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CYCLE  作者: カツ・コイチ
単位認定試験編(トランプ編①)
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水晶のハート

 ユノがそう唱えた瞬間、俺の首を掴んでいた男の腕が落ちた。

 そして、それを理解する頃には、男の全身が粉々に切断されていた。


「なっ......!?」


 俺が動揺しいると、ミリスとアポロが駆けつけてきた。


「大丈夫ですか!?」


「大丈夫か!?」


 俺は2人の勢いに驚きつつも、「大丈夫だ」と返事をした。

 すると、ユノがゆっくりとこちらへ歩いてきた。

 恐らく俺の考えを理解したのか、求めるまでもなくユノは説明を始めた。


「俺の能力は肉体の一部と引き換えに、触れたことのある人間の力を借りられるんだ」


 肉体の一部と引き換えにだって!?


「ち、ちょっとまて!つまりお前は俺を救うために......」


 俺がそう言いかけた瞬間、ユノは俺の言いたいことを理解したのか、話を遮る。


「大したことない。今回は血液を代償にしたからな......少し休めば問題は無いはずだ」


 だからと言って、良かったとはならない。

 俺は役に立てないどころか、仲間に犠牲を払わせることになってしまったんだ。

 自分の不甲斐なさを深く痛感していると、イルがユノの肩をポンっと叩く。


「問題は無いだと?」


 ユノはその声を聞いた途端、顔がひきつっていた。


「自分の体を犠牲にする戦い方......お前はまだそんな事をしているのか?」


 再び雰囲気が変わる。

 ミナトはまずいと思ったのか、颯爽と止めに入る。


「ま、まぁとりあえずは門の方へ戻りませんか?隊長」


 カイズもミナトと同じ考えなようで、2人の間に割って入った。


「命をかけて仲間を救ったつもりになっているのか?それではなんの意味も無いと再三にわたって話していただろう」


 イルは物凄い剣幕でユノを睨みつける。


「あんたの話なんか聞き入れた事ねぇよ......何回も言わせるな、父親面をしないでくれ」


 ユノは素っ気なく顔を背ける。

 それに対しイルは、さらに機嫌を損ねている様子だった。

 身体を震わせながら、イルは口を開く。


「私がどれだけ......どれだけの気持ちで!!」


 イルがそう叫んだ時だった。


「もう我慢の限界だぞ、バラストよ」


 その言葉に、その場の全員が固まる。

 誰もが連想する、あの男のセリフ。

 悲劇が始まる予兆。

 誰よりもその言葉に強く反応したのは、隊長...カザミ・イルであった。


「誰だ......いや、そんなのはどうでもいい」


 イルは素早く剣を抜く。


「私の前でその言葉を口にした時点で、その覚悟があるということだろう?」


 すると声の主は姿をゆっくりとこちらへ歩いてくる。


「......冗談さ。喧嘩を止めてあげたくてね」


 俺はその男の顔を見る。

 その時、強い驚きと後悔が俺を襲った。


「あなたは......」


 声が震える。

 いや、もはや声に出ていたのかすら怪しい。

 俺はどうしようもなくその場に固まっていた。


「やはり......また会えたじゃないか、少年」


 その声と、「少年」という呼び名を聞き、それは確信に変わる。


「誰だ!?名を名乗れ!!」


イルは剣を向けながら男に問いかける。

俺は知ってる......この人は......いや、こいつは......!!


「私はハートのK、クリスタル・ロバート」

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