力が無いなら
そうか。
そういうことか。
俺が「怪物」と呼ばれた理由、それは...
「俺のエネルギーは永遠に増え続ける...!」
ハントは再び話しを続ける。
「生きたままあの世へ向かおうとするお前に、システムは悪のエネルギーの付与を開始した。本来、魂は規定値までのエネルギーが付与されればゲートによって付与を中断され、この世界に送り込まれる。」
「だがお前は俺の管を通ってゲートによる中断を無効化した...!」
よく出来た話だ。
まさかハントはここまで想定していたというのか?
「ていうか、店の中でこんな話しちゃまずいだろ」
地球人があの世に生きたまま行くなんて、それこそバラストに見つかったらどうなるか分からない。
「大丈夫だ、もう俺ら以外の客は居ない。それに、ザクロは俺とグルだ。」
ハントとグル...つまり俺をこの世界に連れてくるのに加担していたという事。
親しげにしていたのはそいうことだった訳だ。
「それなら良かった。でもさ、無限のエネルギーがあったところで、それを使えないんじゃやっぱり意味ないだろ。さっきの問題は解決してないぞ?」
「あぁそうだ。エネルギーがあってもどうせお前には臓器が無い。だが、別に臓器が無くたって戦える。」
臓器が無くても戦えるだなんて、到底信じ難い話だ。
「この世界ではその臓器のことを"モツ"と呼ぶんだが、実は生まれつきエネルギーの利用ができず、吸収しかできない先天性モツ疾患という病気がある。」
エネルギーを利用できない...それじゃあ地球人と同じだ。
「そしてその割合は、約34%と言われている。」
「34%...!?」
つまり、3人に1人はハントのような超常的な力が使えないことになる。
「......だから、俺たちが居る」
店主はそう言うと、勢いよく立ち上がった。
「生まれつきエネルギーを変換できない...そういう奴らでも自分や大切な人を守るために、武器が作られた。」
確かに、こんな世界なら自衛のための武器は必須だ。
だが...
「武器なんかであんな超能力に対抗できるのか?」
戦車や核爆弾のようなものならまだしも、個人が所有できる武器なんてたかが知れてる。
ハントのように、触るだけで木に風穴を空けるような奴に、普通の武器で対抗できるとは思えない。
「俺たちが作るのはただの武器じゃねぇ。」
そう言うと店主は、カウンターのしたからおもむろに刀のような武器を取り出した。
刀の鍔からは針の付いたチューブが伸びており、柄になにやら機械とメーターのようなものが装着してある。
「これが...武器?」
「あぁ、エネルギーを原動力にする武器...ドレインガジェットだ。モツに針を刺し、チューブからエネルギーを吸収。刀身にエネルギーを付与することができ、柄にあるダイヤルを回せば出力を変えることだって可能だ。」
モツから直接エネルギーを...確かにこれならエネルギーを変換できずとも戦える!
でも、だからと言って俺に扱える訳じゃない。
「これじゃあアマツには使えねぇよな。なんたってモツそのものが無いんだから」
そう、モツのない俺には針からエネルギーを吸収することはできない。
ハントが困ったような表情で言った。
「分かってる。だから俺の腕が必要なんだろ?」
ザクロは自信に満ちた顔で問いかける。
ハントは無言で頷いた。
「さっき紹介した通り、こいつはちょっとアウトな武器屋で、魔改造を趣味にしてる..."普通の武器屋には無い技術"がある。」
ハントがそう言うと、ザクロは得意げな笑顔を見せる。
「待っとけ。地球人様専用の魔改造ウェポンを作ってやる...!」




