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勇者狩り ~僕は女神に反逆し、異世界転移した勇者達を狩る~  作者: 羽生ルイ
Case5:ランドール-ざぁこざぁ~こ♡ざこ勇者♡
100/183

#7

「勇者狩り」、本日の更新で100エピソードに到達しました

ユートの戦いはまだまだ続きますが、ここまで物語を続けられているのも読んでくださる皆様あっての事


深い感謝と共に、物語をお届けします


よろしければ★評価、ブックマーク、感想等で応援頂ください!

「ところでリコ?少し聞きたい事があるんだけど」

「……リコの好きな食べ物はアイスクリームだよ♡」

「いや、そういう話はまた後で聞かせて貰うよ。今聞きたいのはこの国の名前とか、今の状況なんだけど」

「え~、お兄さんそんな事も知らないの~?」

「まぁ、僕はついさっきこの世界へ来たところだからね。それに君から学んだ知識は言葉だけだから、国の名前は沢山知っていてもここがどこかは判らないし、あの軍勢が魔王軍らしいことは判っても、今の戦況までは判らないからさ」

「ふ~ん。じゃあ、さこのお兄さんにリコが教えてあげるね♡」


 リコはそう言うと言葉の端々に煽りを入れながらこの世界の事を教えてくれた。

 まず僕達が今いるところはランドール王国と言う名の王国で、僕の前にある都市が首都であるランドーリア。国全体の人口は21万人程度で、この世界では比較的小さな部類の国らしい。

 ランドールは3つの大国と国境を接しているらしいけど、そんな国がどうして魔王軍に襲われているかというと……ランドール王国の立地に問題があるらしい。


「大陸の東端にあるランドールに、さらに東から魔王軍が……?」

「なんか、大きな島から来るって言ってたよ。魔王島とか、おかしいよね♡」

「まぁ、島と一言でいってもいろいろあるからね。地球でもグリーンランドとかは結構大きい島だし。でも、島から侵攻してくるってことは、魔王は海軍を持ってるってことかい?」

「普通に歩いてきてるよ、魔王軍。島に橋が架かってるって言ってたし」


 大陸から島に橋が……?

 現実世界で言えば明石海峡大橋やアクアライン、あるいはクリミア大橋みたいな長大な橋梁でも設置されているんだろうか?


「リコ、それはどんな橋かわかるかい?」

「さぁ?見たことないからわかんない。でもここの建物、全部石だから橋も石なんじゃない?」


 そう言ってリコが視線で指したランドーリアの城壁は確かに中世的な世界では良くある石造りの建造物だ。

 問題はこの技術力で大陸と島嶼部を繋ぐ橋が建造できるかどうかだけど……いや、魔法のある世界ならなんとでもなるし、そもそも僕が気にすべきはリコの持つチート能力であってこの世界の建築技術ではなかった。


 その後、さらに会話を続けたけどリコは情勢にはあまり興味が無いらしく、1ヶ月程前に魔王軍が大陸側へ侵攻してきたこと、そして防衛線を突破され現在は王都目前まで魔王軍が迫っているという危機的状況を、さして危機とも思っていないかの様子で教えてくれた。


「魔王軍が布陣してるってことは王都決戦目前なんだよね?リコは随分と余裕があるみたいだけど」

「だってリコは勇者だから♡まぁ、騎士のおじさんたちも、まほーついかいのおばさん達も、皆よわよわのざこだからさ、リコが頑張らないとなんだけど」

「いや、リコみたいな小さな子に頼り切りの軍ってどうなんだ……」

「ほんと、ばっかみたいだよね。ざぁこざぁ~こ、ざこ王国♡」


 リコがそんな事を言っている間に城壁の裏門とおぼしきものが見えてきた。見たところ裏門であるこちら側に魔王軍や魔物の気配はないけど、それでも門の周囲には結構な数の兵士達が駐屯している。おそらく先ほどリコが言っていた隣国からの補給が行われる、ランドールにとっての生命線となる門がここなのだろう。


「勇者様!お探ししてましたにゃ!」

「ロロ、ただいま~」

「……そちらはどなたですにゃ?」


 門近づいた僕達の前に、小柄なメイド姿の人物が姿を現した。篝火に照らされた彼女の姿は……。


「……猫の……獣人?」

「にゃんですか、あなた。人の顔をじろじろ見て失礼ですにゃ!」

「申し訳ない。僕の名前はユート。勇者リコ様に荷物運び(ポーター)として雇われた者です」

「ポーター……?勇者様?」


 僕の言葉にロロと呼ばれたメイドは目を細めて僕の方を見つめている。

 ……そう言えば先ほどリコが言っていたお世話係のメイドというのが彼女なのだろう。いや、さすがに猫の獣人だとは思わなかったけど。


 リコはロロが自分と同じぐらいの年だと言っていたけど、背丈はともかくとしてこの手の獣人は人間種である僕達から見れば個人の識別や年齢の把握がしづらい。ロロが見た目通りの少女なのか、それとも幼く見える成人なのかはわからないけど――。


