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CYCLE  作者: カツ・コイチ
武闘会編
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決勝戦④

サルバ・マーガネットの能力は磁力。

触れた対象にエネルギー量に比例した磁極を付与することができるという、極めて単純かつ強力な能力である。


「ほら、さっさと当てて見やがれ!!」


ミリスの生成する氷は、生成が完了する直前に瞬時に形を変えることで空気を押し出し、推進力を得ることができる。

それにより、中遠距離及び空中での攻撃を行う事が可能である。


「飛んだところで、射程圏内なのは変わりませんよ?」


そう言うとミリスは、サルバへ向かって狙いを定める。

しかし、空中という可動域を得たサルバを狙うのは簡単では無かった。


「どうした...!!射程圏内なんだろう!?」


自身と空気を磁極とすることで、自在に空中を飛び回るサルバ。

さらにはエネルギー量を調整することでその速度ですらも自身の思うままであった。


「同じB組とは思えない...なんて強力な能力なんでしょうね...!」


ミリスは両手を使い、今までよりも威力の低い氷をハイテンポで飛ばす。

"数打ちゃ当たる"を実践している訳だ。


「へぇ、結構厄介なことしてくるんだな...!」


サルバは避け切るのは難しいと判断し、ミリスの方へと急接近する。

触れた対象に磁極を付与する...それはつまり、彼に触れられるのは敗北を意味するということだ。


「お前も宙で舞ってみるか!?」


攻撃に集中していたミリスは、意識外の急接近に対処が遅れる。

思考を巡らせるミリスの前に、サルバは現れる。

その手は、すでにミリスへと迫っていた。


「もらった...!」


ミリスの腕に、サルバの手が触れた瞬間だった。


「...出たよ、これだから名家は嫌なんだ」


ミリス・リグメシア。

西方の名家、リグメシア家の箱入り娘であり、次期当主である。

彼女がバラスト養成学校へ来たのはあくまで他者との交流関係を築くためのみであり、戦闘面の学習は必要としていない。

世界最大規模の組織・バラストの戦闘教育を必要としない理由...それは、彼女には幼少期からの英才教育が施されているからである。


「あなたのエネルギー量では、私に能力は効きませんよ」


名家により継承され続ける古代の戦闘技術...過酷なモツの訓練により高度なエネルギー操作を可能にする、【神衣】によりミリスはサルバの能力を無効化したのであった。


「さすが、お嬢様だな!!」


自身に伸びるミリスのカウンターの手を避け、距離を取るサルバ。

その表情は不安に満ちていた。


「くそ.......やっぱ無理だ!!」


そう言うと、サルバは物凄い勢いで自陣へと戻っていく。


「え、ちょっと...!」


ミリスは、後を追うように駆け出し、サルバの後を追う。

すると、そこには首に剣を向けられたアマツの姿があった。


「まさか君...モツが無いのか?」


ルシエルのその言葉に、俺は激しく動揺する。

俺はここの住人たちとはなにもかもが違う...バレる可能性は十二分にあった。

しかし、なぜこのタイミングで...!


「完全独立型の武器か...?いやでも、そんなまさか...」


ルシエルは考え込むように口に手を当て、ぶつぶつと何かを呟いている。


「アマツくん!!」


すると、ルシエルの元に勢いよく氷の塊が飛んできた。

ルシエルは見向きもせず、剣で氷を弾き、考え事に専念を続けている。


「ルシエル、俺じゃ勝てねぇんだけど...手伝ってくれねぇか?」


サルバは恐る恐るルシエルに尋ねる。

するとルシエルは一言。


「うん、少し考え事をする時間が欲しいからね」


その瞬間だった。

ミリスの元へ地面が動き出し、体を拘束する。

抵抗虚しく、ミリスは完全に動きを封じられてしまった。


「なぁ、君は何者なんだ?その武器を作ったのは?モツ無しであれほどのエネルギーを...絶対に不可能だ!」


動揺しているのはルシエルも同じようで、中々決着を付けようとしてこない。

いまがチャンスのはずだ。

そう思ったが、助けに入ろうとしたミリスをいとも簡単に無力化して見せたルシエルから、どうやって逃げるかなんて想像もつかなかった。


「アマツ!」


その時、遠くの方からロキの声が聞こえた。

それに反応するように、サルバが歩みを進める。


「まぁ、足止めくらいなら俺にも出来るだろ...!」


サルバはそう呟き、戦闘態勢に入る。


「くそ、どうすりゃいいんだ!」


ミリスは戦闘不能、俺はルシエルに命綱を握られ、ロキの相手にはサルバがいる。

もしロキがやってきたとしても、すぐに俺がやられて2対1の構造が出来上がる可能性だっておおいにある。

つまり、ルシエルが動揺している隙を狙うのが最善手にはずだ。

俺はルシエルに気取られないよう、ゆっくりと鉄球の形を変えて行く。

絶対防御によりルシエルの攻撃を無効化すれば、この場から抜け出す方法はあるはずだ。

ゆっくり、ゆっくり...ジワジワと形を変え、いつでも対応できるよう自身へ鉄球を近づける。


「もういい、後にしよう」


その瞬間だった。

ルシエルは剣を高く上げ、俺に狙いを定める。


「君のエネルギー量なら、心臓され貫かなければ問題ないだろう...」


そう言うと、ルシエルは俺の右胸を目掛けて剣を突き立てる。

敗北の文字が頭に浮かんだ時らバチバチという音が、俺の耳を刺激した。


「させるかよ...!」


サルバはロキを見つけ、走り出す。

しかし、ロキにはサルバの存在など眼中にすら入っていなかった。

瞬時に放電によりサルバを無力化し、勢いよくルシエルの剣に蹴りを加える。

カンッという音と共に吹っ飛んだルシエルの剣。

それと同時に俺は素早くその場から抜け出した。


「ミリスは!?」


「そこでやられちまってるよ!!」


俺はロキに状況を話し、二人で戦闘態勢に入った。

対するルシエルも、ゆっくりと剣を拾い上げ、臨戦態勢へと移る。


「君たち2人だけで...本気の僕に勝てるとでも?」

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