ハートのK
その言葉に、心臓を強く掴まれたような感覚がした。
ビクッとしながら後ろを振り返る。
するとそこには...
「あ、あなたは!!」
あの日に...街に一人で出た時に出会った、中年の男だ。
でも、一体なぜ?
「なぜ君がここに?いや、これは必然というべきか...」
なにやらブツブツとつぶやくその男。
俺はこらえきれず疑問をその男へ投げかける。
「ここはどこなんですか!?あの少年は誰なんですか!?」
俺が勢いよくそう尋ねると、男はしーっと人差し指を口に当て、喋りだした。
「これはバラストの機密情報だ。君はここに居たことを絶対に、誰にも知られては行けない。」
そう言うと、男はゆっくりと小屋の中へ入っていく。
そして、ドアに手をかけながら再び口を開いた。
「バラストの本部...そことは逆の方向に進めばやがてフェンスが見えるだろう。それを飛び超えれば親和の森へと戻れる。」
どういうことだ?
俺の質問に答えたくれないのか?
結局何も分からずじまいじゃないか!!
男はすべて言い終えると、ゆっくりとドアを閉め始める。
「待ってください!あなたは一体...!」
俺がそう言うと、ドアが閉まる直前に男はポツリと声を発した。
「ハートのK...クリスタル・ロバート」
ガチャン。
ドアが閉まった。
何から何まで分からない。
すると、遠くの方でバチンっという音がした。
「...ロキの放電だ!」
俺はとっさに合同練習のことを思い出し、あの男の指示通りにバラスト本部と反対の方向へ走り出す。
「どれくらいの時間あそこに居た...?勝敗はどうなってるんだ...!!」
やがて、男の言った通りフェンスが見えてきた。
俺は鉄球の形を変えてフェンスの上に掛け、それにつたってフェンスを乗り越えた。
振り返ると、「立ち入り禁止」の張り紙がびっしりと貼られていた。
あのゴムのトランポリンのせいとは言え、とんでもないことをしてしまったようだ...
「まずい、早く行かないと。」
俺は急いで音のした方へと走る。
あの小屋でのことは気がかりだ。
でも今は、合同に集中しないと!
すると、遠くの方で小さな氷山の様なものが見えた。
「ミリスの能力だ!!」
俺は全速力でそこへ向かう。
よく見ると、ミリスは今まさに先頭の最中で、アポロの炎を喰らいそうになっていた。
「まずい...!!」
俺は咄嗟に鉄球を槍の形に変え、思いっきりアポロの方へと投げる。
力とエネルギーの籠った槍は、ビュンっと物凄い勢いで空を切り、アポロの方へとおそいかかる。
「な!?」
すると、それに気づいたアポロが咄嗟に後退りをする。
その隙を、ミリスは見逃さなかった。
右手をアポロの胸に当て、何かを念じるミリス。
すると、アポロの動きがみるみる遅くなり、ついに全身が固まってしまった。
「...さすがだな」
ミリスの元へ到着した俺は、その芸当に感嘆していた。
「アマツくんのおかげです。間一髪でした!」
よく見ると、既にゴムの男はやられていたようだ。
さすがは名家と言っところだろうか。
「じゃあ、終わらせるか」
俺はそう言い、フラッグを回収する。
俺たちは小さくグータッチをして、ロキ達の方へと歩いていったのだった。




