地球人専用ウェポン
あれから1週間が過ぎた。
ザクロから武器が完成したという連絡があり、ハントと俺はあのカフェ兼武器屋に足を運んだ。
「注文の品は完璧だぜ。地球人にも使える特別仕様のドレインガジェットだ...!」
そう言いながらザクロが見せてきたのは、握りやすいサイズの金属の球体だった。
「「球......?」」
俺とハントが呆気に取られていると、ザクロはすぐに解説をし始めた。
「この球体はただの球体じゃねぇんだ。持ち主の意思によって形を変える球体だ。」
「つまり、剣にも盾にもなるってことだな?」
「そういう事だ。」
しかしザクロはさらに自信満々に話を続ける。
「この球体はエネルギーを注げば注ぐほど大きさも硬さも自由自在なんだ。こいつのエネルギー量なら城が出来上がっちまうかもな!」
ザクロは笑いながらそう言う。
「でもさ、どうやって俺のエネルギーを引き出すんだ?」
針で吸収するのはもちろん無理だが、ただの球体なら尚更不可能だ。
一体どうやって俺が使えるような仕組みにしたのだろうか。
「簡単だよ。最新技術の完全自立型エネルギー吸収チップを埋め込んであるんだ。」
ザクロによると、完全自立型のエネルギー吸収チップというのは、モツから直接エネルギーを吸収せずとも、自らモツのように空間上のエネルギーを吸収できる機械ということらしい。
ただし、まだ試作段階なので一度に複数の魂から吸収できないため、効率は悪いとのこと。
「おい、それは空間上からエネルギーを吸収するものじゃねぇか。アマツの強みが活かせねぇぞ。」
そう、俺の強みは俺の魂の無限のエネルギーだ。
例え空間上から吸収できたとしても、俺のエネルギーを使わないのは勿体ない。
「もちろんそこも考慮してあるぜ。そもそもこのチップはモツの機能を再現した代物だ。だから、こいつをお前の身体に入れちまえばエネルギーの変換は容易だ。」
ザクロの説明はこうだ。
もうひとつのチップを俺の体内に埋め込み、吸収する魂の対象を俺の魂にする。
そしてそこから吸収したエネルギーを"もうひとつのチップに移動するエネルギー"に変換し、鉄球を操作するということらしい。
「エネルギーの変換って、割と何でもありなんだな」
「そりゃあそうだろ。俺の管だって無茶苦茶な変換の仕方をしてるしな。」
言われてみれば確かに、モツの変換は科学よりも意味不明だ。
「ありがとうなザクロ、地球人専用の武器を作るなんて、さすがだよ。」
ハントの言う通りだ。
一つの魂からしか吸収できないというチップのデメリット活かした武器、ハントが認めるだけある。
「ありがとう、ザクロ。これで入学試験でも戦える。」
「おう、代金はハントからしっかり貰うからな!」
「え、友情料金じゃないのか?」
ーーー
俺たちは店を後にして、近場の公園に来ていた。
「まずはチップを飲み込む。そしたら自動で体内に装着されるから、その後に鉄球を使う...大体理解した。」
そうは言ってもぶっつけ本番は良くない。
戦うための準備をして入学試験に挑まないといけない。
「まずは盾を作ってみろ。守れ!って感じでな」
ハントの言う通り、鉄球に強く念じる。
守れ。
守れ。
守れ...!
そう念じると、鉄球はみるみる形が代わり、大きく頑丈な盾へと変形した。
「はは、こりゃすげーな...」
俺もハントと同様、その性能に驚いていた。
...かなり値段が高いだけある。
「次は剣だな。攻撃してやる!って念じてみろ。」
いまいちよく分からないが、攻撃をしたいと念じてみる。
攻撃をしたい。
攻撃をしたい。
攻撃をしたい...!
そう念じるが、形は一向に変わらない。
「おい、ちゃんと念じたのか?」
ちゃんと念じたはずだ。
なぜだ?
なぜ形が変わらない?
ーーー
その後、斧や槍、刀など、色んな武器でも何度も試したが一向に武器を作れる気配は無かった。
そうしたまま日が暮れてしまい、本番になればなんとかなるだろうということにして眠りについた。
本当にこのままで大丈夫なのだろうか...?




