たった一つの方法
聖人のようなソウキが警察に捕まってるなんてどうしても考えられない。
俺はハントに詰め寄る
「捕まってるだと?どういうことだ」
ハントは静かにしろと口に指を当て、話しだす。
「これには深い事情があってな、そのバラストって奴らは治安維持組織を名乗ってはいるが割とグレーな連中なんだよ。」
ハントはやはり低いトーンのまま話を続ける。
「いいか、そもそもこの世界では超常的な力を使う事ができるから、当然悪さを企むやつは多いんだ。バラストはそういう輩を捕まえるのが主な仕事だ。」
俺は目の前でハントの能力を見た。バラストというものもハントの言う通り必要なのだろう。
「だがな、バラストの役目は何もそれだけじゃないんだ。」
「それがソウキに関係あるのか?」
「察しがいいな。」
ハントは話を続ける。
「バラストのもうひとつの役目。それは、傑出魂の浄化だ」
「傑出魂の浄化?」
浄化というのは、おそらく現世に魂を還す事なのだろう。
しかし、傑出魂はそれが出来ないから傑出魂と呼ばれているはずだ。
「そんな事ができるのか?」
「あぁ、ただし普通のやり方じゃない。傑出魂に自らエネルギーを解放させ、弱体化させた上でエネルギーとして吸収するんだ。」
「まさか...」
ソウキは傑出魂としてバラストに浄化させられたというのか??
「...表向きはな。だが善の傑出魂はそうではない。魂は本来浄化され還されるべき、それは傑出魂も同様だ。」
「だが、莫大なエネルギーを持つ傑出魂はそれを使って凄まじい攻撃を繰り出す。必ず制圧できる保証は無い。だからこそ、バラストは善の傑出魂を"戦力"として利用しているんだ」
確かに善い行いをしてこっちに来た人間は、協調性があるから戦力として利用出来る。
つまり...
「ソウキもバラストの戦力として保護されているということか?」
「そうだ。」
一気に話しがまとまってきた。
つまり、俺がバラストに入ればソウキに接触できるということだ。
「なぁ、そのバラストにはどうすれば入れるんだ?」
そう聞いた途端、ハントは少し真剣な表情に変わった。
「それが問題なんだ。バラストに入るには専門の養成学校で免許取得のための学習が必要になる。ただ、当たり前だがお前はただの地球人だ。こっちの世界の住人とは違う。」
「...じゃあ、俺はバラストに入れないのか?」
そんなはずは無い。
ハントはソウキに会わせてくれると言った。
「なにか方法があるんだろ...?」
「...ない。と言ったら嘘になるが、これはお前自身がなんとかしなきゃいけない。俺から手を貸すことは出来ないんだ。」
俺自身がなんとかする...正直、この世界で上手いこと何かを成し遂げられる自身は無い。
でも、ソウキに会えないなら死んだも同然だ。
「構わない。教えてくれ、俺はどうすればいい!?」
「バラストに入るためのたった一つの方法...それは、お前が地球人であることをバレずに養成学校を卒業する事だ!」




