反撃~兄としての務め
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神聖盾魔法、アイギス。それは王族に代々発現するという特殊な盾魔法である。ディフォルトで不壊特性が付与された盾はあらゆる災禍から国を守る盾である。ガイウスが正室の一人息子であるものの、4属性魔法を一切使えなかったにもかかわらず王最有力候補に選ばれた理由の一つでもある。
だがガイウスにはこの魔法を万全に使うだけの才能が欠如していた。
ガイウスの総魔力量はそこまで多い方ではないハムナスの半分以下でありアイギスを長時間持続させて発動させることは難しかったのだ。
彼自身幼少期は魔力量増強トレーニングを必死に行い魔力量を増やそうとしたが、ほとんど効果がなく無力感や絶望感に苛まれることも多かった。そんな彼を救ったのはある一つの魔法の存在であった。
バリアー。盾魔法の中では下位に位置する正式名称、硝子盾魔法と言われる魔法であった。バリアーは防御力こそアイギスとは比べもののにならないが、形や大きさを自由に決めることができ、魔力効率も非常に高く魔力の少ないガイウスでも十分以上に継戦することができる。おまけに既に上位の盾魔法を使えるガイウスならば覚えることもたやすくすぐに使えるようになった。
これによって現在のガイウスのスタイルである、基本は応用性が高く低燃費のバリアー中心で戦い、危険な攻撃に対しては瞬間的にアイギスを使うという彼の戦闘スタイルになった。基本はこの戦い方で強敵を撃破してきたガイウスではあるが、当然彼の魔力量の低さでは撃破できないほどの敵が現れることも少なくない。
この魔法は、そんなときにできた魔法である。
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「王のためだけに生き、王のために死ねる!!それができない貴様らに明日など必要ない!!!」
ノーブゥルの魔法矢の一矢が飛んでくる際、ガイウスは目をつぶり諦めたように息を吐く。ノーブゥルは確かに昔から自分の才能にかまけて非常に傲慢だった。それに母親の違う自分やメイアはともかく、血を分けたはずのコクケンさえも見下していた。
ただそれでも心の中ではガイウスは期待していた。ノーブゥルの才能が4兄弟の中でトップクラスなのは事実。だからコクケンといつか和解し国を良い方向に導いてくれるはずだと。きっとそれには暴力事件などを起こした自分が関わるべきではないと。
だがその結果がこれであった。
もはやノーブゥルを許すわけにも王族の地位にとどまらせるわけにも行かなくなった。そして今からする行いは、自分にしかできない役目だと完全に自覚した。
故にガイウスは目を見開く、迫る脅威と倒すべき敵を視界に入れる。瞬間、
シュッ、パリン……!!
矢と彼の顔面紙一重の間に薄いバリアが出現し、矢の直撃を受けあっさりと割れてしまう。バリアの厚さは1㎜よりも薄いため割れるのは当然であり、そのまま矢は勢いほぼそのままでガイウスの体を破壊すると思われたが、
ブォォォォォォォォォンッッッ!!!
「な、なんだ……これは……?!」
ガイウスの体から発せられた虹色のオーラ混じりの衝撃波が矢を弾き彼を拘束していたはずの木の根っこすら消滅させてしまう。衝撃波により飛ばされないよう宝矛を掴んで耐えているノーブゥルは目を細めながら前方を見る。
その先には既にガイウスが着地していたが体には普段の彼とは違う莫大な量の魔力を纏っていた。それだけではない、先ほど散々痛めつけ、生命力も奪ったはずであるが、骨折等の怪我は全て完治し疲弊している様子も見られずガイウスは肩を回していた。
(………!!本当に、目の前にいるのは、あのガイウスか?!この魔力量、低く見積もっても私の5倍は……!!)
