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CYCLE  作者: カツ・コイチ
単位認定試験編(トランプ編①)
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2度目の挑戦

 イルは再び、ゆっくりと檻を開ける。


「馬鹿め、2度も俺に機会を与えるとはな!」


 檻の中のその男は、再び勢いよく檻を飛び出す。


「ガキが4人......へへっ、思いついちまった」


 男は何かを呟くと、一直線にアポロへ飛びかかった。

 男はアポロの不意を着く......かのように思われた。


「こちとら、準備万端なんだよ!!」


 アポロはすかさず拳を口にあてがい、思い切り息を吹く。

 それと同時に、渦巻くように炎が吹き出され、男を包み込む。


「武闘会で学んだ...俺は弱いってな! でも、お前らに取り残されたままの俺じゃねぇんだ!!」


「あつっ!くそ、なんだこりゃ!?」


 炎は男の体にまとわりつき、確実なダメージを与えていた。

 アポロも、ハヤテのように成長していたのだ。

この燃え盛る炎が、それを如実に表していた。


「くそ......じゃあテメェだな!!」


 男はそう叫ぶと、今度はユノの方へと飛び出す。

しかし、またもやそれは悪手であった。

 剣を抜き、構えるユノ。


「そんなおもちゃで......俺を殺せるとでも!?」


 そう叫ぶ男に向けて勢いよく振られた剣は、確実に男の首を捉えていた。

 ガンッという激しい音。

 見ると、剣は上手く切断することができず、男の首に受け止められていた。


「......出力が足りない」


 カイズが口を開く。

 どうやら、ユノが剣に込めたエネルギーでは傑出魂のエネルギーに太刀打ち出来ないようだった。


「なんだ?おままごとなら後でしてやるぞ!?」


 男はユノへ手を伸ばす。

 それを見たイルは、止めに入ろうと剣を抜いた。

その時だった。


「あ......うぁ....」


 段々と動きが遅くなるその男。

 見ると、間一髪のところでミリスが男の体に触れ、凍らせたようだ。


「危なかった......」


 ミリスはほっと胸を撫で下ろす。

 イルはゆっくりと剣をしまい、再び様子を伺っていた。


「助かった、リグメシア」


 ユノはミリスに感謝を伝えると、再び剣を構える。


「次は見誤らない......」


 深呼吸をすると、ユノの顔つきは変わった。

 素早く剣を振り、今度こそ首を目掛けて狙う。


「......とでも思ったか?」


 首に剣が当たる直前、その太刀筋は勢いよく動きを変え、素早く男の腕を切り落とした。


「ぐあぁぁあ!!」


 腕の断面から光が溢れ出し、やがてそれはミリスの氷を溶かす。

 動きが自由になった男は、腕を抑え地面をのたうち回っていた。


「再び首を狙われるから、エネルギーを首に溜めたんだろう?考えが素人だな」


 ユノは再び剣を構え、今度は右足を切り落として見せた。


「これで動けないだろう......さて、試験はこれで終わりでいいか?」


 そう言い、イルの顔を伺うユノ。


「......見事だ」


 イルは目を瞑り、ゆっくりと拍手をする。

 カイズは、安堵の表情でその場に座り込む。


「すげぇなユノ!やるじゃねぇか!!」


 アポロはユノの肩を掴み、大声で話しかける。

 ユノは少し鬱陶しそうにしながら、その手を振り払った。

 ふと、イルの方を見てみる。

 すると、ミナトがイルに話しかけているのが見えた。


「随分呆気なかったじゃないか......1年生だから甘めにしてやったのか?」


 ミナトのその問に、イルはゆっくりと口を開いた。


「何の話だ?試験は未だ続行中だが」


 ーーその瞬間だった。

 何かが俺の首にまとわりつく。

 いや、何かが俺の首を掴んだのだ。


「なぁ、死んだフリ作戦と蘇り作戦......どっちがかっこいいかな?」


 耳元で、男の声が聞こえた。


「ほら、見てみやがれ!!」


 その場のイルを除く全員が......俺を見て目を丸くしていた。

 いや......俺の首を掴む傑出魂の男を見て、だ。

やつはいつの間にか手足を回復させ、一瞬にして俺に飛びついたのだ。


「こいつは人質だ!!俺に少しでも近づけば殺すぞ!!」


 俺が人質だって!?

 というかこいつ......物凄い力だ!!

 どれだけ足掻こうと体が一切動かない。

 男は大声のまま、話を続ける。


「要件は簡単......その男のもう片方の手を切り落とし、俺をこの場から安全に移動させろ!!」


 こいつの言うその男というのは、イルの事だ。

 要するに、「イルを無力化した上で俺を逃がせ」と 言いたいらしい。

 というか、人質なんて非人道的な......いや、そもそもこいつは俺の世界でとんでもない悪行をした野郎だ。

 フェアに戦えるなんて考えが間違ってる。


「ほら、さっさとしねぇとこいつの首が吹っ飛ぶぞ!?」


 男は俺の剣を奪い、それを俺の首に突き立てた。

 くそ、せめて触れることさえ出来れば、その武器を奪い返せるのに......!!


「アマツ......!お前ならひとりで抜け出せるはずだ!!」


 ユノは俺に問いかける。

 しかし、そう言われてもどうすることも出来ないのだ。

 なんとも自分が情けない。

 俺は武闘会を優勝し、規格5に認定された...ルシエルやロキならなんてことも無いこの状況で、俺は何も出来ずただ人質として使われるだけだ。

 こいつを捉える際にも、一切貢献できずにただ傍観しているだけであった。


「......すまない」


 俺は苦し紛れに小さく、言葉を漏らす。

 みんなは失望しただろうか。

 俺を慕ってくれたミリス、俺を認めてくれたアポロ、俺を信じてくれたユノやカイズにミナト。

 俺は彼らに、どんな顔をすればいいのだろう。

 ユノは少し黙った後、口を開く。


「......そうか」


 その時、ユノは剣の持ち手をクルリと回し、ゆっくりと抜いていく。

 すると、さっきとは別の小さな剣が出てきた。


「おいおい、そのおもちゃで何をしてくれるってんだ!?」


 男はその剣を見ると、ケタケタと笑いだした。


「ユノ」


 すると、ミナトがユノの名前を呼ぶ。


「......なんだ?」


 ユノがミナトの方を振り返ると、ミナトは再び口を開く。


「本当にいいのか?」


 ユノ、はその問いに答えるまもなく、右手を男に向けた。


「血の契約...シソウ・ミヤビ、0.6秒間!!」

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