決勝戦②
「へぇ、やっぱり根に持ってたんだな」
ロキは挑発するようにルシエルを嘲笑う。
というのも、元々ルシエルが戦力の配分を考え、ロキと戦うと想定していたからだ。
今の状況は俺たちにとっても好ましくない。
だって、俺は間違いなくこいつに負ける。
「ミヤビ弟、ロキの相手をしてくれるかい?」
「あぁ、構わないぜ」
どうやら、3人それぞれがタイマンをする形になるらしい。
「にしても良く気付いたね。"摩天楼"は最初にしか打てないって」
「あぁ、最初の移動時間が無ければエネルギーが溜まらないんだろ?」
首を鳴らしながら、答えるロキ。
ルシエルはフッと笑い、ゆっくり剣を抜く。
「来いよ、アマツ・カイ」
俺も落ちた槍を手に取り、剣に形を変える。
ゆっくりと構え、ルシエルをじっと見つめる。
「じゃ、俺達も行くか」
「そ、そうですね」
俺たちが戦闘の準備をすると、ロキとミリスもそれぞれの対戦相手の元へ向かう。
「良かったのかい?お友達が居なくて」
「...お前こそ、俺と1体1なんて結果が見えてるだろ?」
俺はルシエルの挑発に返答をする。
しかしこれは虚勢だ。
断言する、俺はルシエルには勝てない。
「...そうだね」
その言葉と共に、ルシエルは一直線に俺へ
向かって飛び出す。
俺は咄嗟に剣を横にし、振りかぶったルシエルに対抗する。
ガンっという少し鈍い音。
それと同時に、あたりに衝撃波が生まれる。
木々が大きくざわめき、刃と刃の接点には火花が生まれる。
「どうした?随分弱くなったじゃないか」
「俺は...スロースターターなんでね...!」
グッと剣を押し込み、ルシエルを突っぱねる。
それと同時に、刀を握る手を目掛けて刃を振る。
「あぁ、やっぱり素人の戦い方だ」
ルシエルはスっと腕でかわし、そのまま伸びきった俺の腕を目掛けて蹴りを入れる。
「...っ!」
蹴りの衝撃に、腕の力が一瞬弱まる。
その瞬間をルシエルは見逃さなかった。
流れるように自身の剣で俺の剣をはじき、武器を取り上げる。
...しかし、俺もそう簡単にはやられない。
すぐに剣の形を変え、鉄球を腕に纏う。
「...お返しだ!!」
あの時と同じように、再び腹へと強烈な拳を打ち込む。
「グッ...!!」
入った!
俺の拳が、ルシエルの腹を抉る。
「どうやら先手は俺だったようだな」
俺はゆっくり後ずさりするルシエルを見下ろす。
ルシエルは腹を押さえ込みながら、蹲っていた。
「おいおい、そんなんじゃフラッグを取られちまうぞ?」
呆気なく有効打が入ってしまったことに少し驚きつつも、俺はゆっくりと歩みを進める。
その時だった。
気ずけば俺は宙を舞っていた。
「なっ!?」
ルシエルは腹痛を耐えるフリをしていたようで、しゃがんだままクルリと周り踵で重心を崩したらしい。
俺はそのまま、強く地面にぶつかってしまった。
「あんな猫パンチが本当に有効打になると思っていたのかい?」
そう言いながら、ルシエルは拳をぎゅっと握る。
まずい。
俺はなんとか体を起こし、一度その場から身を引こうとする。
「拳の打ち方はね...こうするんだよ!!」
みぞおちに...いや、内蔵にトラックがぶつかってくるような、そんな衝撃。
痛みより先に意識が飛びかけるのが分かる。
体が悲鳴を上げるなんてものじゃない。
体が、活動を諦めようとするような痛み。
「クハッ...!うぅ...あぁっ!」
なんとか飛びかけた意識を戻す。
それと同時に、耐え難い痛みが全身を襲う。
腹を殴られたはずなのに、全身が悲鳴を上げている。
「エネルギー操作もマトモにできないのかい?ボロボロじゃないか」
ルシエルは嘲笑うかのように剣を取り出し、倒れ込む俺の首に刃を向ける。
「さぁ、もう諦めて...」
その瞬間だった。
ルシエルの顔色がみるみると変わっていく。
「まさか君...モツが無いのか?」




