アマツの休日
次の日、特に用事も無いということで、目立たない程度に街を散策することにした。
ハントから貰った小遣いを握りしめ、繁華街を見て回る。
「なんだか、ソウキと漫画を買いに行った日のことを思い出すなぁ...」
俺が住んでいた地域は特別田舎という訳ではなかったが、如何せん本屋が近くになく、隣町まで行く必要があった。
少ない小遣いを握りしめ、隣町まで二人で歩いた。
「ドンッ」
考え事をしながら歩いていたせいか、人にぶつかってしまったようだ。
「すみません!大丈夫ですか??」
顔を上げると、髭の濃い、やつれた顔の中年の男が立っていた。
「気にするな、少年。子供が出歩いてたら危ない、お家に帰りなさい」
そう話す男は、目の下には酷く濃いクマがあり、今にも倒れそうな表情をしていた。
「...体調、悪いんですか?」
そう聞くと男は驚いたような顔になり、その後少し笑うと
「まさか。ただ、当分食事にありつけていなくてね...」
今にも倒れそうな男を前にして、そのまま通り過ぎる気も起きず、俺は気付いたら男に食事をご馳走していた。
「まさか子供に奢られてしまうとは...自分が情けないよ。」
「いえ、目の前で倒れでもしたら大変ですから」
なんだか昔の自分を見ているようで、ほっとけないのもあったのだろう。
男が美味しそうに食事にありつく様子を見ていると、無償の愛を配っていたソウキの気持ちが少しわかるようなきがした。
ソウキは本当に、困っている人は自分を犠牲にしてまで救うような人間だった。
ソウキのことを思い出す度に、また会いたいという気持ちが強まっていくのを感じた。
「ごちそうさま。この恩はきっといつか返すよ。」
「いいんですよ。僕がしたくてした事ですから。」
男は何度何度もお礼を言ってきた。
逆にこっちが申し訳なくなるくらいだった。
「なんだか君には強いシンパシーを感じる...きっとまた会えるだろう。」
そう言って男は再び繁華街の人混みに消えていった。
縁は確かに不思議なものだ。
またどこかで会うかもしれない。
その時にまた困っていたなら、ソウキのように助けてあげよう。
この出会いが、きっと僕を変えてくれる、そう思った。




