アマツの力
俺はポケットから小さな鉄球を取り出した。
実は、携帯をしやすいようにザクロに小さくするよう頼んでおいたのだ。
どうやら、これほどまで小さくするのは大変だったようだが...
「この鉄球は俺の意思に合わせて形を変える。つまり、俺の戦い方はシンプルで、この鉄球の形を場面に合わせて変化させて攻撃や防御をすると言った感じだ。」
俺がそう言い終えると、ミリスは目を輝かせながら俺の鉄球を見つめていた。
「これが噂の最強兵器ですか...!」
......?
噂の最強兵器だって?
俺がその言葉に困惑していると、ロキはわざとらしく口を開く。
「まさか、アマツ・カイの最強兵器を知らないのか!?ミアス家の刃も通さない絶対防御を知らないってのか!?」
なんだそのデタラメな噂は...
っていうかその噂を流したのはお前だろ。
「...まぁ、絶対防御とまでは行かないが、防御性能にはかなり優れているな。」
実際、俺はこいつのおかげでこれまで無傷で戦闘を終えることが出来ている。
「私も決闘の様子を拝見させて頂きましたが、確かに防御性能は目を見張るものでした...!」
見られてたのか。
「でもさ、その防御と同じように攻撃することは出来ないのか?」
ロキは、防御のようにクネクネと自在に形を変えて攻撃が出来るのかと聞いているのだろう。
確かに、それが出来たら攻防一体で戦闘においてはかなり有利になるはずだ。
「俺もそれは考えた事があるが、それをするには攻撃の意思が弱すぎるみたいなんだ」
この鉄球の性質上そういう風に解釈してはいるが、実際のところは俺自身もよく分からない。
「アマツくんはすごく優しいんですね!」
優しい...のか?
言われ慣れてない言葉に、思わず動揺してしまった。
別に優しさから来るものでは無いと思うのだが...
「なるほどな。それじゃあ、エネルギーの完全浸透が安定していないのもそれが原因なのか?」
エネルギーの完全浸透というのは、つまり鉄球が真っ黒になった状態の事を言っているのだろう。
「あぁ、基本的に何かをきっかけに強い気持ちが出た時じゃないと発動しないんだ。」
俺がそう言うと、ロキはなにやらブツブツと考え事をしながら独り言を話し始めた。
「第1次成長期に起こるモツの不定着の症状に近いな...一体アマツの体はどうなっているんだ??」
第1次成長期に起こる...ってことは、俺は赤ちゃんのような状態なのだろうか。
確かに、この力を与えられたのはついこの間で、まだ慣れていないと言われればその通りかもしれない。
「じゃあ、本番でもどれくらい戦えるかは分からないってことですか?」
ミリスの言う通り、正直俺が本番でどれだけの力を使えるかは分からない。
一応武器を作り出すことは出来るんだが。
「そうでもないだろ。これからの練習次第で、その力を上手く使いこなせるようになるかもしれないしな。」
ロキはそう言いながら、ポンっと俺の肩に手を置いた。
「じゃあ、それぞれの戦い方も分かったし、そろそろ作戦会議を...」
その時、惜しくも学校のチャイムが鳴り響いた。
「仕方ない、それはまた明日ってことで!」
そう言うとロキは足早に後者の方へと走っていった。
そして、俺たちもその後ろをゆっくりとついて行くのだった。
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