2派閥の動向と開戦
短いです
中央統合派が大々的に動き始めた頃、愛知と京都でもまた、新たな動きが起こっていた。
愛知には、自由な独立を求める守護者たちが。
京都には、伝統を重んじる守護者たちが集まり始めていた。
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愛知
「ほいじゃ、始めるでよ。伝統を守るだの、中央が全部支配するだの、そんなん好かんがね。
僕も中央統合派に誘われとったんだわ。じゃけど北見さんの言葉聞いたら、すっかり惚れ込んでまった。
これからは北見さんの秘書として働かせてもらうで、よろしく頼むわ。
……可愛い女の子じゃのうて悪いけどな」
最後の一言で、場の空気がわずかに微妙なものとなる。
だが当の本人だけは、してやったりという顔を浮かべていた。
卑屈そうな笑みを浮かべながらも、その目には獰猛な光が宿っている。
サラリーマン風の男。
愛知の守護者・熱田高雅である。
「……とまぁ、彼がこれから支えてくれるべ。集まってくれたみんなには、本当に感謝してるっしょ。
俺は北海道の守護者、北見冬馬だべ。
これから俺たちは、伝統派でも中央統合派でもない、新しい道を作っていくんだわ。
詳しいことは……後ろのホワイトボードに書いてあるから、見てもらえると助かるべさ」
ホワイトボードには、以下の内容が記されていた。
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「中央も古代も信用できない」
各都道府県が独立して生きる道を探すべき。地方には地方の力がある。
そのため、以下の三つを遵守する。
・各県独自の霊脈維持・守護者間契約の破棄・小規模自治結界の構築
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一見すれば、無責任。統一性も協調性もない思想に見えるだろう。
だが彼らは、誰よりも民を案じ、現場を最優先に考えていた。
だからこそ、ある意味では最も強い集団だったのかもしれない。
後に彼らは、自由独立派と呼ばれることになる。
中心となるのは、冬馬と高雅。
そして、以下十八名。
沖縄の守護者・琉球まな宮崎の守護者・日向ひまり佐賀の守護者・有田結大分の守護者・別府さくら熊本の守護者・阿蘇豪河鳥取の守護者・砂丘星羅徳島の守護者・藍原詩乃香川の守護者・讃岐麦愛媛の守護者・道後柑奈滋賀の守護者・琵琶月都岐阜の守護者・飛騨茜福井の守護者・若狭葵石川の守護者・金沢小春富山の守護者・立山総司新潟の守護者・越後雫静岡の守護者・駿河凛群馬の守護者・榛名颯福島の守護者・会津悠斗
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京都
京極志乃が、集まった者たちの前で静かに口を開いた。
「ほな、始めまひょか。
早速本題に入ります。
中央のやり方には、到底賛同いたしかねます。
うちは伝統を守る。伝統こそが正義どす。
もし滅びることになろうとも、それが伝統とともにあるのなら本望。
自由を振りかざすお若い方々も、長年守られてきたことを忘れた中央の方々も、どちらも変わりまへんな。
うちの前では、等しく敵どす。
どうぞ情けなど期待なさらんといてください」
あまりにも苛烈な言葉に、一同は一瞬息を呑む。
だが、すぐに皆の表情は引き締まった。
彼らは皆、伝統を守ることを選んだ同志。
そしてここには武闘派が多い。
敵が誰であろうと、打ち滅ぼす覚悟を持った者たちだった。
志乃が掲げる理念は、ただ一つ。
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「土地を切り捨てるくらいなら、最後まで共に滅ぶ」
各県には、何百年も積み重ねられてきた文化、記憶、信仰がある。
それを「効率」の一言で捨てるなど、決して許されない。
そのため、古代霊術による全国再接続、神域復活、各土地神の覚醒による列島維持を目指す。
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この場に集ったのは、志乃を含め十九名。
鹿児島の守護者・桜島蓮長崎の守護者・出島蒼真山口の守護者・萩涼真広島の守護者・宮島恒一岡山の守護者・桃瀬陽菜島根の守護者・出雲千景高知の守護者・坂本竜牙和歌山の守護者・紀州翠奈良の守護者・春日悠真三重の守護者・伊勢真白長野の守護者・白馬澄人山梨の守護者・甲斐琥珀栃木の守護者・日光澪茨城の守護者・鹿島太智青森の守護者・弘前林檎山形の守護者・米沢楓秋田の守護者・白神雪乃岩手の守護者・南部幸樹
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列島の異変から、わずか二か月。
四月、日本列島は三つの勢力へと分裂した。
当初の数週間こそ、大規模な混乱は起きなかった。
だが――七月。
中央統合派が、大きく動く。
銀次と零司は「霊脈保護優先区域」を制定。
そのうえで、一部地方への霊力供給停止を決定した。
その瞬間――
鹿児島の火山が暴走。
秋田の神域が崩壊。
沖縄近海では巨大結界が消滅した。
「切り捨て」が、現実となったのである。
それに対し、京都は大阪湾霊脈ネットワークの破壊を宣言。
さらに愛知と北海道は、東京湾霊脈ネットワークへの攻撃を宣言した。
こうして――




