親和の森
午後になり、初めての3組合同の武闘会練習が始まった。
体育館にて各班が合流した後、それぞれが練習場所・内容を決める。
この際、別班と合同での練習や試合も許可されている。
「練習はどこでするつもりだ?」
俺がそう聞くと、ロキは少し考えたあと、校庭での練習を提案した。
「リグメシアの能力は広範囲だし、俺も広いところの方が動きやすくていい。アマツは基本的に環境に左右されない能力だしな」
さすが、3人の特性を活かした的確な場所選びをロキはやってのけた。
「あの...」
すると、ミリスが気まづそうに口を開いた。
「ごめんなさい、私は水の無いところでの広範囲の凍結はできないんです...」
申し訳なさそうにするミリス。
しかし、ロキはその言葉を聞いても冷静であった。
「それなら、親和の森を使おう。あそこなら川や池もあるしな。」
親和の森とは、養成学校の校舎の裏にある、バラストの所有する広大な森林だ。
これも養成学校の敷地の内に入るので、練習に使えるようだ。
「じゃあ、そこへ向かおう。」
そうして、俺たちは親和の森へと足を運んだのだった。
ーーー
「すげぇ...!」
森へ着くと、そこには都市にあるとは思えない、広大な自然が広がっていた。
「親和の森は、バラストが意図的に作った森なんだそうです。最初は小さな林だったのが、長い年月を経てこんな森林に姿を変えたのだとか。」
ミリスは、そう言ってどこか遠くを見つめていた。
その顔からは、なんだか少しだけ、寂しさが感じられた。
俺は午前のことを思い出し、意を決してミリスへ近づく。
「ミリス...じゃなくて、リグメシア!」
俺がそう呼びかけると、彼女はクルッとこちらを振り向く。
「今日のことはごめん。俺、すごい遠いとこから来てて、あんまり常識とか分からないから...」
俺がそう言うと、彼女は少しキョトンとした顔をした後、やがてふふっと笑いだした。
「気にしてませんよ。それに、ミリスで構いません。」
ミリスはそう言いながら、俺に微笑みかける。
「...ありがとう、ミリス」
なんだか、こっちに来てからは、向こうよりもずっと気が楽だ。
こっちに居ると、今まで感じなかったような感情が、どんどん込み上げてくる。
「おーい!そろそろ練習始めないと怒られるぞ!」
そんなことを考えていると、少し遠くからロキが俺たちを呼んだ。
俺が振り向いて返事をすると、ミリスが俺の手を掴む。
「今度、アマツ"くん"の故郷の話も聞かせてくださいね?」
そう言って、ミリスは俺の手を引く。
そしてそれがなんだか、凄く心地よかった。




