バラスト養成学校入学試験
試験当日、早朝に武器の使用をもう一度試してみたが、やはり成功しない。
ハントは、
「こういうのは本番になればなんとかなるんだ」
と話していたが、そんな美味い話はない。
強い不安が募る。
しかし、今回を逃してまた来年という訳には行かない。
ソウキの状態が分からない以上、ダラダラと時間を浪費するなんてことはしていられない。
「もう時間だ、行くぞ。」
ハントに連れられ、俺はバラスト養成学校へと足を運んだ。
ーーー
広大な敷地にそびえ立つ白い校舎、敷地内には多くの多様な施設が設置されており、大規模な大学のような雰囲気であった。
「周りを見てみろ。お前のライバルが沢山だぞ」
辺りを見回すと、俺と同年代の受験生が数百人、いや数千人と居た。
それだけバラストというのは凄い組織なのだろう。
中には親子連れも居るようだ。
少し胸の奥がキュッとした。
「大丈夫。俺を信じろって言っただろ?」
ハントはそう笑いかけてくる。
心なしか、胸の痛みが和らいだような気がした。
門が開かれ、受験者が一斉に敷地内へと足を踏み入れる。
受験者以外の同伴は認められていないため、ハントに別れを告げたあと流れに身を任せ校舎へと足を運ぶ。
全員がホールに案内されると、1番前の教壇に学長と思しき老人が立っていた。
「未来ある若者達よ、良くぞ集まった。」
威厳ある風格に、ホール内の空気が変わるのを肌で感じた。
「バラストとは、平和を望み、自らをその養分とする覚悟を持った有志の集う最高峰の政府組織じゃ。」
「そしてここ、バラスト養成学校では、そのバラストのメンバーへと返り咲く黄金の種を育てる。」
「つまり、君たちには...」
学長の言葉が止まった。
全員が動揺しているのが分かる。
一体どうしたんだ...?
「...やめじゃな」
「力じゃ。力を持つものこそが正義を名乗るに相応しい...目の前に悪が現れた時、正義の心だけでは悪に屈する未来しか残らない...!」
「お前達の才能を示せ!その才能を開花させ、悪を討ち滅ぼす力を身につけるのじゃ!」
「「そして、"正義"を振りかざせ」」
正義を振りかざす。
まるで悪者のような口調で語る学長の言葉には、正義とは、バラストとは何かを感じさせる重みがあった。
会場は静まり返っていたが、全員がこう思っただろう。
「本気で、試験に臨みたい。」
その後、試験の説明が始まった。
内容は至ってシンプル。
クジを引き、同じ数字の相手と対戦をする。
合否は勝敗ではなく試合の内容で左右される。
つまり、運なんてものは存在しないということだ。
「なぁ、俺緊張しておしっこ漏れそうなんだけど...」
声の方を向くと、隣には少し髪の長い頭巾を被った少年がいた。
「俺の兄貴がここの卒業生でさ、俺も親に入れさせられそうなんだけど、絶対俺なんかじゃむりだぜ...」
急に話しかけてきた少年にたじろいでいると、少年はハッとしたように再び話し始めた
「俺はシソウ・ハヤテ!よろしくな」
「あ、アマツ...です。よろしく」
距離感のおかしい知人ができたところで、早速くじ引きが始まる。
変な奴に構ってる暇はない。
俺は緊張と不安で押しつぶされそうだった。
何としても合格しなくては行けない。
ソウキに会うために...!




