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第106話 スタインウェイを弾いてみた

第106話 スタインウェイを弾いてみた


ルナ視点

すごい建物ですね。

さすが表参道の建物です。

店内も綺麗ですし、落ち着いた雰囲気なのもいいですね。

レアさんは何時も通りですが、エルシアさんたちは少し緊張していますね。

お義父様もお義母様も雰囲気に飲まれていますね。

「レアさん、大丈夫ですか?普段通りいけますか?」

少し煽り気味にレアさんに声をかける。

「大丈夫だ。普段通り心は凪いでいる」

「ならいいのですが…」

「うむ。すまないのだが…」

普段通りのレアさんです。

ただ店員さんは少しレアさんの圧に押されていますね。

まぁ、あのスタイルで切れ長の目で見られたら少し気圧されます。

「すまないが、オススメはどれだ?」

かなり優しく聞いているつもりなのでしょうが、歴戦の魔法剣士ですからね。

覇気というのでしょうか。

普通なら気圧されてしまいます。

「え、えっと、オススメはB-211に、なりま、す」

なんか、店員さんがかわいそうになってきました。

店員さんが指を差したピアノを確認したレアさんがピアノへ向かう。

レアさんは椅子に腰掛け、高さを確かめています。

さあ、何を弾くのでしょうか…。

い、いきなりショパンの革命のエチュードですか…。

これは気圧されますね。

本物のピアノだとここまで違うのですね。

王宮の楽団でもここまで演奏できませんね。

あれ?

レアさん、なんか首を傾げていますね。

ほかのお客様も足を止めているのですが、レアさん本人は弾いている最中にも何回か首を傾げています。

「なにあれ…すごくない?」

「どこの音大の人かしら」

ひそひそ話をしていますが、顔は驚いています。

あ、また首を傾げました。

「譜面通り弾けているのに何か違うのかしら…」

観客の方もなぜ首を傾げているか分からないようです。

「なんか、普段通りのレアさんの演奏なんだけど…何か違う…。何がと言われると説明できないんだけど」

ミカエルさんも少し戸惑っているみたいです。

その後もレアさんは弾いていますがその後も度々首を傾げています。

…弾き終わりましたね。

店員さんがレアさんに声をかけるようです。

「す、すごい技術ですね。私、ここで働いて結構長いのですが、ここまで感動したのは初めてです!」

「よ、喜んでいただけて何よりだ」

「しかし演奏中に何度か首を傾げていましたが…何かありましたか?」

「正直に言うと、この楽器は素晴らしいのひと言だ。ただ、我には完璧すぎる。もう少しブレ、というかゆがみが欲しいのだ。」

「ゆがみ、ですか」

「音のつぶが整っているせいか、このピアノは完全無欠に感じてしまうのだ。弾いていて情景が浮かばない。おそらく、我が求めている何かが足りんのだ」

「…お客様は職人気質なのですね。実はうちのピアノは大半のプロが認める楽器なのです。世界的なコンサートでも使われますし、世界的に有名なコンサートホールでも採用されているんですよ」

「それは納得できる。音が整い、癖がなく、アクションも軽い。音響も最高だったからな」

「ですが、お客様には完璧すぎた…と」

「うむ。正直言うと我ではこの子を持て余すと思ってしまった」

「あれだけ弾けていたのにですか!?」

「うむ…、我も口下手ゆえうまく説明できないのだが、足りていない何かが我の中のものと噛み合わないのだ」

「…本物の職人ですね」

「こだわりが強いとは自負しておる」

店員とレアさんの会話は和やかですね。

「レアちゃん、すごいわね。あれだけの革命のエチュード、そうそう聞けないわよ?」

「俺も驚いた。蒼魔の恋人、本当に多才だな」

ふふふ、舌を巻いていますね。

いい感じです。

というか、ミカエルさん、なんで拝んでいるのです?

「しかし、お客様、弊社のピアノが合わないとなるとなかなか探すのに苦労しますよ?」

おお、店員さんがレアさんを煽っていますね。

「フフ、望むところだ」

レアさん、笑顔が獰猛ですって。

店員さんも慣れたのか軽く笑っているので、これで良かったと思いましょう。

「一つ上のランクのC-227もありますが試し弾きをされますか?」

「ふむ。そうだな。試してみても悪くはないか」

レアさんが別のピアノに移動する。

そして鍵盤に手を添えて、ふと何を思ったのかレアさんが顔を上げてニヤリと笑って一言。

「あ、そうだ。少し遊ぶとしよう」

そう言ってレアさんは革命のエチュードを日本音階で弾き始めました。

レアさん?

店員さんが吹き出してますよ?

観客の人たちは驚いてますね。

たまにふざけるのですから困ったものです。


革命のエチュードを知らない方もいらっしゃると思いますので、

参考になるように原曲のリンクを置いておきます。


興味があればぜひ聴いてみてください。


● ショパン「革命のエチュード」

https://www.youtube.com/watch?v=OsMZWH-9ChM&pp=ygUY6Z2p5ZG944Gu44Ko44OB44Ol44O844OJ


併せて、レアが弾いた“日本音階バージョン”も置いておきますね。

雰囲気がガラッと変わるので面白いです。


● 日本音階アレンジ版

https://www.youtube.com/watch?v=Zh_u0VsQXwU&pp=ygUY6Z2p5ZG944Gu44Ko44OB44Ol44O844OJ


次はファツィオリに行きます。

何を弾くかはお楽しみに。

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