第121話 案の定悩む田代とデートの準備
第121話 案の定悩む田代とデートの準備
田代視点
うん。
わかっていた。
わかっていたんだ。
俺は眼の前に今回撮影した写真を並べていた。
1枚くらい撮り損ねはあったぞ?
でもベストショットが多すぎるんだよおおぉぉぉ!!
なんだよこの構図。
撮影した俺がいうのもなんだけど完璧すぎるだろ。
視線、光の差し込み方、水しぶき、表情、どれも完璧じゃん。
「うわぁ…先輩これどうするんっすか?」
分かっている!!
だから悩んでいるんだ!
ほかのスタッフたちも真剣だ。
そりゃそうだ。
どれの写真も表紙を狙えるレベルなんだぞ?
しかもAkiraの方もヤバい。
かっこいい系路線じゃなかったのか!?
めちゃくちゃ可愛いじゃねぇか!!
しかもこの流し目、色っぽすぎんぞ!?
ヤバい、ヤバすぎる。
普段写真集の撮影ではベストショットは10枚あればいいほうだ。
だが今回は700枚近いものほぼすべてがベストショット。
もう頭が痛い。
これ、表紙を決めるだけでも揉めるぞ?
編集担当の川上さんなんか背もたれにもたれかかって天を仰いでいるし。
どーすんのよ、これ。
自分が撮った写真なのはわかっている。
なのにこの良すぎる出来栄えは一体なんなんだよ。
もしかしなくても、俺じゃ扱いきれないやつだったか!?
鬼藤視点
私はAkiraといっしょにシアさんの部屋を訪ねた。
蒼魔くんの姿はなく朝のロードワークに行っているらしい。
ストイックなのね。
「で、鬼藤ちゃん。お出かけは無しって本気で言っている?」
シアさんからピリピリしたものを感じる。
来るタイミング、間違えたかも。
「あのね、シアちゃん。これはモデルとして、私たちを守ろうとしてくれているの。いまスキャンダルが出るのはとってもまずい。だから私も我慢している」
Akiraも心配してくれている。
ムウッ…と膨れられてもこればかりは。
「昨日来た剛翼ってバカのせいだよね?」
「あけすけに言えば、そうなるわね。」
「その、剛翼ってヤクザより強いの?」
はっ!?
なんでヤクザと比較するのよ…。
そこまでじゃないけど、喧嘩の腕は立つみたいよ。
「ふーん。じゃあ問題ないわね」
…なんでそういう判断になるのかしら。
「鬼藤ちゃん、ここからオフレコなんだけど、あーしね、スカウトされた当日に歌舞伎町で二十人くらいにダーリンといっしょに囲まれたんだよね。それも本職寄りの人たちに」
!?
どういうこと!?
「ほら、あーしってこのスタイルでしょ?だからあっち系のビデオとか泡風呂で働かせたかったみたい。だけど、あーしが簡単に袖にしたもんだから仕返しに来たわけよ」
いや、そんなに明るく話す感じじゃないでしょ?
そもそもそんなの警察沙汰じゃない。
「なんで後ろ暗いことをしているやつに正義を語る必要があるの?そういう奴等は真っ向から叩き潰す。これが正解なのよ」
シアさんは私たちの前に拳を突き出す。
「それにダーリンは武道の達人だからね?たしか総合格闘技だったかな?そんなのを習っていたらしいよ」
ちょっと待って。
じゃあ何?
蒼魔くんって人間凶器ってこと?
「否定はしないわ。どうやれば人間が壊れるかよく分かっているみたいだし」
嘘でしょ?
シアさんとバカやっている蒼魔くんが?
「確かにそうじゃないとあの筋肉は説明つかないか」
Akiraは納得するの!?
「なんていうのかな。見せる筋肉じゃなくて、純粋に鍛えた筋肉だと思うんだよね。蒼魔くんの筋肉って」
…確かにボディービルダーのような感じじゃないわね。
「とりあえずシアさんの見解としては蒼魔くんとシアさんがいれば何の問題もない、と?」
「うん。その認識でいいよ。ヤクザより弱いチンピラが何人集まってもダーリンとあーしの前だと子供のお遊戯と同じだからね」
…なんという自信なの。
「もちろん、録音も残すから相手が訴えてきてもきれいに返り討ちにできるから安心してね」
そんなんで、安心していいの?
