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レッドムーン ―ニュー・アース編―  作者: 瀬田 彰
第一部 第三章 ファーストタウン編 vsゴンザ編

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第19話 冗談だけど?

 閲覧ありがとうございます。

 すみません。

 日付間違えてました。


 ゴンザが倒れ、血を吐いた事により、周りがざわめき始めた。

 仰向けにさせたのは俺だが、血を吐いたのは俺が原因じゃないんだが?

 けれど、ここまでどよめきが広がっては、話しても通じるとは思えない。

 俺は面倒臭さから、ため息を吐いた。


「今の『それ』は、お前の身体が剣のスピードについていけてなかったっていう(あかし)なんだよね」

「なん……だと?」


 まだ意識があるゴンザは返事を返してきた。

 ふむ。

 返事をされたら返すしかない。


「お前は俺からの攻撃を剣で『完璧』に防いだつもりだった。でもそれは、あくまでこの(・・)『剣』がお前を操っていたに過ぎないってことなんだよ」

「そんな、バカな……」

 

 信じられないという顔をされるが事実は事実。


「その証拠にお前は『剣』の動きについていけていなかった。自分でもわかっているはずだ」


 俺は解説しながら、倒れたゴンザの肩に足を乗せる。

 恐らくこの男、話しても理解することは絶対にあり得ない。

 それは何故か。


「お前は、お前自身の力を『過信』しすぎていた。だから今も俺の言葉が信じられないはずだ」

 

 そして、この手の男には徹底的に『お仕置き』が必要だ。

 二度と立てないようにしなければならない。

 そうでないと学習能力がないこの男は、同じことを繰り返すからだ。


「諦めろ。全てはお前の自己責任だ」


 俺は足に体重を思いっきりかけた。

 すると、ゴンザの肩からミシミシと骨にヒビが入る音が聞こえる。


「ぐぁぁぁっ! 痛い! 痛い! 誰か! 誰か助けてくれ!!」

「それ、『誰』に言ってるの? お前の仲間? それとも俺?」


 更にグッと足に力を入れれば、ゴキンと骨が折れる音が聞こえたが、それはゴンザの悲鳴で周りには一切聞こえてはいなかっただろう。

 俺は一度足を離し、次は右肩へと移動させる。


「や、やめ――……やめてくれ!!」

「悪いな。その言葉は聞こえない」


 俺は表情を動かすことなくゴンザの肩へ体重をかける。

 バキバキと嫌な音とゴンザの叫び声が辺り一帯に響き渡る。

 もう少しマシな叫び方はできないんだろうか?

 耳が腐りそうだ。


「これでもうお前は二度と剣は持てない。仮に持てても今までのようなことはできないだろうな」

「ぐ、ぐぅ……」


 痛さと悔しさだろうか、ゴンザの顔はぐちゃぐちゃだ。

 それでも意識を保ってるんだから、そこだけは尊敬してやる。


「さてと、次はこの剣で斬れ味を試してやる」


 俺はそう言ってゴンザへと剣を向けた。

 ゴンザがヒュッと息を飲む。


「どのくらい斬れる、かな?」 

 

 そう言って俺は剣を下に向け、そのまま突き刺す。


「ぎいやあああああああああああああああああああ!!!」


 ゴンザの悲鳴がこれでもかと響き渡った。

 骨を折った時よりも声がデカい。

 ある者は耳を塞ぎ、ある者は目を閉じたり、目をそらす。


 パン、パン、パン。


 手を叩く音がした。

 俺が振り返れば、一兄が手を叩いている。


「はいはーい。俺の可愛い弟よ。お遊びはそこまでにしとこうか。悪ふざけも大概にしときないとトラウマを植え付けちゃうからね? 肝心の相手はとっくに意識飛ばしてるわけだし」


 一兄に注意され、俺はムッと眉を寄せた。


「何だよ。ちょっとした冗談(ジョーク)だろ」


 そう言って俺は剣を地面から引っこ抜いた。

 血は一滴もついていない。


「ぶぶぶぶぶぶぶぶぶ……」


 俺の足元でゴンザは泡を吹いて目を回している。

 つまり、肩以外は問題ないわけで、ちゃんと生きている。


「こんな奴を殺めるほど、俺は落ちぶれちゃいないよ」


 俺がフンと鼻を鳴らせば、何故か一兄は頭を抱える。


「あのな? お前のその無表情な顔で、さっきのセリフは冗談として一般人には通じないんだよ」


 そう言って一兄は腕を擦り、「俺でも言われたらビビるわ」と震える素振りを見せた。

 わざとらしい。

 俺は不満を抱えつつも、ゴンザが腰につけていた鞘を取って剣を収めた。


「はあ……この鞘、微妙。剣に合ってない。ない方がマシだな」


 そう言って俺は鞘を放り投げる。

 

「何? お前、それ本当にもらうつもりか?」


 一兄が微妙な表情を見せた。

 豪華な装飾はされてないけど、いい剣だというのは一兄でもわかるだろう。

 きっと一兄の頭の中では『売れば金になる』と思っているのかもしれない。


「売らねえぞ?」

「あ、バレた?」

「バレバレだよ」


 そう言って俺は剣を右手のグローブについている勾玉へと収納すれば、勾玉がほんのり暖かくなった気がした。


「どうした?」


 俺がジッとしていることに違和感を覚えたのか、一兄が声をかけてきた。


「いや、剣を収納したら暖かくなった気がして……」


 そう言って勾玉を見せるが、一兄は顔を引きつかせた。


「いや、それは流石にないだろう。厨二病かよ……」


 失礼な。


「君達、収納ポケットをお持ちなんですか!?」


 ウッドが目を輝かせながら、俺達に近づいてきた。


「「収納ポケット?」」


 俺と一兄は首を傾げた。


「はい。こう言う形のポーチです。何でも入れられる便利な『道具』ですよ」


 ウッドが宙に描く形は、明らかにどっかの猫型ロボットがつけてるポケットだった。

 しかも『収納ポケット』というネーミングセンス。

 一歩間違えれば大問題な気がする。

 いや、この世界の住人がその猫型ロボットを知っているわけがないから別にいいんだろうけれど。


「くくくくくくくっ」


 しかし、一兄には受けたらしい。

 笑いを堪えている。

 すると、さっきまでおとなしかった血の狼(ブラッディウルフ)達が声を上げ始めた。


「あのガキ共、収納ポケットを持っているのか!?」

「おい! それを奪えばトニーさんや(かしら)に怒られることはないんじゃないか!?」

「そうだな!」


 血の狼(ブラッディウルフ)達の目が光る。

 ウッドとメッシュはそれを見て震え上がるが、俺と一兄は大きくため息を吐いた。


「本当、さっきの戦いで何を見ていたんだか」


 一兄はそう呟いて、つま先でトントンと地面を叩いた次の瞬間、フッと姿を消してしまった。

 読んで頂きありがとうございます。

 笑えない冗談を入れたかった回です。

 楽しんでもらえましたか?

 よければ、次回もお会いしましょう!

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