の人とすれ違ったけど、匂いも全然違ったから、もしかしたらそうかのかも。

まあ、難しいことはわかんないや。


氷美香視点

今回の帰国、本当に濃密だったわ。

まさか蒼魔ちゃんが恋人を連れてきて、しかも四人もいるとか想像もしてなかったわ。

命をかけて背中を守りあって戦っていたらしいから、さもありなんとは思うけど、修羅場にもならないほど信頼していることには驚いたわ。

それに、ルナちゃんと一緒にやった料理も楽しかったわね。

これまで手抜き料理しかしてこなかったのが悔やまれるけど、相応の尊敬は得られたと思うのよね。

ただ、あの子、次に会ったらとんでもない和食を出してきそうで怖いのよね。

それもいい意味で。

私の舌、持てばいいんだけど。

さあ、保安検査を受けなきゃね。

蒼魔ちゃんにも言ってきますを言わなきゃ。

「蒼魔ちゃん、行ってきます。ルナちゃんたち、蒼魔をお願いね?」

あら?普通の事を言ったつもりなんだけど、レアちゃんは驚いているし、ルナちゃんは感極まっているし、エルシアちゃんは自信満々ね。

あれだけ納豆を嫌がっていたことは思えないわ。

サンちゃん派…うん。

かわいいわね。

多分分かってないんだろうけど嬉しいんでしょう。

そういうことにしておきます。

「お袋も、親父も身体に気をつけて。」

「蒼魔、お前もな。」

蒼魔ちゃんもお父さんも挨拶できたし、さあ、アメリカに帰るわよ!!

頑張って仕事をこなすわよ!!

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