私は頭を抱えたけどニコニコしているシアさんを見ると嘘には思えない。
とりあえず山ちゃんに聞いてみよう。
確かあの娘も武道に精通していたはず。
「鬼藤ちゃん、あーしら警察の厄介には絶対にならないから安心していいよ」
だから何を根拠にその自信なのよ…。
Akira視点
へえ…。
蒼魔くん、そんなに強いんだ。
じゃあ、蒼魔くんとシアちゃんと三人なら鬼藤さんが言っているチンピラがどれだけ来ても問題がないんだね。
「うん。もちろん切り札もあるからケガの一つもさせることはないよ」
ここまで言い切られると気持ちいいね。
鬼藤さん、どうする?
少なくとも私たちは護衛がつくレベルのモデルじゃないけど、スタッフをつける?
「まだ、悩んでいるわ。正直どこまで信じたらいいか…」
まあ、そうだよね。
「じゃあ、ダーリンが帰ってきたら武術の型でも見せてもらえば?ああ言うのって技術が高いほど見惚れるレベルになんでしょ?」
私にはよくわからない。
たまにオリンピックとかで空手の型とか見るけどすごいなー程度しか思わないもん。
そういう物と思っていたけど、実際はよくわからないわ。
「とにかく!今は動かないで。事務所の山村がくわしいはずだからその連絡待ちにさせて!」
まあ、そのへんが妥協点よね。
じゃあ、結果が出るまでシアちゃんと遊んでいますよ。
ええ。
分かっています。
要はロビーにでなければいいわけですよね?
「そうよ。ホテルの電話にかかってきても取らないで」
ホテルから内線がかかってきても取れないんだったら私たち側からは何もできなくなりません?
情報封鎖されるわけだし。
「とりあえず私か田代さんから指示が来るまでは動かないでね」
はいはい。
でも大変なことになったねえ。
無事には帰れるよね?
多分。
とりあえず蒼魔くんが戻ってくるまで待ってよう。
蒼魔視点
ふう…。
さすが沖縄。
通常のロードワークよりも汗がかけたな。
息を整えてタオルで顔を拭いてロビーに行こうとしていると、
「ちょっと兄ちゃん、いいかい?」
ぞろぞろとなんか今風のチンピラが出てきたな。
はあ。
めんどくさい。
「なんですか?俺は汗かいていてさっさと流したいんですよ」
「時間は掛けないよ。どうも、あのホテルに泊まっているようだからさ、友達として中に通してよ」
「なんで?」
「探している人があのホテルに泊まっているようでさ、ガードマンが邪魔では入れないのよ。もちろん謝礼払うよ?」
そう言って札束を見せてくる。
なるほど。
金を持った馬鹿どもか。
「ここじゃ目につきますからこっちへ」
人目のつかない所に誘導する。
こういうバカはさっさと駆除するに限る。
「で?俺に金を渡すからホテルの治安を乱せと?」
「いやいや、そんなことはしないよ」
「刃物を持っているのに、か?」
お、顔色が変わったな。
「なんだ、バレてるのか。気づかなきゃ、よかったのに…よ!」
おそ…。
「へへ…うまく避けたな」
15人か。
腕前もそこまでないな。
なら…。
「おらぁ!」
あえてオレ顔を殴らせる。
「へ。いきがるからだ」
そっちが…な!
俺を殴った男の顎を蹴り飛ばす。
ガクリと崩れ落ちる。
「剛翼さん!!」
「あー、こいつが…」
俺は軽く頭を掴み、脳に直接悪夢を流し込む。
ルナ直伝のディープナイトメア。
これで一週間、寝ている間は悪夢に悩まされるな。
さて、
「お前らからかかってきたんだ。死ぬ覚悟、できているよな?」
俺は男には容赦はしないんだ。
悪いな。
まだまだ続くんじゃ(笑)
こういう大きなアークは書いてて楽しいです。
まあ執筆速度は落ちてるんですけどね。
このクソ熱い中で書けて熱中症になるのも嫌なので、部屋で大人しくしてます。
本当はウォーキングにも行きたいんですがね。




