反撃~セフィロト・リンカーネイション・ユグドラシル
「……この、程度で俺に勝ったつもりかぁ!!この愚か者がぁ!!」
ノーブゥルは叫び声を上げ右手首に巻き付いている厳かなデザインのバングルを見せ、黄金色の輝かせる。すると貴族の青年二人に変化が生じる。
彼らの体が急激にしぼみ始め骨と皮だけの死にかけの老人以下の姿になっていくのであった。
「あ、あああぁぁぁぁ………!!消える、僕が消えるぅ……!!!」
「が、ガイウス、様……!!俺達は、ノーブゥルにだまされただけで……た、助けて……!!」
そんな命乞いも意味がなく彼らは髪の毛も歯も全て抜け落ちるとそのまま枯れ木のように折れ倒れてしまうのであった。その光景を横目で見ていたガイウスは額に出ていた青筋をより濃くしながら再び正面にいたノーブゥルを睨む。
一方ノーブゥルは先ほどまでの大ダメージが嘘のように体を回復させ立ち上がり、宝矛を手に彼に激しくにらみつける。
「……宝矛以外の継承思器を持ってやがったのか」
「王家相伝の継承思器命力の輪廻……!!生命力を魔力に、魔力を生命力に変換する特殊な生命魔法、セフィロト・トランスが宿っている……!!これで俺に忠誠を誓ったものから命を吸い上げ自身の魔力に変換できる……!!
さらにぃ!!!」
ノーブゥルは懐から手のひらサイズの布袋とを取り出すとそれをひっくり返す。するとそこから大量の色とりどりのガラス玉が出現し彼の手に触れた瞬間砕け散りと化してしまう。
(あれはアイテムボックス、空間魔法が宿った継承思器か。いや、それよりもあのガラス玉が砕けた瞬間ノーブゥルの魔力量が上がっている……!!
まさか……!!)
「気がついたようだなぁ!!命力の輪廻によって吸収した魔力は小さな球状にして長期保管することができる!!それを今砕いた!!今の俺の魔力は貴様の数倍以上!!!
役に立たん下民の命を私の役に立たせることができる!!まさしく王の慈悲深さを象徴した力だなぁ!!!」
「……テメェ、何人殺した……!!今の数30や40じゃ済まねぇだろ……!!」
「気にするな!!コイツらは魔術師や魔法不全者がいる家系の劣等種!!どうせ俺の治政では早かれ遅かれ族滅している!!
それに貴様もすぐにこれと同じ末路を追わせてやる!!」
「こんの、腐れ外道がぁぁぁぁ!!!」
ガイウスは叫びを上げ突進し拳を突き出し、ノーブゥルも呼応するように前に出て宝矛を振るう。拳と誇りの誉れの宝矛がぶつかった瞬間すさまじい魔力のともなった衝撃波が生じ残ってた木を押し倒し、拘束されていた『針』達を遠くへと吹き飛ばしてしまった。上空から見ればクレーターのようになっている戦いの地にて兄弟二人の戦闘はさらに激化していく。
極近距離では相性が悪いと考えたのかノーブゥルがバックステップで距離を取るが、そうはさせないと言わんばかりにガイウスは再び特攻、彼に追撃を駆けようとする。しかし当然それはノーブゥルも分かっているのか体から暖かな光を発しながら離陸、上空へと急速に上がっていく。
「スキル『飛行』。俺は空すらも支配できる……!!もう先ほどのような油断はしてやらん。
確実に殺してやる!!!セフィロト・リンカーネイション・ユグドラシル!!」
ノーブゥルは手に持っていた誇りの誉れの宝矛を真下へと思いっきり投げ刀身を地面に突き刺すと、同指示手を組んで印を作る。すると宝矛の周りに大量の樹木が出現し包み込む。それからほぼ数秒足らずで多くの葉と桃色の花びらを備えた巨大な神木が出現するのであった。
誇りの誉れの宝矛。不壊の特性に加えその力はセレン・ラックリバーが当時45歳までに使うことができた魔法全てをオリジナルの約8割程度のスペックで再現発動することができる。
「生命化身魔法……生きてる間に見れるとはなぁ………使ってんのがどうしようもねぇ愚弟じゃなけりゃもう少し良かったんだがなぁ」
「余裕な顔もそこまでだぁ!!セフィロト・ユグドラシル・ブロッソード!!」
ノーブゥルの詠唱とともに巨大な神木はにわかに揺れ始め木々に付いている花びらをいくつかを散らせる。すると花びらは離れた瞬間、薄く鋭い刃のような形状になり、襲いかかってくる。
ガイウスは一気にかけ出し花びらの刃を撒こうとするが、一定の距離のまま千切ることができないでいた。さらに地面からは剣山のように鋭い根っこの槍が地面から突き出し彼を突き刺そうとする。
地上戦はあまりにも不利、そう考えたガイウスは空中へとジャンプさらに空中を踏みしめた後飛んでいくようにさらに飛翔、神木の頂上にいるノーブゥルへと向かっていく。
(さっきも見せていた空中ジャンプ。どういうトリックでやっているのかと思ったが、バリアを足場にしてジャンプを繰り返していただけか。 種が分かればなんてことはない!!)
