第101話 晩酌(その1)
第101話 晩酌(その1)
蒼魔視点
いいなあ…。
お酒飲めていいなあ…。
異世界にいたときは普通にエールとか飲んでいたから今飲めないという事実がものすごく辛い。
いや、まあその対策というわけじゃないけど、ノンアルビールを親父が買ってきていたんだけど。
0.00%だし、今回は家の中で飲む分には問題ないということでOKとなった。
向こうのエールに比べれば全然美味しいよ?
けどアルコールのパンチが欲しいよなぁ。
あ、柿の種美味しい。
これ、親父たちがビールのアテに最高って言っていたのがよく分かるね。
ノンアルでも十分美味しいもん。
一応ルナがお酒を飲まない俺とサンも美味しく食べられるアテを作ってくれているから満足なんだけど…。
やっぱりパンチが少ないよぉ…。
あと3年かぁ…。
まだまだ先だなぁ。
とりあえず最近はノンアルの代替品も増えてきているからそのへんで騙し騙し行くことにしよう。
ぱりんこチーズも美味しいな。
このカリカリととろけ気味のモッツァレラチーズもいいんだよね。
カマンベールだと揚げ焼きのときに溶け出ちゃうからあとが大変なんだよね。
主に片付けが。
あと、これはお袋がよく作ってくれるんだけどちくわの柴漬け大葉ロールも美味しい。
もともと貧乏舌だったから何でも美味しく感じられるからいいんだけど。
サンもみんなと楽しく飲んでいるから良しといえば良しかな。
あ、サン、それ梅酒じゃ…?
獣人だから年齢制限はかからないといえばかからないけど…俺だけしらふになっちまったよ。
畜生(泣)。
エルシア視点
ダーリンだけ年齢の縛りでお酒飲めないのは可哀想とは思うけど、この国では20歳未満はお酒NGなのよね。
こればっかりはダーリンが悪態をついた女神様の意地悪だったのかしら。
まああーしたちの世界に転移した1時間後に戻っているから一概に意地悪とも言えないんだけどね。
というかこっちの世界のお酒、本当に美味しいわね。
チューハイというものを飲んでいるんだけど、めっちゃフルーティじゃないの。
そこまでアルコールも強くないから飲みやすいわね。
あーしはきゅうりの浅漬をポリポリ食べながら満喫している。
というかルナの浅漬ヤバいくらいうまいんだけど。
かっぱえ◯せんじゃないけど止まらないわ。
いい感じに出しが効いていて、塩味もバッチリ。
醤油も不要なくらい味がしみているから本当に止まらない。
ん?
今度は何持ってきたの?
チータラをオーブンレンジで温めてカリカリにして塩胡椒をかけた!?
それ絶対うまいやつじゃん!
カリッ。
ボリポリポリ…。
うん。
これも止まらないアテだわ。
ルナのことだからそこまでハイカロリーにはしていないとは思うけど背徳感ヤバいんですけど。
しかも鶉の卵の味玉もヤバいし、もうたまんないわよ。
カシュッ!
次はハイボールよ!
…ルナ?
なんでそこでニラの卵とじとかよだれ鶏とか持ってくるかなぁ。
ってか、パパさん!?
なんで自分で焼き鳥焼いてんの!?
あーしにも食べさせて!!
氷美香視点
主人は気分が乗ったみたいで焼き鳥焼き機を引っ張り出してきて焼き始めた。
エルシアちゃんの目の色が変わってまだ!?って言ってきたのには笑ったわ。
今日の串は鳥もも、ベーコンチーズ、砂肝、ししゃも、せせり、ボンジリ、牛サガリとまあバリエーションが豊富ね。
この人数いるから串打ちも大変だけど、そこは蒼魔ちゃんとルナちゃんが手伝ってくれたわ。
サンちゃんとミカエルちゃんは出来上がっていく串を見ていてテンション上がりまくって二人して踊っているわ。
というかミカエルちゃん、結構高位の天使なのよね?
こんな俗っぽい食べ物でいいの?
霞とかじゃなくて?
あー、元いたところではこういうジャンク系の食べ物がなかったわけね。
で、こっちに来て食べてハマっちゃったと。
ほら、生ビール缶あげるからこれでも飲んでなさい。
3人でかかれば串もあっという間にできるわね。
あとは焼き上がるまで、ルナちゃんが作ってくれたアテを食べながら待ちましょ。
でも夕食のときは驚いたわ。
正直料亭で食べるもの以上の味なんだもの。
そんな物を作れるのにこういうジャンクなものも作れるのがすごいわ。
この梅水晶や鶏皮の湯引きとか最高じゃない。
さっき持ってきてくれたよだれ鶏もどんどん食べちゃうし、お酒も進んじゃうわ。
あー、旦那出来上がっちゃったわね。
ねじり鉢巻をおでこに巻いて完全に焼き鳥屋の大将になっちゃったわ。
でもこういう宅飲みもいいわね。
義娘たちと飲めるお酒とか最高じゃないの。
本当はもう少し先の話かと思ったけど、こればっかりは蒼魔ちゃんに感謝ね。
レア視点
なんとかぐわしき酒なのだ。
我は義父殿に勧められるまま芋焼酎を口に運ぶ。
赤霧島という焼酎らしいのだが、香りからして我好みだ。
水割りやお湯割り、ロックなどいろいろな飲み方があるそうだが、今回は義父殿が進めるロックでいただいている。
出汁割りというのもあるそうだが、ルナ殿の作った出汁なんか入れて焼酎なんぞ飲んだら翌日地獄を見ることになることはわかっている。
ルナ殿には申し訳ないが想像するだけで怖気が走るわ。
しかしこの焼酎という酒は本当にいろいろなものに合うな。
チーズを一口食べてからの焼酎のひと口。
銀杏をひとくち食べてからの焼酎の一口。
食べるものを変えるだけで口の中のマリアージュが変わる。
同じ飲み物なのだぞ?
油が多いものを食べて飲んでもスッキリする。
なのに鼻の奥に芋の香りだけを残していく。
これは、ドワーフたちに飲ませたらだめなやつだ。
この一升瓶だけで凄腕のドワーフを雇えるぞ。
ん?
なんだ義父殿、どうかしたか?
何? もっと良い焼酎が有る、だと!?
森伊蔵、魔王、佐藤、黒伊佐錦!?
もしかして義父殿、お持ちなのか!?
…高額で希少なのか。
だが我に紹介したということは期待してよいのか?
ふむ。
では年末に飲もうではないか。
我も先程の焼酎は飲まずに我慢しておくぞ。
飲み比べをしようではないか。
む、焼き鳥か。
いただくとしよう。
七味をかけたほうがうまいのか?
やってみよう。
もぐ…もぐもぐ…。
グビッ。
…これはヤバいな。
エルシアではないが永久機関ができてしまいそうだ。
義父殿?
次は何を持ってきたのだ?
グレンフィディック?
18年ものだと?
義父殿がボトルの栓を抜いて手渡してきた。
匂いをかげと?
…やばいな。
芋焼酎以上だ。
むしろ我に飲ませてくれるのか?
もちろんロックだ!
いただこう。
……はあ。
幸せだ。
むしろここにドワーフがいなくてよかった。
こんな旨い酒、あやつらに飲ませてなるものか。
我はピーナッツを噛み砕き、琥珀色の酒で口を潤す。
酒に釣られたわけではないが、主殿についてきて本当に良かった。
む? 酒に釣られたわけじゃないぞ!!
晩酌の話、続きます(笑)




