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職業は精霊の愛子  作者: 黒色猫


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第12話


「残りの魔石には、そこにしかない魅力が隠されてるんだよ。それを引き出せたら一流の職人と言えるんじゃないかなー?」

「魅力…」


 改めて、作業台の上に広げられた魔石の欠片を見る。どれも不揃いで、1つとして同じ形がない。決まった枠がない分、世界に1つだけのものは作れるかもしれないな。うん、ちょっと作品のイメージが湧いてきたぞ。


「何作るのー?」

「んーそうだな。…イヤリング、とか?」

「イヤリングかー。いいね、この小さい魔石の欠片にあいそう」


 セフィリアさんが指し示した欠片たちの中から、今回使うものを選ぶ。なんとなくだけど、これとこれが合いそうだな。まだアクセサリーを作るのが2回目という不安半分、どんなものができあがるのかというドキドキ半分で魔石をつまむ。


 すると空中を自由にクルクルと飛んでいたハヤテが降りてきて、興味深々といった様子で魔石を覗き込んできた。ちょちょ、近いって。


「どうした?何がそんなに気になるんだ?」

「んー…ふふっ、えいー」


 俺の話を全く聞いてないな。ハヤテは悪戯を思いついたというような笑みを浮かべると、勢いよく魔石に触った。その瞬間、柔らかな緑色の光があふれかえる。


≪風葉の精霊の加護を確認。魔石に一部効果が付与されます≫


「えっ…?」

「な、なに今の光…いえ、私は何も見てないんだから。きっとロロくんか精霊がやらかしたとは思うけど、私は見てないったら見てない!」


 セフィリアさんが現実逃避している横で、俺は光が収まった魔石を観察する。んー見た目は特に変化はなさそうだ。というか風葉の精霊の加護とか流れてたけど…もしかしなくても、ハヤテが何かしたんだよな。いや、加護を与えたのか。…何してくれちゃってんの?!


「どうー嬉しいー?」

「どうって…そりゃあ…」


 嬉しいですが?精霊の加護付きの魔石って、それだけで何か心躍るし。急に驚いたってだけで、実害とかも特にないしな。うん、むしろこれはお礼を言うべきじゃないか?


「ハヤテ、ありがとうな。だけど無理はするなよ」

「はーい」

「よし、それじゃあさっそくイヤリング作るか!」

「あ、これがイヤリング用の金具。これに最後合わせるイメージで作ってね」

「分かりました」


 魔石の欠片をとりあえずイヤリングのパーツ用に2つ切る。なるべく対照的になるように、慎重に…。…うん、なんとなくだが似たような形のものを切り取れたのではないだろうか?少し形はいびつだが、これも味ということで。


 魔石をマナカッターで切るときは、最初の時と違った感覚が伝わってきた。なんか魔石の魔力とは違う、別の柔らかい魔力がフワフワしている。だから切るとき、少し刃が浮ついてしまった。まぁ大きな失敗はしなかったんだけどね。


「…うん、よし。研磨するか」


 ひたすら切った魔石の欠片を磨くお時間となりました。これは本当に無心でできちゃうんだよな。なんか心まで洗われていくような気までしてきた。


 ちなみに、イヤリングのパーツは皿付きと呼ばれるものだった。ようは飾り────この場合は魔石の欠片をお皿に貼り付けて使うのだ。他にもカン付きやシャワー付きといったものもあるらしい。いつかそれらのパーツで作ってみたいな。


・・・

・・


「…よし、研磨はこんなものかな?」


 ここからは細工スキルの出番だ。今回は魔石をはめる台座はないので、適合率は出てこない。そのかわりアクセサリー作りのサポートをしてくれるので、本当にありがたいスキルだ。


 イヤリングのパーツに研磨し終えた魔石をあててみて、最終確認をする。んーうん。いいんじゃないか?完成後の作品も確認できたことだし、いよいよ魔石を皿付きパーツに貼り付ける。といっても、魔石を貼り付けるためにのりを使うわけじゃない。


「のりを使うと、粘着力が弱まってしまう可能性があるでしょ?そこで使うのが細工スキルと魔力!」


 とはセフィリアさんのお言葉だ。具体的には細工スキルを発動させた状態で魔力を流し込み…。まぁ要は魔力を接着剤のように使うのだ。その補助として細工スキルが必要となるらしい。


 ということで、いざ実践!細工スキルは発動させたまま、手に持った魔石の欠片とイヤリングのパーツに魔力を流し込んでいく。…うん、あとはこの2つがくっつくイメージでゆっくり魔力を固めて…。


「…できた」

「できたー!」


精霊魔石のイヤリング

注釈:見習いが作ったシンプルなイヤリング。わずかに精霊の力を秘めている

効果:AGI+3


「うそー…これにも効果が付いてる…しかも精霊の力を秘めてるなんて…」


 あ、セフィリアさんがブツブツ呟くモードに入ってしまった。これは放置一択。ということで、俺の2作目のアクセサリーを見る。うん、我ながら上出来なのではないだろうか?効果も良い感じだし、まだまだ初心者の俺からしてみればかなりの力作と言える。


 これを細工ギルドに提出するのかー。ちょっと勿体ない気も…いや、でもやっぱり最初に作ったペンダントは手元に残しておきたいよな。これは仕方ないことだと割り切ろう。だがこれで細工ギルドからのクエストは達成だな。報告しにいくとしよう。…セフィリアさーん、まだ復活できませんかー?


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