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CYCLE  作者: カツ・コイチ
入学試験編
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10/59

バラストという組織

 早速作業に取り掛かってくれることになり、ザクロは店を閉めた。

 そして俺とハントは、下見も兼ねてバラストの本部へと足を運びながら、今後について話の続きをすることになった。


ーーー


「なんとなくこの世界のことが掴めてきたか?」


「あぁ、まだ分からないことばっかりだけどな」


 何度も詰みかけているように見えて、全てハントの思い通りに事が運んでいるようだ。

 俺1人ではそもそもこの世界にたどり着くことさえ出来なかっただろう。


「なぁハント、なんでここまで俺を助けてくれるんだ?」


 そう問いかけると、ハントは少し考え込んだあと、話し始めた。


「最初は別に誰でも良かったんだよ。でも俺は、ある目的の為に強い意志を持つ地球人が必要だったんだ」


 ある目的......そう表現するということは、恐らくまだ言えないということなんだろう。

 でも俺は、例え利用されてしまっているとしても、ソウキに会えるのならばそれでも構わないと思っている。


「養成学校に入るのはさ、そんなに簡単じゃないんだろ?本当に俺でも入れるのかな」


 正直なところ、まだ自身は無い。

 武器を使ったとしても、やはり超能力の前では少し心もとないし、同じ武器使いが相手だとしても、圧倒的な経験の差がある。

 入学はいくつもある内の最初の通過点なのに、そこすら突破でき無いかもしれない。


「確かに簡単じゃないな。バラストは割と人気の職業だし、競争率も激しい。ただ......」


 ハントはいつものニヤリという表情を見せる。


「お前はさ、お前が思ってるより"怪物"だぜ?」


 そう言われても、実感はない。

 でも、ハントがそう言うならそうなんだろう。


「入学試験の内容は簡単だ。基本的に戦闘のポテンシャルのみを見られる。座学や戦い方は学校内で学ぶものであって、入学時には必要ないからな」


「つまり、基本的には強い能力をもっている奴が有利なんだな」


 当たり前のことだが、例え武器を扱うのが上手かったところでモツの能力の方が圧倒的に有利だろう。

 武器を使ったところで人間にできる事+α程度なのだから。

 そうこうしている内に、バラストの本部が見えてきたようだ。


「ほらあれ、あの"正義です"って感じで佇んでるのがバラストの本部だよ」


 バラストの本部は、治安維持組織の名に恥じない、正義を象徴したような建物だった。

 真っ黒な2つの塔、そしてその2棟の間に青い窓ガラスと大きなロゴの付いた白くそびえ立つ本棟。

 その建物の貫禄から、バラストという組織の規模を如実に表している。


「ちょうど任務の帰りみたいだな」


 ハントが指を指しながらそう言った。

 見てみると、そこには多くの人だかりが出来ており、その中央を黒装束に身を包み、バラストのロゴのついた帽子を深く被った10数人が闊歩していた。


「あのバッジは......回収隊だな」


「回収隊?」


「傑出魂の対処を担ってる隊だ」


 傑出魂の対処......つまり、彼らはソウキと対峙したことがあるのかもしれないという事だ。


「1番前の白髪の男......あいつが隊長だよ」


 白髪の長い髪と碧眼の、端正な顔立ち。

 そして......。


「左腕が無い......?」


「そうだ。特殊な攻撃を食らってな、あらゆる手段を使っても治せないんだ」


 隻腕なのに隊長の座を任されている..相当な実力者なんだろう。


「というか、ハントはやけに詳しいんだな」


「......そうだな」


 そう答えたハントは、また少し悲しそうな顔をしているような気がした。


「今日は宿にでも泊まるぞ。養成学校の試験はあと数日だ」


 そうして、俺はハントに案内された宿で眠りについた。

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