リンキハイゼン
生後間もない新生児...自我も無いような赤子が、総督や学長ですら手も足も出なかった奴を葬ったというのか!?
「先生!リンキハイゼンというのは一体...」
1人の生徒がそう投げかけた時だった。
授業の終わりを告げるチャイムが教室に響き渡った。
「さて、休み時間だ。次の授業では具体的なバラストでの業務について話すから、準備して置く用に」
そう言ってカイズは足早に教室を去っていった。
「なぁ、リンキハイゼンって知ってるか?」
授業が終わると、すぐにハヤテとディゴノは俺の机へとやってきた。
しかし、ハヤテにそう聞かれても俺が知るわけないとしか言いようがない。
すると、その質問に対しディゴノが口を開いた。
「...僕は聞いたことあるよ」
そう言ってディゴノはリンキハイゼンについて知っていることを話してくれた。
「リンキハイゼン...ミアス家の本家の一人息子で、その傍若無人っぷりには家の人も呆れているらしいんだ。」
傍若無人...あれだけの強さを持っているなら、そうなってしまうのも仕方の無いことだろう。
「で、そいつは本当にあれだけ強いのか?」
俺がそう問いかけると、ディゴノは少し困ったような顔をした。
「強いとは聞くけど、戦闘や能力の情報は一切出てこないんだ。先生の話した内容だけが彼の強さの手がかりだよ。」
妙な話だ。
あれだけの強さを持っていて、かつ傍若無人な性格なら、その力をひけらかすなんてのはありそうな話だ。
それなのに一切の情報がでてこないということは...
「意図して隠されていたのか?」
俺のその言葉に、2人はハッとしたような顔をした。
「先生もリンキハイゼンについての質問には答えたがらない様子だったよね」
ディゴノの言う通り、カイズは生徒からの質問を避けるかのように足早に教室を去っていった。
15年前の事件...大災害を止めた男...リンキハイゼンという男の存在には何かがあるとしか考えられない。
「ルシエルに聞くのはどうだ?」
ハヤテの突拍子もない提案に、俺とディゴノは困惑する。
「ルシエルは分家とは言えミアス家なんだろ?なにか知ってるんじゃないか?」
ハヤテがそう説明すると、ディゴノも納得した表情で同調する。
「確かに彼なら何か知っているだろうね。親善試合でも生徒会長がその話題を出していたし。」
そうか、あの時の...。
でも、ルシエルはその話題を出された時に嫌がっていたような気もするが。
「昼休みに聞きに行ってみるか!」
ハヤテがそう軽く言ってのけ、俺は動揺する。
一切関わりのない上にミアス家という家柄...正直絶対に話しかけるなんて無理だ。
「おいディゴノ、やめておいた方がいいよな?」
俺がひっそりとディゴノに耳打ちをした。
しかしディゴノは、思いもよらない返答をしてきた。
「全然大丈夫じゃない?家柄の格としては、同じくらいなんだし」
その言葉に、俺は目を丸くした。
バラストと不可侵協定を結んだミアス家...分家とは言え、その影響力は尋常じゃないだろう。
それとハヤテの家が同じくらいの格だと、情報通のディゴノの口から告げられたのだ。
「おい、それって...」
俺がディゴノに聞こうとした途端、チャイムが鳴った。
いつも良い所で邪魔をしてくるチャイムには少しうんざりだ。
「席に座れー。授業始めるからな」
そう言いながらカイズは俺たちに教科書を開くよう促した。




