特班
規格5...?
それはカイズの説明によれば、バラストの幹部に匹敵するレベルだ。
俺はいま、そのレベルに達しているというのか...?
「まだ1年生なのに規格5って...きみ、本当に何者なんだ!?」
ディゴノは俺の肩を強く掴み、訴えかける。
「その通り、1年生で規格5に到達するなんてのは数十年ぶり...しかも今年の化け物はアマツだけじゃない」
カイズは俺たちの会話に割って入った後、全員に聞こえるように話し始めた。
「規格5はアマツを除き、ミアス・ルシエル及びロキ・ハイドが認定された。それに加え、クサナギ・ユノは規格4に認定された」
規格5が、俺含め3人...この言葉が意味する事は言わなくても分かってる。
ちなみに、ディゴノとアポロは規格2で、ミリスとサルバはハヤテと同じ3に認定されたらしい。
にしても、まさか俺が規格5だなんて...実感が湧かない。
ついこの間まではロキに手も足も出なかったのに。
「今年は異例中の異例だ...それに伴い、我々教員はある策を講じた」
カイズは真剣な面持ちで話を続ける。
「毎学期恒例の単位認定試験の実習班...そこに、特班を設けることにした」
実習というのは、俺たちバラスト養成学校の生徒が実際にバラストの任務に加わり、その実践能力を試すというものだ。
武闘会同様に、複数人の班をつくり実習に当たるはずなんだが...特班というのは一体何なのだろう?
「特班には、Cクラスからアマツ・カイ、アポロ・ナイトマイル。Bクラスからはミリス・リグメシア。そしてAクラスからは...クサナギ・ユノが抜擢された。彼らには、バラストによる特別講習を受けてもらう」
特別講習...!?
急にそんなことを言われても...一体何をするっていうんだ?
「ち、ちょっと待ってくれ!特別講習ってなんだよ!?」
アポロは動揺したようにカイズへ尋ねる。
するとカイズは一言。
「それは特別講習の担当員...バラスト特別回収部隊長から直々に話されるそうだ」
特別回収部隊って、対傑出魂を担当してる部隊じゃないか...!
特別講習とやらは不安だが、これは思わぬ好機だ。
何としてもソウキに関する手がかりを見つけ出してやる。
「でもよ、なんで特班には異例でもない規格2の俺が入ってるんだよ!?」
確かに、アポロは規格2だ。
異例として行われる特別講習に、なんでこいつが...?
「それも含め、後ほど説明がある。お前らは単位認定試験に向けて十分に準備しておくように」
結局、カイズから詳細を語られることはなかった。
消化不良な部分はあるが、とりあえずはこのチャンスをものにしたい。
帰り道、俺はゆっくりと空を見上げる。
「ソウキ、一体どこで何をしてるんだ...?」
新たな生活にも慣れてくると、自然と余裕が生まれてくる。
すると、あの時を思い出す事が増えるようになった。
俺の中に空いた穴が、冷たく鋭い風を通す。
ここに来てから数ヶ月、ソウキに関して一切の情報も掴めないままだ。
それに加え、特別講習や小屋での事、聞こえてきた声...まだまだ課題が山積みであると実感する。
すると、後ろから聞き馴染みのある声が聞こえてきた。
「武闘会、お疲れ様」
振り返ると、そこにはハントが立っていた。
「どうだ?ザクロの店で飯でも食おうぜ」
あの日、俺の前に現れた男。
俺の運命を変えた男。
謎に満ちているはずなのに、なぜか親しみを感じている。
俺はハントと共に、ザクロの店へと足を運んでいく。
その足はきっと、俺の行きたいところを目指しているだろう。




