種明かし
「ちょっと待てよ!お前の言った通り、俺は地球人で、こっちの奴らとは何もかもが違うぞ!」
「そうだ。ただの地球人には卒業は愚か入学も不可能だ。」
当たり前だ。
俺にはハントみたいにこっちの世界の人間の力は使えない。
「ただの地球人には、な。」
「どういうことだ?俺はただの地球人だぞ?」
ハントはニヤリと、勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
「お前は地球人だが、現世からこの世界にやってきた。"システム"を通過してな!」
ハントはさらに話を続ける。
「システムを通過する時にお前が感じたあの痛みは、お前の中の魂にエネルギーが付与されたことによる影響だ。」
「お前の体はエネルギーを吸収することが出来ない。だが、エネルギー自体はお前の体内に確かに存在している!」
確かに、俺の中の何かが満たされていくような感覚はあった。
あれがそのエネルギーだと言われても納得が行く。
でも...
「でも、俺にはそれを扱える臓器はないぞ...?」
エネルギーを吸収し、それを別のエネルギーに変換する臓器、それがあるかないかがこの世界の人間と地球人との違いだ。
「まさか、傑出魂みたいに俺もエネルギーを使えるのか?」
ハントは、傑出魂は自身のエネルギーを使って攻撃が出来ると言っていた。
俺の体内にもエネルギーがあるなら、それが可能なのかもしれない。
「残念だが、そんなことをすればお前の肉体が吹き飛んで今度こそ魂になっちまうな。あれは肉体がないからこそ自在にエネルギーを解放できるんだよ。」
「そう...なのか...」
言われてみれば、エネルギーが付与された時も体が破裂しそうな感覚があった。
そのエネルギーを解放したらどうなるかは、言わなくてもわかる。
「じゃあ、俺はどうすればこの世界の住人と渡り合えるんだ?」
ハントは待ってましたとばかりに言う。
「それを教えるために、こんな小汚いカフェにお前を連れてきたんだよ。」
「なに...?」
その瞬間、カウンターの方からしゃがれた野太い声が聞こえてきた。
「おいハント、誰の店が小汚いって?」
声の方を向くと、強靭な筋肉に身を包んだ、全身に傷跡のある眼帯をしたカフェのマスターが立っていた。
「紹介するよアマツ、こいつはこのカフェのマスター兼...ちょっとアウトな武器屋の店主、ザクロ・グローブだ。」
武器屋...しかも反社会的な。
入店した時から堅気だとは思えない雰囲気を漂わせていたマスター、言われてみれば確かに納得だ。
「アマツっていうのか、あんたが向こうからやってきたを"怪物"だな?」
「怪物...?」
怪物と呼ばれる筋合いは無いし、どちらかと言えばこの人の方が怪物に近い見た目をしている。
「おっとっと、その説明がまだだったな。」
ハントは慌てて話を始めた。
「良いかよく聞け。魂はシステムによりエネルギーの付与が始まるんだ。そして、ゲートを通った時に付与が完了する。」
なるほど、システムはあくまでエネルギー量の演算と継続的な付与、そしてゲートは規定値に達した魂へのエネルギーの付与を遮断し、この世界に送る役割を担っているということか。
......ちょっと待て。
俺はゲートに通ってないぞ??
「気付いたようだな」
ハントは再びニヤリと笑う。
「お前へのエネルギーの付与は、まだ終わっていない...!!」




