第10話 二日目の朝ごはん
異世界から帰還した翌日の朝。
漂ってくる優しい匂いで俺は目を覚ました。
恋人たちは流石に俺と同じ部屋で寝させてもらえなかった。
そりゃ俺の年齢的にはそうなんだけどさ。
16歳だし。
異世界だといつも一緒に寝ていたからさみしいのよ。
エルシアには少し期待していたんだけど、来なかった。
エルシアにも常識があったと思おう。
うん。
俺は寝間着からサッと着替え、洗顔、歯磨きをすませて食堂へ向かう。
「蒼魔ちゃん、おはよう。」
「よく眠れたようだな?」
「あなた様、おはようございます。」
「おふくろ、ルナ、おはよう」
食堂に着くと、朝食の配膳は済んでおり、ルナとお袋と親父は椅子に座って待っていたようだ。
今日の朝ごはんは白ご飯に玉ねぎと椎茸の味噌汁、サラダ、卵焼きか。
それにしてもルナのやつ、本気で和食覚える気だな?
いつも以上にニコニコしてやがる。
「お兄ちゃんおはよー」
「主殿、いい朝だな」
「ダーリン、淋しくなかった?」
サン、レア、エルシアも起きたようだ。
てか、俺の恋人たち、寝起きのすっぴんでも美人だなぁ。
あ、親父、またエルシアに見惚れて頭はたかれている。
まあ、俺が見惚れるくらいだから仕方ないけどさ。
レア、サン、エルシアたちも椅子に座り「いただきます」の挨拶で食事を始める。
昨日もそうだったから親父たちも驚いていたが、向こうの世界でも俺がやっているのを見て、みんな真似してやるようになったんだよなぁ。
まあ、結果オーライだな。
ん?
「あれ?今日はルナ、料理してないのか?」
いつものおふくろの味だったからルナに尋ねる。
「ええ。今日は見学を中心にさせていただきましたの。本当に奥が深くて、もう楽しくて楽しくて」
玉子焼きを箸で器用に小さく切って、ルナは自分の口に運ぶ。
「んー。優しくて美味しいですわ」
ルナさん?顔とろけていますよ?
「主殿、悪い。このみそしるというスープ、ぬめぬめしているのだが食べても大丈夫なのか?」
レアの方を見ると眉をひそめてげんなりしていた。
あー⋯なめこはなぁ。
普通悪くなった食材はぬるぬるするから分からんでもないな。
⋯⋯慣れてなきゃこういう反応にもなるか。
「そういうもんだと思って食ってみろ。うまいから。」
「むぅ、主殿がそういうのであれば⋯」
レアは恐る恐るなめこ汁をすする。
あ、美味かったのね。
カッと目を開いたと思ったら一気食いしやがった。
まあいいけど。
サンはいつも通り笑顔ハムスターだし、エルシアはまだ眠いのか、口数が少ない。
サキュバス自体夜行性だしな。
しかたない。
「なあ蒼魔」
「ん?なんだ?」
普段食事中は喋らないオヤジが声をかけてくるなんて珍しいな。
「今日の昼、久々に銀座の寿司屋に行こうと思うんだが⋯お前の恋人たち、食べられるか?」
「んー、どうだろう?でも俺らがうまそうに食べていたらまず間違いなく食べると思うぞ」
「そうか。じゃあ準備しておいてくれ。」
「りょ。」
生魚なんか、普通は食べないもんなぁ。
異世界でも食べている人を見たことなかったし、俺自身も怖くて食えなかった。
さて、みんなどんな反応するかな?
楽しみだ。
てか、エルシア?
いくら眠いからって飯食いながら船漕食ぐなって。




