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CYCLE  作者: カツ・コイチ
入学試験編
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22/26

親善試合、開始!!

開始の合図と共に、ロキとユノはすぐさま攻撃を仕掛ける。

それを読んでいたかのように、生徒会書記・リケイドは副会長・ライトに合図を出す。

するとライトは拳を握り、グッと力を込めたあと、その中から小さなボールのような者を出し地面に落とす。


「ロキ、下がれ!」


ユノの合図と同時に、そのボールが地面に当たり、弾ける。

その瞬間。

中から木の枝がものすごい勢いで生え、ロキとユノに絡みつく。

間一髪で回避したロキは、電流を流しユノに巻きついた枝を燃やした。


「そのボールは種か?あんたの能力はだいたい分かったよ。次はどんな観葉植物を見せてくれるんだ?」


ユノの挑発を無視し、ライトはリケイドへ目配せをする。


「お生憎だが、次は俺の番だぜ...!」


リケイドは棒状の武器を取り出し、それを思いっきり横に振る。

風と共に、衝撃波が生まれる。

しかしハイドとユノには全く効いてる様子は無かった。


「おい、あんな攻撃じゃ無理だろ!」


ハヤテがそう言ったが、ユノはまたもや相手の能力を見抜いていた。


「次の攻撃だろ?あんたの目の十字の、横の線が光ってんのが見えるぞ。」


リケイドはへーっという顔をした後、口を開いた。


「そうだよ。攻撃力を落とす代わりに確実に印が着くようにしてあったんだ。」


少ない情報量から相手の能力を見破るユノは、その肩書きを象徴する洞察力だった。


「だが分かったところで、防げるかな?」


そう言うとリケイドは一気にユノに近寄る。

さすがは生徒会、並の速さじゃなかった。


「ユノ!」


ロキはユノを助けようと飛び出す。

しかしその瞬間、それを待っていたかのようにロキの足元にボールが転がってきた。


「よせロキ!罠だ!」


ボールが破裂するのと同時に、リケイドが棒を振る。

間一髪で避けようとしたユノに瞬時に合わせ、リケイドはその攻撃を確実なものにした。

その反射神経は常人のそれではなかった。


「俺の目から逃れられるとでも?」


さらに、ボールの中から出てきた太いツタがロキを締め付ける。


「水分を多く含んだツタでは、電気を通しにくいだろう。」


計算された動きだ。

生徒会は最初の一連の掛け合いで相手の弱点を見抜き、そこを正確に突いていた。


「さぁ、さっさと十字架を背負いな!」


リケイドが攻撃を当てると、目を見開く。

それと同時に、強い爆風と光が起こる。


「グッ...!!」


ユノは勢いよく吹っ飛ばされた。


「今度は効いてるぞ!」


ハヤテの言う通り、ユノはかなりこたえている様子だった。

よろけながら立ち上がるユノのの胴体には、十字の焼けた跡と紋様が刻まれていた。


「いまので1回だ。十字架はあと2回、お前に罰を与える...!」


恐らく、リケイドの目をトリガーに発動するのだろう。

いつ食らうか分からないというプレッシャーは、ユノの判断と行動にブレーキをかける。


「さすがは生徒会だ...でも、なんで後の2人は動かないんだ!?」


生徒会長と、ルシエル。

一番の目玉である2人は、微動だにせずに戦いを見守っていた。


「ミアス・ルシエル。助けに入らなくていいのか?その剣を抜くか、能力を使うかしてみろよ」


生徒会長・ミナトはルシエルへ挑発する。

しかしルシエルは冷静に言葉を返す。


「あなたなら十分ご存知でしょう?弟の能力を警戒しなくていいのですか?」


弟...つまりユノの事だ。

確かに、ユノはまだ能力を使っていない。


「そうだな、あいつの相伝の能力なら状況を変えられる。でもあいつは使えねぇよ、リケイドの十字架を背負ってるからな。」


それを聞くと、ルシエルは大きくため息をついた。


「どうした?そんなに俺に動いて欲しかったのか?悪いが、お前の行動は見抜いてるんだ。」


こいつらはお互いの状況を正確に理解しているようだ。


「あぁ...」


ルシエルは哀れむような目でミナトを見つめる。

それに対しミナトは、冷静に説明を続ける。


「ユノが能力を使えば、確かに俺が出ないといけなくなる。でもそうすればお前の思うつぼだろ?」

「お前は俺の"封印"を危惧している。しかし、封印を一度に使えるのは1人まで...だから動いて欲しいんだろ?勝敗を大きく左右するお前の一手を防がれたらお前たちに勝ち目は無いからな。」


封印...それはつまり能力を封印するという事だろうか。

とにかく、ルシエルの能力があれば決着は着くが、それを止められる手段をミナトは持っており、警戒し合う双方は戦いに介入できないということだろう。


「違いますよ。確かにあなたの能力なら私を止められます。そしてユノが行動しない限り、その矛先を変えることは出来ません。」


「じゃあ、何が違うんだ?まさか、お兄ちゃんを呼ぶから大丈夫だなんて抜かさないよな?」


その挑発は、冷静だったルシエルの顔を少し歪めていた。


「あの方の話を私の前で出すな...!」


そう言うとルシエルは慌てたように再び冷静さを取り戻し、また哀れむような目でミナトを見つめる。


「弱者の血はどれだけ励もうと弱者にしかなれない...私はね、ただこんなおままごとに自らの力を使いたくなかっただけなんですよ。」


すると、ルシエルは両手を握り、祈るような姿勢になる。


「馬鹿が...!!」


ミナトはそれに合わせ、両手を前に出す。

すると両手の前に白く輝く円が現れ出した。


「神よ、慈悲の涙を。万象に沈黙を...!!」


明らかにアリーナ全体の空気が変わった。

ミナトは目を丸くして語り出す。


「最上級の詠唱だ...とんでもない一撃がくるぞ!!」


詠唱...ハヤテ曰く、ほとんどの能力には必要のないものだ。

でも、あまりにも強大な力を使う際は、エネルギーの吸収と循環を補助するために詠唱を行うらしい。


「神の慈悲をもらおうとするなんて...神は目の前にいるでしょう?」


ルシエルはそう言うと目をつぶり、呟く。


「さぁ行け、弱気者に最後の安らぎを与えねば」


ミナトはそれを見て、ニヤリと笑う。


「俺の方が先だ、残念だったな!」


一部始終を見守っていた4人だったが、ただ待つだけでは無い。

ユノが真っ先にミナトへ手を向ける。


「させねぇよ!」


それを見たリケイドは、目を見開き能力を発動する。

再び攻撃を食らったユノは、もうあまり動ける様子ではなかった。


「くそ...!離しやがれ!!」


暴れるロキだが、相性が悪い。

ライトのツタの前では無力だった。


「悪いが勝たせてもらおうか」


ついにミナトの、能力が発動する。

もはや歓声は上がらない。

誰しもが息を飲んでその場で沈黙していた。

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