全て
「第1回戦、お疲れ様!」
控え室につくと、ロキは俺たちに激励の言葉を放った。
だが、俺は正直かなりギリギリの戦いだったし、勝利の決め手になったのは2人の実力だ。
にしても、相手の作戦は完璧だった。
まず大前提、今回のルールとかなり相性の良い透明化。
僅かなヒントを見逃したらその時点で負けが確定する恐ろしい初見殺しだ。
それに加え、あのフラッシュとディゴノの能力の噛み合い...
これから戦うのは1回戦を勝ち抜いたメンツだ。
今みたいな防衛じゃ絶対に足元を救われる。
「2回戦からも同じ立ち回りで行こう。アマツ、頼んだぞ」
「...わかった」
鍵になるのは、今回の戦いで出来た拳にまとわりつく武器...あれは、今までよりも精密な形状の変化により生まれた。
つまり、俺の新たな戦闘態勢への1歩になりうるはずだ。
次の第2回戦、絶対に物にしなければいけない。
「アマツくん、具合が悪いんですか?」
俺が考え事をしてると、ミリスは顔を覗かせながら話しかけてきた。
「い、いやそういう訳じゃ...」
俺は少し動揺しながら答えると、ロキも怪訝そうな顔でこちらを見つめる。
「...俺は今回、正直完璧に守れた訳じゃない。言ってしまえばまぐれで上手く防衛できたに過ぎなかったんだ」
「だから、負い目に感じてるって?」
ロキは俺の話に割って入って、呆れたような顔をする。
「そんな事言ったって、じゃあ俺らなら完璧に守れたって訳でもねぇだろ」
少し素っ気なく言い放つロキだが、その言葉の裏には俺への気遣いが垣間見える。
その言葉に、自分の情けなさを痛く痛感した。
「ありがとう、ロキ」
俺がそういうと、ロキは少し照れたように笑う。
「お前の事は頼ってるけど、完全に頼り切るつもりはねぇ。お前が無理だってなったら、その時は...」
ロキは真剣な眼差しで俺の目を見つめる。
「俺の全てを出してやる」
少し含みのある言葉。
しかしその裏を読むなんて野暮なことはしなかった。
こいつにどんな奥の手があるか、俺は知らない。
でも、俺にそれが凄く心強く感じた。
「そろそろ2回戦が始まる。気緩めるなよ」
そう言って、ロキはゆっくりと立ち上がる。
それに合わせて、俺たちも控え室を後にする。
「最初から本気だ。秒で終わらせに行くぞ」