「うん。まぁよわよわなお兄さんだから、戦闘は無理らしいけど、不思議な力で荷物は沢山運べるんだって♡」

「……怪しい者ではないですのにゃ?」

「怪しいよ?たぶん、ロリコンさんだし」

「……えっと、リコ?さっきもいったけど僕は『国元』に婚約者がいるからね?」

「子供の冗談なのに、マジになってておっかし~♡」


 リコの言葉にロロは呆れた様に首を振りながら、僕に話しかけてきた。


「勇者様がそういうのなら、城壁の中へ入ることを認めますにゃ。でも、おかしなことをしたら、すぐに衛兵が来ますにゃ!まぁ、あなたみたいなひ弱な人間が勇者様をどうこうできるとも思えませんけどにゃ!」

「ええ、それはもちろん。わかってますよ、ロロさん」


 ロロはそう言って警告をしてくる。腰に手を当てて睨み付けるような目つきだけど、小柄な上に頭の上でネコミミが、背後に尻尾が揺れているとどうにも迫力には欠ける。


 ただ……彼女はおそらく見た目通りの存在ではないのだろうと僕は思う。

 なぜなら彼女が姿を現したとき、僕は事前に彼女の接近を全く察知できなかったからだ。まるで闇の中からにじみ出すように音も無く現れた様子は、彼女が猫の獣人であるという理由だけでは説明が付かないと思ったんだ。


 リコとロロに先導され、ランドーリアの城壁内へと足を踏み入れる。

 前々回に訪れたナンサイバも城塞都市だったけど、ネオンサインで煌煌と照らされたあの不夜城とは違い、ランドーリアの街は不気味なほどに静まりかえっていた。


「リコ、この街の人達はもう避難してるのかい?」

「避難?リコが魔王をやっつけるのに、避難とかありえない~♡」

「……ロロさん?」

「逃げる所なんて無いですにゃ。ミリアルド王国もリンウッド公国も、マーテウス魔法国だって皆とっくの昔に難民の受け入れは拒否してるにゃ」


 ミリアルド、リンウッド、マーテウスというのはリコが言っていたランドールと国境を接している三つの列強の名だろうか。

 地理的に見てランドールは魔王の侵攻を食い止める防波堤のような位置にあると聞く。なら列強からすれば難民を受け入れるよりも、ランドールの国民にこの地で全滅するまで戦わせて少しでも魔王軍の勢力を削らせようとでも考えているのかもしれない。

 リコはそのあたりの政治的な事に興味は無さそうだけど、現地人であるロロは当事者だから事情には詳しいのだろうか?


「難民の受け入れを拒否すると言っても、列強だって魔王軍の侵攻には備える必要がありますよね?なら支援とか派兵とかは……」

「何言ってるにゃ?三国は互いに牽制し合ってるから、どこかがランドール(うち)に肩入れしたら抜け駆けして影響力を高めるつもりか!って非難の応酬になるにゃ」

「……大国同士のパワーバランスをとるために、魔王軍の防波堤になるランドールを見捨てるってことですか?」

「はぁ……ユートだっけ?あなた何でそんな事も知らないのにゃ?」


 ……どうやら僕が聞いた事はこの国、あるいは周辺諸国では常識とされるような事だったのだろう。ロロが僕を見る目が厳しいものになった。

 いや、元々猫獣人の瞳だけあって光を反射して暗闇でも光っているから威圧感があるんだけど。


「すまない、僕は遠方から来たからこの辺りのことは詳しくないんだ」

「……どうだか……にゃ」

「ロロ~、お兄さんはよわよわだし、物知らずだから教えてあげて♡」

「……勇者様がそう言うなら仕方ないにゃ」


 リコの言葉に、ロロはため息を付いてからそう言った。いや、リコのおかげで助かった。物知らず呼ばわりが気にならない訳ではないけど……実際、現地の情勢については僕は何もわかっていないから反論のしようもないからね。

 呆れた様子でロロが語ってくれたところによると、ランドールと魔王の支配領域を繋ぐグレートブリッジなる橋の大陸側に、魔王軍の侵攻を防ぐ防衛拠点「大要塞(グレートフォートレス)」なるものがあるらしい。

 そしてそこの守備隊としてランドール王国、ミリアルド王国、リンウッド公国そしてマーテウス魔法国の4国がそれぞれ2,500名の兵士を常駐させ、勢力の均衡をとりながら防衛にあたっているのだそうだ。


「……ちょっと待ってくれ。そんな防衛体制があるのに、どうして王都の目前に魔王軍がいるんだい?」

「そんなの、大要塞(グレートフォートレス)が陥落したからに決まってるにゃ。だから勇者様が召喚されたにゃ」

「よわよわ要塞♡リコの方が頼りになるなんて、ホントざこ要塞だよね♡」


 リコはそう言って要塞を馬鹿にするけど、それはつまりランドール王国はリコの戦力を1万の兵に匹敵する……いや、それ以上だと考えていることになる。

 もしリコが戦場で本当にそれだけの働きをするのだとしたら、彼女は相当に強力なチート能力を使っていると見て間違い無いだろう……。

 リコは自身のチート能力を秘密だと言い、そして自分はチートを使っていないと言い張っている。本人から聞き出せないのなら、側仕えのロロに確認してみるのも手かもしれない。


「じゃあ勇者リコ様はランドール王国の――」


 僕がリコの力について、ロロに質問しようとしたその時だった。


 WROOOAARRR!!!

 AWOOOOOOOO!!!

 GRAAAAAAWR!!!


 咆哮、としか形容出来ない大音響が静まりかえっていたランドーリアの街に響き渡る。

 この声は魔物や魔獣の遠吠え?しかも1体や2体ではない、かなりの数が咆哮している……!?

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