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お泊り会で縮まる距離

 優子(ゆうこ)由紀江(ゆきえ)の家で、二人でお泊り会をすることとなった。

 由紀江はあらかじめ、洗濯はうちですればいい、お泊り歯ブラシなどのセットだけで、ほかは気を遣わなくていい、ということを伝えておいた。優子はそれでもシャンプーやリンス、ボディーソープなどは持参してきた。優子にとってはそれもお泊りセットなのだった。由紀江はこだわりがあるのかなとも思ったので、それはいいと思った。しかし優子の持っているものを見ると、由紀江の使っているシャンプーやリンス、ボディーソープと同じものだった。

「え。私の使ってるものと同じ…。」

「あ…、はい。由紀江さんの使っているものと同じ匂いの方が、なんだか、安心するので…。」

(え、え、それって、え?か、かかか、かわいいいいいいぃぃぃ!!!!)

 由紀江は優子のあまりの可愛さと、嬉しさに抱きしめたくなった。しかし、いきなり抱きしめると、セクハラになってしまうかと思って、なんとか思いとどまった。

「あー、優子ちゃんね、すごくね、かわいいよ。私は嬉しいよ。好きだよ。」

「え…?いったい何ですか急に。」

 由紀江の突然の意味不明な告白に困惑した。

 由紀江はふと我に返った。

「ん?同じなら、別に持ってこなくても良かったんじゃない?私の使えばいいのに。」

「それは、申し訳ないです。」

「えー、また気遣ってるー。ほら、私の使う方が、本当の意味で一緒なもの使ってるってことになるよ?」

 由紀江は少しからかい気味に言った。優子はそれがからかっているのかどうかはよくわかっていない様子だったが、

「本当にいいんですか…?」

 と聞いてきて、由紀江は、目を輝かせながら、

「もちろん!」

 といった。

 なぜだろうか。由紀江は自分のを使ってくれる方がうれしかった。人とはそういうものなのかもしれない。

 由紀江と優子は一緒に晩ご飯を作った。今日も和風。煮物が中心。

 晩ご飯を作った後、優子は先に風呂に入った。自分で持ってきたシャンプーなどはリビングにまとめて置いてきた。使うのは由紀江の使っているシャンプーなどである。

 優子はそれを使うとき、なんだか少しドキドキして、幸福感に包まれた。なぜだかは明確にはわからない。物は同じなはずなのに。由紀江が使っているものを使うというだけで、それだけで特別な感じがした。

 体を洗い終えて、湯船につかる。家では水道代を抑えるためにシャワーだけで終わらせることがほとんどであるため、久々の風呂である。

 優子は力が抜けた。そして由紀江と温泉につかった時のことを思い出した。とても楽しかった思い出である。優子にとって特別な思い出だ。さすがにこの大きさの湯船で由紀江と一緒に入るのは、あまりに距離が近すぎる。しかしまた一緒にお風呂につかりたいと思うのであった。

 優子は風呂から上がった。

「お待たせしました。」

「はーい、じゃあ、次入るね。ご飯までくつろいでいてね。」

 そう言って、由紀江は風呂に入った。

 優子があんなことを思いながら風呂に入っていたが、由紀江も風呂につかるたびに、優子とまた一緒にお風呂に入りたいと思っていたのだった。

 頭を洗って、体を洗って、風呂に入る。

「ここで優子ちゃんと入るには狭すぎるかな。さすがにね。ラブラブカップルじゃあるまいし。」

 由紀江はそう思いながらも、有りなのか?と、少し期待をしていたのだった。

 由紀江が風呂からあがると、洗濯機を回し始めた。そして部屋に行くと、優子はテレビを見ていた。相変わらずチャンネルは変えていないようだ。

「おまたせー。ご飯食べようか。」

「はい。」

 温めなおして、盛り付けて、準備が出来たら食べ始めた。

「なんだか懐かしいね、この感じ。」

「そうですね。やっぱり由紀江さんと食べるとおいしいです。…。由紀江さんの料理がおいしいのでしょうか。」

「んふー、どっちもだよ。っていうか、料理は一緒に作ったじゃん。優子ちゃんの料理でもあるんだよ?」

「二人で作ったからおいしいのですかね。」

(ああ、かわいい。)

 由紀江は優子の様子にうっとりしていた。決して由紀江が変な人なわけではない。優子にそういう素質があるのだろう。

 食べ終わって、食器を洗ってすべてが終わったら、洗濯も終わり、二人で干して。などいろいろとやった後、くつろぐ時間になった。

「ゼリー食べない?」

「ゼリーですか。はい。食べます。」

 由紀江は冷蔵庫からゼリーを持ってきた。どうやら売っているゼリーではなく、作ったらしい。

「え?作ったんですか?」

「百均のね。でもこれが一番好きなんだよねー。」

 百均で売っている、手作り用のゼリー。由紀江の好物だという。メロン味とイチゴ味。二人は分け合って、テレビを見ながら食べた。

「確かにおいしいですね。これが百均ですか。」

「百均っぽいと言えばぽいんだけど。それがおいしいのかなぁ。」

 由紀江と優子は話しながら食べた。

「私もこれ、気に入りました。」

「ホント?良かった。」

 由紀江は優子が自分の好きなものを気に入ってくれて嬉しかった。

「また作るね。」

「はい。お願いします。」

 そんな会話をしながら、テレビを見て百均のゼリーを味わっていた。

 それからもいろいろと話をした。

「そういえば、由紀江さんて、今いくつなんですか?」

「あれ、言ってなかったっけ。今二十七だよ。今年で二十八歳。優子ちゃんとは十歳差。」

「十歳差ですか。思ったよりお姉さんでした。」

「ふふん、そうでしょう。見た目そんなでもないでしょ?十八歳くらいに見える?」

「いえ、さすがに十八歳はないです。」

「(ガーン)そ、そっか…。」

「いや、老けてるとかじゃなくて、雰囲気が十代ではないです。」

「なるほど?色気があるってことかな??」

「まあ、そんな感じ、です。」

 そんなたわいもない話をしながら、ゼリーを食べて、くつろいで過ごした。

 優子は初めのころに比べると明らかに心和やかになっている。一人で暮らし始めたというのも大きいかもしれない。一人で暮らしているからこそ、由紀江との時間が、きっと楽しいのだ。

 そして、そろそろ寝る時間になった。二人は歯を磨いて、寝る準備をした。時間はとうに、優子が普段寝る時間を過ぎている。優子は普段一人ではやることがないので、すぐに寝てしまう。今日は、デザートも食べて、由紀江と話して、充実した時間だった。二人は寝室に行った。


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