獣害の補填
「ならこの間のブラックダイヤで稼いだ利益を義援金にあてますか。あと私兵を一部復興支援の人材として送りましょう」
「それは僕たちも考えてたんだ。他にもアイデアはある?」
なるほど、そりゃあ小娘の考えることなど先にレオン様とリオネル様が思いついていて当然だ。
他のアイデアを期待されているなら…出来ることがあるとすれば。
「被災者個人個人への、利子と担保なしの貸付はどうでしょう?あと飲み水と食料の支給とか」
「ああ、直接支援物資も送った方がいいか」
「でも、個人個人への貸付?」
「そう、ただお金をあげるだけだと甘えが出るでしょう?無担保無利子での貸付なら、負担は少なく生活再建に向けて個人個人が動けますし。いつか返さなきゃと思えば張り合いも出てきます。今のブラックダイヤで儲けたプラム侯爵家なら出せない金額ではないはずですし、どうでしょう?」
レオン様はポカンとしたあと、大きな片手で顔を覆った。
「甘えが出る、張り合いが出る…か。なるほど、個人個人への貸付だって今のプラム侯爵家なら余裕で出せる。無利子無担保なら無理をさせることもない。お前本当にすごいな…」
「兄さん、義姉さんはとんでもない天才です…」
リオネル様も私に対して恐れすら感じているようだった。
「義姉さん。我がプラム侯爵家に来てくれてありがとうございます。他所に行かないでくれて良かった」
リオネル様に頭を撫でられる。
そして、レオン様は私を抱き上げた。
「決まりだ。義援金と私兵の貸出の他に、支援物資を送って個人への無利子無担保の貸付も開始する」
「ええ、兄さん。従姉も救えますし、国そのものに恩も売れる。それどころかあちらの国民個人個人にもね。最高の支援だ」
「王家は本当に愚かだな。こんな逸材をみすみす手放すなんて」
「えへへ、お役に立てました?」
「よくやった。最高だ」
こうしてプラム侯爵家は、二人の従姉が嫁いだという国へ支援を開始した。
支援物資の食料には私がおすすめする日持ちするパンと、魔術で殺菌消毒しておいた水の瓶詰めを送ることとなった。
義援金のおかげで国は持ち堪え、貸し出した私兵によって街の瓦礫は撤去が早く済んだ。
個人個人への貸付もお互い無理のない範囲で行い、それぞれ生活再建に向けて動き出したそうな。
後にこの支援がプラム侯爵家への熱烈な感謝となり、「無利子無担保」の貸付のはずだったのにわざわざ利子までつけて返してくれる人々が続出して結果的にプラム侯爵家がさらに潤うと、この時点での私たちは知らなかったのだった。




