革命の予言
家庭教師役のレオン様とリオネル様のおかげで、私はスルスルとこの世界の常識やマナーや知識を蓄えていった。
ある日の勉強会、私は自室の机に広げられた大きな地図のとある国を指差して言った。
「ここ、そろそろ革命が来そうですね」
「…え?」
世界地図を前に、レオン様が目を見張りリオネル様が声を漏らす。
「だって、さっき民の不満が溜まっていると習ったでしょう?しかも教会と王家の仲が悪い。特に熱心な教会の信者なら…ね?」
そう。
この国は重税で民を追い詰めておきながら、教会の権益にまで手を出して王家vs教会の構図を作ってしまっていた。
教会に信徒たちが煽られたらどうなるか。
それを考えたら、当然の帰結だ。
「まあ、私の実家には言うほどのことではないでしょう。びっくりはするでしょうけど、同盟国ではありませんしこの広い大陸では遠くの地です。交易も直接はありません。それに私の妄言だと切り捨てられます。それより、これをどうプラム侯爵家の利益にするかですね。私に政治はわからないので、お任せします」
レオン様は大きな片手で顔を覆った。
「おいリオネル…ついに革命まで予言されたぞ、どうする」
「は、はい、兄さん…でも確かに、最近のこの国の動きは怪しかった。革命という言葉で点と点が線で繋がる…これは「放置」一択です。そして本当に革命が起こったなら、速やかに新政権に我がプラム侯爵家が飲み水や食糧やブラックダイヤで出た利益からの融資を提案する…そうすれば新政権とのコネが出来ます。義姉さん…本当に貴女という人は…どうしてそう悪魔的な発想がポンポン出るんですか」
「悪魔だろうが天使だろうが、ブランシュは我がプラム家の至宝だ。絶対に手放したりしねえから、覚悟しとけ」
「はい、レオン様!」
悪魔的とかちょっと悲しいが、役に立てたようで何よりだ。
レオン様に抱き上げられて頬に擦り寄る。
「ずっと一緒ですよ。レオン様、リオネル様」
「当たり前だ」
「義姉さんが過ごしやすいよう、さらに屋敷を整えますね。だから本当に、他所には行かないでくださいね」
「もちろんです!」
「しかし、ブランシュがいれば王家も安泰だったのに…あいつら本当に勿体ないことしたな。俺たちは助かってるけど」
「ええ、本当に。黒髪黒目が不吉なんて迷信でしたね。義姉さんは幸運の女神…いや、知識の聖女だ」
二人がかりで褒めちぎられて、恥ずかしくなってしまう。
でも、前世は天涯孤独な限界社畜OLで今世は出涸らし姫だった私には最高のご褒美だった。