「…………ノーブゥル」
あまりの魔力量に戦慄していたノーブゥルはガイウスの低く冷たい声を聞いた時、思わず肩を跳ねさせてしまう。
「……お前は人としてやっちゃならねぇことをした。見逃さねぇし許すわけにはいかねぇ。
ここでテメェを再起不能にする。それがこの愚兄がテメェにしてやれる最後の情けだ。
さぁ、そろそろ仕置きの時間だクソガキィ!!!」
「ふ、ふざけるなぁ!!!」
ノーブゥルはすぐさま立ち上がり魔法の弓を構えガイウスに向かって4属性の魔法矢4本を放つ。それらは複雑な軌道を描きながらガイウスへと向かっていくが、彼は動かない。そのまま魔法矢が彼を貫こうとしたが、再び矢と彼の体の紙一重の隙間に薄いバリアが形成、矢の着弾とともにそれが砕けるとガイウスを纏う魔力が再び激しく高ぶり始め、今度は吹き飛ばすのではなく魔法矢そのものを魔力の放出で消失させてしまう。
「4分……確保完了。そんじゃぁ、そろそろ行くぞ!!!」
ガイウスが足を大きく踏み込んだ瞬間、爆発音とともに地面が砕けるとともにガイウスの姿が消える。ノーブゥルは誇りの誉れの宝矛を手に持ち、強化魔法で動体視力をギリギリまで上げ彼を目視しようとするが、
ガイウスの纏う虹色の魔力の軌跡が荒れた樹海の木々の間にできるのみで今彼がどこにいるのか見当も付かない。
(目、目で……追えない?!そんなバカな、蛮騎士やレイゼクラスだというのかこいつの速度は?!あり得ない、あんな劣等者が……!!)
「セフィロト・ウォール!!」
ノーブゥルは誇りの誉れの宝矛を地面に突き刺し自分の周囲に樹木の根っこでできたドーム状の防護壁を展開する。どこから来るか検討もできない以上、全方位を防御するというのは決して悪手ではない。と言うか生命力を吸える宝矛の根っこでの防御は現状の最善策とすらいえたかもしれない。
相手が今のガイウスでないこと前提ではあるが。
「物質による全方位防御!!それじゃあ自分は躱せませんって自白してんのと同じだぞこらぁ!!
バリアー・パンクガンドレッドぉ!!」
ガイウスは叫びとともに地面を爆ぜさせ急旋回し、樹木のドームに向かって長方形のバリアによって保護された拳をたたき込む。その瞬間。
ボォォォォォンッッッ!!バキャァッッッ!!!
ガイウスの拳を守っていたバリアが砕け前方扇状の爆発を放出させドームを破壊、そのままノーブゥルを後方へと吹き飛ばす。この時ノーブゥルは宝矛をドーム内で構えガードも行ったが、ほとんど効果はなく木々を破壊しながら吹き飛ばされてしまう。
この間ノーブゥルは痛みのせいで意識を失いかけるが自身に回復魔法をかけつつ何とか体勢を立て直そうとする。
しかしそんなことを許さないと言わんばかりに、ガイウスは駆け、吹き飛ばされているノーブゥルに追いつき、彼の足を掴む。
(?!!!どうなって、吹き飛んでいるはずの俺に追いつけ………!!)
「そっちは方向が逸れちまっている。お仲間がいるのはこっちだぜッッ!!」
ブゥォォォンッッッッ!!!バキャッッッ!!!
「グゥアアアアアアあッッッーーー?!!!」
ガイウスはノーブゥルの右足を持ち手に彼を思いっきり放り投げる。この時彼の右足の骨が砕けたためかついにノーブゥルは痛みのあまり絶叫を上げ、再び木々をへし折りつつ飛んでいく。そうして飛んでいった彼が到着した場所は、今現在チームメンバーの二人の貴族青年と『針』達が現在ガイウスのスキルによって拘束されている開けた場所でであった。
息絶え絶えの状況で木々に叩きつけられたノーブゥルに対し最初は心配した様子を見せた貴族二人であるが、木々の間からガイウスが来ると一変、ノーブゥルの方など見向きもせず震えながら彼の方に視線を集中させる。
「立て。生命魔法の継承思器を持ってんだ回復なんざお手のもんだろ?立って俺にぶちのめされろ。………テメェの蛮行全部がバレれば廃嫡じゃすまねぇ。良くて一生牢獄、普通なら処刑だろうな。だがそれだけじゃテメェに使い潰された連中や裏切られたコクケンは赦さねぇ。
ここでテメェの心を一足先にぶち殺す。もう立ち上がろうなんて二度と言えなくなるぐれぇに徹底的にな……!!」




