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CYCLE  作者: カツ・コイチ
武闘会編
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34/59

すっとぼけ

「珍しいこともあるもんだな」


俺がそう言うと、ロキがニヤニヤとしながら話し出した。


「俺、絶対あの班と戦いてぇわ...」


ロキはそう言うが、俺からしてみれば二重の意味で勘弁して欲しい。


「そう言えば、名前聞いてなかったな。」


ロキが振り向いてそう言うと、女の子は改まって自己紹介を始めた。


「えっと、初めまして!B組のミリス・リグメシアと申します。能力は...」


そう言いかけたところで、ロキが割って入る。


「...凍結と吹雪」


そう言った後、ロキはすぐに話を続けた。


「リグメシアは西の方では名家として知られている。氷の女王・ラヴラフレシアが代表的な偉人だな」


そう言い終えると、ロキはハッとした顔で弁明をした。


「昔、色んな名家を調べたりしてたんだよ!そのお陰であんたの名前をな...」


ロキがそう言うと、ミリスは驚いた顔でロキを見つめる。


「すごい!こっちに来てから、誰も私の名前を聞いても驚かなかったのに...」


俺にはよく分からないが、どうやら2人はすっかり打ち解けたようだ。


「まぁでも、俺も全然詳しくねぇよ。なんせこいつの事を知らなかったしな」


そう言ってロキは俺の肩にポンっと手を置いた。


「アマツさん...でしたよね。決闘の様子は拝見してました。おふたりが御一緒であれば、優勝も狙えそうですね!」


なんだか、アマツさんと呼ばれるとむず痒い。

まさか同級生からさん付けて呼ばれるとは...


「アマツでいいよ。えっと...ミリスだっけ?」


俺がそう言うと、ミリスは驚いたような顔をした後、顔を手で被ってボソッと呟いた。


「お、男の人から名前で呼ばれるなんて...」


...名前で呼ぶのは失礼だったのか?

リグメシアと呼んだ方がいいのだろうか。

そんなことを考えていると、ロキは呆れたような顔でこちらを見つめていた。


「あのな、西の方では...まぁいいや。」


一体どうしたと言うのだろう?

どうやら、俺は何かまずい事をしてしまったようだ。

そんなやり取りをしていると、学長が前に出てきて、生徒達へ静まるように促した。


「さて、班決めも終わったようじゃな。それでは改めて、武闘会について説明する!」


武闘会は1班3人のトーナメント形式で行われる。

内容はシンプルで、障害物のあるフィールドでお互いのフラッグを先に手に入れた方の勝利というもの。

フィールドには3つのステージがあり、砂浜・ジャングル・都市の中から選ぶらしい。


「なるほど、フラッグか...」


横を見ると、なにやらロキは既に作戦を考えている様子。

頼もしいやつだ。


話が終わり教室に戻ると、かなりやつれた様子のハヤテがいた。


「俺ずっとあいつから殺気を感じるんだよ...勘弁してくれ...」


そう愚痴を吐くハヤテを、ディゴノは優しくたしなめる。

どうやら、ルシエルと同じ班になってしまったのが相当応えているらしい。

可哀想に...


「アマツ、班はどうだった?」


すると突然アポロが現れ、そう聞いてきた。


「ロキと...B組のミリスって娘と一緒だったよ」


俺がそう答えるとアポロは、俺のメンバーに驚いている様子だった。


「実力者揃いで、ぜひ手合わせ願いたいメンツだな...特にロキ・ハイドはかなりの強者だ!」


どうやらこいつもロキ同様、戦闘狂らしい。

いっその事こいつら2人でライバル同士になればいいのに。


「それにしても、まさかアマツがリグメシアの事を好きだなんてな!!」


...なんだって??

急にとんでもない事を口に出すアポロ。

俺達は目を丸くしていた。


「お、おい!アマツが...ちょっとまてどういうことだ?」


困惑するハヤテと同様、俺とディゴノも突拍子もない事を言い出すアポロに戸惑っていた。


「ミリスってユリウス国から来た、ミリス・リグメシアの事だろ?」


アポロのその言葉を聞いたハヤテとディゴノは、急に納得したような顔をしだす。

事態を飲み込めない俺に、ディゴノは少し申し訳なさそうな顔で説明をする。


「アマツの事だから知らなかっただけなんだろうけど、その...西側の国では女性の名前を呼ぶのは求婚の証なんだ...」


求婚の証?どういうことだ?


「ディゴノ、さすがにアマツもそんな事は知ってると思うぜ。俺にはわかる、こいつはとぼけたフリして実は狙ってるっていう1番凶悪なタイプだ」


ハヤテまで意味の分からないことを言い出した。

いやまぁ、ふざけたことを抜かしてるのは理解できたが。


「ちょっと待て。つまり俺はミリスに求婚を...」


ディゴノは怪訝そうな顔でゆっくりと頷く。

どうしよう、午後には武闘会の練習授業があるというのに...

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