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反撃~バリアー・ライフ・ブレッシング

ガポンッッ!!!


「~~~~~~!!!き、貴様ぁ………!!!」

「どうした治さねぇのか?まぁ無理だろうな回復魔法が治せるのは人体の物理的な損傷だけだから、なぁ!!」


 ガイウスは痛みに悶えるノーブルの足を後ろから払いバランスを崩した彼を蹴り飛ばし神木の幹に思いっきりぶつける。幹の表面に一瞬でもクレーターができる攻撃を受けたノーブゥルの体は既に自身の魔法で回復しているが右肩の脱臼のせいか痛みは引かず立ち上がることができない。


「なぜ、だぁ?!!なぜ死んでない?!!化身魔法の攻撃に貴様のような劣等魔法使いが耐えれるわけが……!!」

「………元々、勝負は決まってたんだよ。俺が、これで防御できた時点でな」


 そう言うとガイウスは右手を前に出すと彼の手に平の上に極小極薄のバリアが出現する。そのバリアは消失と再生を1秒間に何度も繰り返していた。


「減算強化。自らの魔法に制限、制約をかけて効果を増強する………お前らが馬鹿にし続けていた魔法論。それを俺なりに追求し続けた末に生まれたのがこの魔法だ。

 こいつの発動条件はたった一つ。持続時間0.1秒再発動時間0.2秒の縦5cm×横5㎝×厚さ0.4㎜のバリアの中心部で俺に対して敵意を持つ相手の攻撃を受け止めること。成功すれば1分間、極限まで強化された身体能力と消費されない莫大な魔力を手に入れることができる。

 これが俺に切り札、バリアー・ライフ・ブレッシング」


 ガイウスの説明を聞いてもノーブゥルは理解することができなかった。確かにガイウスのさっき行ったあの厳しすぎる条件ならば彼がどれだけ無才だとしても効果の釣り合いは取れている。だが自分とガイウスがここまでまともに戦ったことなどなかった。タイミングや速度も見切れるはずがない。


「それに……1分だと……!!戦い始めてとっくに3分以上立っている!!とっくに効果は切れているはずだろうが!!!」

「………この魔法は便宜上は強化魔法に分類されるんだが、こいつの利点はバリアによるジャストガードが成功するたびに効果時間は追加されていくって所だ。

 そして、一番最初のジャストガートは相手の攻撃を見極めたとしても正直一か八かだが、成功させた後に得られる超強化された五感があれば、

 ほぼ100%成功させることができる」

「……つまり、残り、時間は………!!!」

「……手当たり次第防御したんで、もう正直残り時間は俺には分からん。でもそうだな、さっきの攻撃の密度を考えれば少なく見積もって……、

 6時間は保つんじゃねぇか?良かったなぁ大作の歌劇を2本は余裕で見れるぜ!!」


 ガイウスの発現には一部(ブラフ)がある。

 バリアー・ライフ・ブレッシングの効果そのものは彼の説明通りであるが、制限時間はどれだけ防御したとしても5分以上は加算されず、6発目以降の攻撃を防御できたとしてもリセットされることもない。

 実際の所残り時間は約2分、机上論だけで見ればこのままノーブゥルはガイウスに攻撃せずユグドラシルや「飛行」の力を全力で逃げと防御に使えば勝負を再び彼優勢に持って行くことができる、が。

 もうガイウスの発言を疑ったり、冷静な思考をするほど心の余裕はノーブゥルの中にはわずかにも残っていなかった。


「く、来るなぁ!!!くるんじゃねぇぇぇぇ!!!」


 ノーブゥルは半狂乱になりながら左手に黄色の魔力でできたボウガンを生成、次々と魔力矢を撃ち放っていく。放たれていく魔法矢はどれも威力重視で弾道はブレブレであり、ガイウスは傾斜を付けたバリアで受け流したりわずかに体をずらしながらノーブゥルへと近寄っていく。


「……ボウガンなんて作れたのかよ。威力は弓と変わらねぇし連射もできる。初めからこっちを使っときゃいいのに。………伝統として弓文化を大切にするのはいいが、命の取り合いにまで持ってくるはお笑いだな」

「いいからくるんじゃねぇ!!いいか、それ以上近づいてみろ!!お前が所属してるギルドも知人もその家族もぉ!!!全員拷問にかけて殺してやるからな?!!

 だから、だから来るな化け物がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 声を裏返させもはや躱す必要のないほど照準がブレブレの魔法矢を発狂させながら放ち続けるノーブゥル、それに対し心底辟易したように息を吐くガイウスは彼の言うとおりその場で立ち止まりゆっくりとしゃがみ込む。その姿を見てノーブゥルは狂気に支配された笑みを浮かべるがその時既にガイウスの右足の下にはバリアが何重にも展開されていた。


「化け物だ……?……民を導く王のくせに手前勝手な理屈で命を奪い、あまつさえ家族さえも騙して謀殺しようとする。俺に言わせればテメェこそがぁ!!!」


 瞬間、ガイウスは地面のバリアを踏み砕き爆発させその推進力を使い一瞬にしてノーブゥルの元へと到着、そのまま動くことのできない彼の顔面の前に20枚以上の極薄の、魔力が凝縮されたバリアを生成する。そして。


「どんなモンよりも!!今すぐくたばるべき化け物だぁっっっっ!!!

 バリアー・ラッシュインパクトォッッッ!!!」


パリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリッッ!!!グチャッッッ!!!ボォォンッッッッッ!!!


 爆発的に放たれた拳はバリアを砕きつつノーブゥルの顔面へと突き刺さり彼の顔面を一撃で陥没させる。またそれに遅れるようにバリアから指向性の大爆発が発生、爆熱爆風によってノーブゥルの体を破壊しつつ、遙か彼方へと彼の体を吹き飛ばすが、現在この場所は大規模な結界のよって外界から断絶されている。故に。

 すさまじい勢いでノーブゥルは絶対不壊の結界の壁に衝突し小さな血の花火を出しながら地面へと落下していくのであった。

 それとともに化身魔法のの象徴たる神木は枯れて朽ちていきボロボロと塵に帰って行く。ガイウスもそれとともに神木から飛び降り着地すると既にそこには神木の姿はなく、

 命を吸われ一帯が死の大地と化した土地に突き刺さる誇りの誉れの宝矛(キング・ハーツ)のみとなったのだった。



 ガイウスとノーブゥルが戦っていた場所から離れた地点の巨木の上。その枝の上に全身を白装束で隠し、白い仮面を付けた人物、「袖下の刃」の隊長「隠し鞘」は遠視の魔法で観察していた。


「………やはり、負けたか。だがあの愚か者はまだ死んではいないな。宝矛の力か、それとも……。まぁいい計画に支障はない。

 ミラー・クローン」


 「隠し鞘」が短詠唱によって自身の身長ほどの鏡を生み出すとそこから、ノーブゥルが現れる。そのノーブゥルは一切感情が見られない無表情のまま両手に魔法で作ったボウガンを生み出すと魔力の充填をしながらどこかへと照準を定める。


「この場にいる全員はここで死ぬ。それが統一国が決めた運命だ」 

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