それで、あの世って?
どんなデタラメな話をするのだろう。
しかし、1度聞くと言った以上は、耳を貸さなければいけない。
「それで、あの世ってのは天国や地獄のことなのか?」
「そうだな...」
男はまたニヤリと笑い、話し出す。
「天国ともとれるし地獄とも取れるな。でもいちばん近いのは...」
そう言いながら、男は地面に指をさした。
「...地球?」
「ご名答」
男は続ける。
「あの世ってのはほとんど地球と変わらねえ。海があって、陸があって、人間がいて、文化もある。」
あの世の存在自体信じ難いのに、地球とそっくりだなんて、尚更信じられない。
もしこの男の話が本当なら、ソウキの思い描く理想郷は存在しないことになると思うと、少し悲しい気持ちになった。
「じゃあ、魂の循環装置とか言ってたのはなんだったんだ?こっちの世界では聞きなれない言葉だが。」
男はまたニヤリと笑う。
「容量が良くて助かるねぇ。それについては、少し難しい話が必要になるんだが...」
「構わないよ。どうせあんまり信じてないし。」
男は少しやれやれという顔をした後、再び話し始める。
「魂ってのは、人間ひとりひとりが持つエネルギーの貯蔵庫なんだ。」
男は俺の胸を指差し、話を続ける。
「魂は地球上で貯蔵庫としてエネルギーを溜め、あの世で解放する。そしてエネルギーが殻になったら再び地球に帰ってくる。分かるか?」
魂という概念自体はなんとなく分かっていたが、貯蔵庫云々の話は聞いたことがない。
「まぁなんとなくわかるが、こっちで言われている説と随分違うんだな。」
「そりゃ生きてあの世に行けたことのあるやつなんて居ないからな。」
筋の通ってるような通ってないような、そんな男の話には少しだけ興味が湧いてくる。
「じゃあ、向こうに行った魂はそのエネルギー?をどうやって解放するんだ?こっちみたいに普通に生活してるだけ?」
「そこがちょっとややこしい話なんだよ。」
男は続ける。
「まず、魂に自我はない。そして、魂の中のエネルギーを解放するのはあの世の住人だ。」
「向こうの奴らには地球人には無い臓器が生まれつき備わっている。肺が空気を吸うとしたら、その臓器は魂のエネルギーを吸っているんだ。」
魂のエネルギー、あの世の住人、地球人には無い臓器...信じ難い話がどんどん出てくる。
「うーんと、色々聞きたいことはあるんだが、魂に自我ないならソウキに会ったところで意味は無いんじゃないか...?」
「あぁ、普通はあの世に行ったところで自我のないエネルギー貯蔵庫でしかないな。」
「それが、ソウキは普通じゃないって話なんだよな?」
男はゆっくりと頷く。
「お前の友達になぜ会えるのか、それはエネルギーについて話す必要があるな」
すると男は手を前に出す。
「見せた方が早いだろ」
そう言った直後、男は真横の木を叩いた。
その瞬間だった。
目を疑った。
裏山の1本の大木に、大きな穴が空いたのだ。
マジックではないのは、見れば明らかだった。
「ちょっとまて、どういう...!」
「静かに。」
男はシッと口に指を当て、話を続ける。
「これが地球の人間とあの世の人間の違いだ。"俺たち"は、エネルギーをあらゆるエネルギーに変換できるんだ。」
疑いの余地は無かった。
この男は今まさに、自分が何者であるかを証明して見せたのだ。
「まだ喋るなよ、ひとまず全部話させてくれ。」
そう言うと、男はまたあの世について話し始める。
「エネルギーというのは善と悪のエネルギーだ。こっちの世界での行為からそいつが向こうの世界にどんな影響を及ぼすのかを判断する"システム"が、魂に善のエネルギーを悪のエネルギーを付与する。」
俺は目の前で起きた光景から、男を信じざるを得なかった。
そして、気づけば男の話を真剣に聞き入っていた。
「言ってしまえば、悪いやつは悪いエネルギー、善い奴は善いエネルギーを持って向こうの世界に行くってことだな。」
男ここまで話して一息ついた。
聞いたいことは山積みだったが、俺はひとまず
「おい、肝心のソウキに会える理由がまだ聞けてないぞ。」
と男に問いかけた。
「簡単な話だ。俺の"能力"で見たんだが、あいつはおそらく付与される善のエネルギーが普通の魂とは桁違いだ。そういう魂を向こうでは傑出魂と呼ぶ。」
「傑出魂は存在自体が他の魂とは違う。莫大はエネルギーに身を包んだ魂は、肉体ならまだしも意思まではシステムじゃ剥がせない。」
さすがに脳みそが疲れてきた。
「まぁ、要するにあいつがすげーから向こうでも自我が残ってるってことだな」
「ざっくり言うとそういうことだな。」
俺はふたたび男を見つめ直す
「じゃあ、そろそろ教えてくれよ。あの世への行き方をさ」
説明が難しいかもしれません汗
でも内容は自信アリです。




