ふわふわした朝のベッドの上
朝。土曜日。
優子は目が覚めると、目の前には触り心地の良く、温かいものがあった。優子はそのものを抱きしめていた。
優子は汗ばんでいたが、目の前にある、抱きしめているものがあまりにも心地よく、寝起きの頭がよく回らない状態で、一度少し力を入れて抱きしめて、顔をうずめた。
ふと思い出した。お泊り会で、一緒なベッドで寝て…。
そう、目の前にある、抱きしめて、顔をうずめていたのは、由紀江の体だった。
「‼」
優子は慌てて離した。いやだったとかではない。急に恥ずかしくなったからだ。
すると由紀江は、
「うーん…。」
と言いながら、体勢を変えて起きるのかと思ったらまた寝たのだった。
優子はじっとりとしていた。額も汗ばんで、体も熱い。ずっと由紀江とくっついて寝ていたからだ。優子は少し気になった。由紀江も汗をかいているんだろうかと。
気になって、由紀江の額に手の甲をつけてみた。じっとりと汗ばんでいる。二人で汗をかきながら、くっついて寝ていたのだ。
優子はぼーっとしながら、由紀江の体に触った。布団から出ている肩。少し熱い。気になった。優子は由紀江の匂いを嗅ぎたくて仕方なかった。頭が回らないまま、優子は欲望に従って、由紀江の首元に顔を近づけて、スンスンと嗅いだ。とてもいい匂いだった。シャンプーとかボディーソープとかの匂いではない。完全に由紀江の匂い一色。優子にとってはそれがとてもいい匂いに感じられて、ずっと嗅いでいたかった。だから何回もスンスンと嗅いだ。
「優子ちゃん…?」
由紀江が寝起きの目で優子の方を向いていた。
匂いを嗅いでいるときに、優子の髪が由紀江の顔にあたって、さわさわと触れていたらしく、それで起きたのだった。
優子は、バッと体勢を起こし、離れた。
優子はなんだかとんでもないことをしたような気になった。思い返してみれば、昨日の夜も、とんでもないことをしていなかったか?寝起きからまるで脳が覚醒したかのように記憶をたどった。
「優子ちゃん?どうしたの?おはよう?」
由紀江は幸いにも、まだ寝起きでボーっとしている。頭の中がふにゃふにゃである。
「あ、いえ、その、あ…、おはよう…ございます…。」
「おはよ?」
今日は由紀江も一日休みを取っている。少しベッドの上で二人ゆったりとした。
「んー、なんか空気冷たいのに体熱い。」
由紀江も優子とずっと密着して寝ていたので、汗ばんでいて、体が熱くなっていた。
「優子ちゃん、優子ちゃんは熱くない?」
由紀江は手を優子の頬と額に順番に手をやった。
「⁉」
寝起きだからか、由紀江の距離感がいつもよりも近い。優子はガチっと固まって、なされるがままだった。優子の汗はとうに引いていたので、
「少し熱いけど、汗は出てないんだね。私、なんかじっとり…」
由紀江の寝起きのふわふわした雰囲気に、優子は戸惑ってしまう。由紀江は完全にオフだ。
そもそもこの状況が特別だった。温泉の時とは違う。由紀江のベッドの上で、二人座って寝起きでゆったりとしている、この状況。距離があまりにも近い。
優子は、先ほどのこともあって、我にかえって少し緊張しながらも、その状況はとても居心地が良かった。由紀江の雰囲気、空気が感じられて、感触や体温まで伝わってきそうな感じがして、それがとても心地よく感じた。
「優子ちゃん。寝られた?抱き合って寝たけど。良く寝られたかな?」
「あ…。私、やっぱりずっと抱きしめてたんですか。なんか変なことしてませんでしたか…?…私。」
「んー?特に?気持ちよかったよ?優子ちゃんに抱かれて。」
「え…?なんですか。その言い方。」
優子は困惑した後、少し不満げに由紀江に言った。
「あはは、ごめんごめん。」
由紀江はそう言いながら優子の頭をなでた。
もう普通に優子は由紀江に撫でられる。この状況だから撫でてるのか。寝起きだからまだ頭が回っていないのか。それとも同じベッドで一夜を過ごしたから?
お互いこの状況が、何が何だかわかっていない。
「でも本当にね。優子ちゃんと寝たら、なんか、気持ちよかったよ。別にスケベな意味じゃないよ。なんか、すごく、うん、良かった。本当に良かった。」
由紀江は満足そうに言った。優子も由紀江と一緒なベッドで寝て、いつもより寝心地が良かったように思えていた。いや、間違いなく。いつもよりも気持ちよく寝られていた。
優子は思った。これが、温もりというものなのだろうかと。それは寝起きの今の時間も感じられる。由紀江の温もりが。
二人はしばらくくつろいだ後、歯を磨いて、顔を洗って、朝食の準備をした。