「ショット・アローズ!!」
ノーブゥルは魔法の弓矢を構え、撃ち放つ。すると矢は発射された瞬間無数の矢へと拡散ガイウスへとおそいか掛かる。次どこに行こうがこの拡散範囲であればどこにいようともガイウスに確実に命中する。命中し墜落させればガイウスは生命魔法の餌食にできる。
だがその程度、ガイウスも読んでいた。
ガイウスが足場としているバリアの中には大量の空気が入っており衝撃を加えることで爆発する。よってガイウスは今自分が踏み爆発寸前のバリアの向きを変更、爆破。それとともにガイウスは後ろへと思いっきり飛ばされるが飛ばされた場所には大きめのバリアが既に形成されていた。ガイウスは空中で体制を整えそれを踏みつけるとバリアは方向を修正し面部分をノーブゥルの方へと向ける。ノーブゥルもすぐに気がつき、瞬時に弓を構え強弓を放つが、
飛んできたガイウスは真っ正面に拳を繰り出し矢を破壊、そのままの勢いのままノーブルの顔面に右ストレートを打ち込むのであった。
ガイウスの拳には肉が骨が潰れ砕ける感覚を感じ取れたが、ノーブゥルは曽爾に一切気にすることなく両手でガイウスの腕を掴む。
「な………?!」
「ユグドラシルは咲き続ける限り発動者に無限の生命を与える……!!この程度では死なないんだよぉ!!!」
グシャッッッ!!ブォォンッ!!!ドガァァァァン!!!
ノーブゥルは雑巾でも握りしめるようにガイウスの右腕を破壊するとそのまま大きく地面に向かって彼を投げ叩きつける。それと同時に大量の木根の槍と空中に漂っていた花びらの刃がガイウスが叩きつけられた場所へと殺到する。
ガイウスからのダメージなどはじめからなかったと言わんばかりの表情のノーブゥルは見下すような視線を死地へと落ちていったガイウスへと向けていたが突如、立ちくらみをするかのようにふらつき始める。
「クソ……!!もう空に……!!」
ノーブゥルは懐から布袋、アイテムボックスを取り出すとそこから再び多量の命の玉出して砕き自分の魔力を回復する。するとノーブゥルは落ち着いたのかゆっくりと息を吐く。
(この化身魔法の唯一の弱点、魔力の燃費があまりにも悪すぎることだ。命力の輪廻で作った命の玉で魔力量を増やさなければ長時間の維持はできない。これで命の玉の在庫はゼロ、この化身魔法もあと3分程度維持できれば上々と行ったところか)
「全く問題はないな」
ユグドラシルはもう既に試験場全体に木の根を張り巡らせ、状況全てを把握することができる。その結果勇者候補達を殺しに行かせた『紫呪』『水酸』『黒棘』『白煙』が既に敗れ拘束、もしくはともに行動しているのを確認する。またいつの間にかいなくなっていた『隠し鞘』も戦闘場所から遠く離れた場所で発見された。
その結果ノーブゥルは苛立ちを一切隠さない表情を浮かべる。
「………我らの深き慈悲で生かしてやっていたくせに、一切役に立たんゴミ共め。事が済んだら予定を繰り上げ全員殺処分にしてやる……!! 他の候補共も皆殺しにしてやる………!!」
命力の輪廻による命の徴収は所持者から半径5m圏内にいる「ノーブゥルに対し忠誠の言葉を発した人物」が対象となるため今のこの場では彼らの命を奪い取ることはできない。そのため今この場で全員の命を吸収することはできない。
ただ彼はもはや命を吸って再利用するなどと行った甘い行動は取らない、もう既にこの結界に包まれた試験場全てがノーブゥルの魔法の射程範囲。
ノーブゥルは右手を大きく挙げる。
「………神が赦そうとも、王たる我は貴様らの存在全てを赦しはしない。
永劫の苦しみの中、死ぬがいい!!」
そしてそのままガイウスは右腕振り下ろし、生命全ての命を奪う最強最悪の魔法を放とうとしたその時であった。
ガシィッッッ!!
「………は?」
「………おいおい。センセイ達は教えてくれなかったか?敵は完全にくたばるまで目を離すなってなぁ!!!」
突如さっきまで死んだとばかり思っていたガイウスが後ろにおり自分の腕を掴んでいると言う意味の分からない状況にノーブゥルは目を白黒させる中、ガイウスはすぐさま動きひだりてでノーブルの肩を押さえた次の瞬間、
自身の右手でノーブゥルの右腕を引っ張り彼の肩を脱臼させる。




